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コラム(156):希望の政治、不安の政治
「未来は希望と不安でできている」という言葉があります。文字通り、希望に満ちている人には輝かしい未来が待ち受けているし、一方、不安感の強い人には悲観的な未来がやってきます。希望と不安は人生観や世界観を決定づける重要な心の姿勢なのです。
不安の原理
実は、政治の世界も希望と不安が交錯しています。政治によって国民が希望に満ちている国家は発展し、逆に政治によって国民が不安感や恐怖心でいっぱいであれば、国家は衰退します。
戦後日本の政治は自民党と野党の対決という構図になっていますが、自民党の政策に対して野党は一貫して国民の不安を助長させ、政権を揺さぶってきました。要は、国民の政治不信を膨らませて、反政権へと誘導してきたのです。
例えば、1955年に自民党が結党し憲法改正を掲げると「逆コース」とか「保守反動」のレッテルを貼り、また、1960年の日米安保改定時には「日本が戦争に巻き込まれる」というありもしない言葉で不安を煽り、反政府活動や反米運動を展開してきました。こうした時代の野党のレッテル貼りが誤りであったことはその後の歴史が証明しています。
マスコミの加担
人間は誰しもが何らかの不安を抱いているものですが、不安の思考や感情が増幅されると、起きてないことがあたかも現実のものとして見え、理性を失ってしまいます。
1993年の非自民連立の細川政権、また、2009年の民主党鳩山政権の誕生の要因に、このような国民の不安感を利用して政治不信を惹起させていたことは周知の事実です。
また、これを後押ししたのはマスコミです。マスコミは、反権力の姿勢が使命であると錯覚をしています。さらに、政権の評価を下げる事で自らの地位を浮上さようとする傾向があります。そのために政権の批判を書き連ねて、国民の不安を煽るのです。
警戒と不安の違い
ところで、不安の心理ばかりが強調されますと、本当に警戒すべき事柄に対する議論が脇に追いやられる可能性があります。
例えば、自然災害や国の防衛については警戒を怠ってはならないのですが、自衛隊や国防問題を論じようとすると、必ず奇妙な議論が出てきます。先般の安全保障政策の議論では「戦争法案」「他国の戦争に巻き込まれる」「徴兵制が復活する」などと実体とかけ離れた不安話しだけが持ち出されました。結局、国民の不安を煽ることばかりで、国家が本気で警戒しなければならない危機についての議論は全くなされませんでした。
ビジョンが問われる民進党
しかし、国民は野党やマスコミが主張する不安の扇動が欺瞞であることを見抜きはじめています。
国民は、支持する基準として政党が将来の国家ビジョンや経済ビジョンを持っているかどうかが大きな要素になっています。
民主党を中心に政界再編(民主と維新合流後は民進党)や選挙協力が進められていますが、民進党に国民の期待感が上がらない理由は、政権を倒したいだけで、肝心のビジョンが無いからです。
希望の原理
安倍政権は「日本を取り戻す」という国家ビジョンを持ち、アベノミクスやそれに続く「一億総活躍社会」で国民経済を活性化させようとする試みに、国民は希望を見出しています。
また、おおさか維新も明確な国家ビジョンを打ち出しはじめています。
民進党は他党に遅れてでも、真剣に国家ビジョンを打ち立てていただきたいと思います。
これからの政治は、政策論争の時代が到来すると予想されます。
不安を煽る政治を終わらせ、希望の原理で政治が運営されることを願っています。
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