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コラム(401):私の素朴な国防論①
米国まかせの国防でいいのか
ウクライナのゼレンスキー大統領の国会演説中、大あくびを連発する姿をNHKで全国中継された林芳正外務大臣、1年に何度も訪中を繰り返す媚中派と噂される人にとってウクライナの悲劇は他人事、まして日本の国防強化のことなどは論外と思っているのかもしれません。
事実、3月23日の衆議院外務委員会で、「日本の領土が侵略された場合は、日米同盟に基づき米国が日本を防衛すると繰り返し表明している」と発言していました。このお気楽発言の裏側には、米軍には思いやり予算等で優遇しているのだから傭兵、用心棒が真っ先に戦うのは当然と思っているようです。
しかし、米国は、ベトナム戦争以降、同盟国であっても自国民の血を流してまで戦う必要があるのかという考えに目覚めており、同じアングロ・サクソンのヨーロッパは守っても、異民族の日本のために本気で血を流してまで戦うのかどうか、本当のところわかりません。
まして、侵略国が米軍基地以外の地域、たとえば沖縄本島以外の島しょ部、あるいは米軍基地のない34の府県を攻撃すれば、米軍が攻撃されていないという理由で日本を助けないかもしれません。
このことに薄々気づいているのか、れいわ新選組ブレーンを自称する池戸万作氏は「ロシア軍には、まず大阪から上陸して欲しいな。自分が大阪人だったら、思わず『解放軍がやって来た!』と喜んでしまうわ」とツイートしています。
日本人の中にもさまざまな侵略者を手引きする人たちがいるわけですから、防衛問題は他人任せにせず自分で自分の身を守ることを最初に考える必要があると思います。
幕末の危機と現在の危機の類似性
1853年のペリー来航をきっかけに明治維新が成立したというのが歴史の定番になっていますが、実は、黒船来航の60年も前に林子平が著した書物【※1】と、1840年のアヘン戦争【※2】が幕末の思想家に衝撃を与え、それに学んだ志士たちが黒船来航という現実の危機に目覚めて明治維新の原動力となったと定義づけることも可能だと思います。
【※1】林子平は「三国通覧図説」で外国からの日本への侵略を防止するために、蝦夷、沖縄などの地域の重要性を説き、「海国兵談」で実効的な海防の在り方を提唱した先見の書をあらわした。これらは幕府批判が含まれているため禁書となり林子平は処罰されたが、その直後にロシア船が根室に来航し、幕府は海防の策定に追われることになった。
【※2】当時の日本では「聖賢の国」清国が夷狄イギリスに無残にも敗北したと驚きをもって受け止められた。しかし、深刻な対外的危機感を感じた幕府は洋式砲術の採用し、思想家で勝海舟の妹婿の佐久間象山は軍事的弱体をまねいた清朝の独善的優越意識を批判した。
いま、幕末の危機以上にあるのが現状の日本であると思います。極東アジアの地図を南北逆にひっくり返してみればよく分かる通り、極東ロシア、朝鮮半島、中国に蓋をかぶせているのが日本列島です。日本列島なかりせば自由に太平洋に出られる、それを日本が妨害しているわけで、ロシア、南北朝鮮、中国にとっては地政学的にも抹殺したい存在であることは確かです。
結局、かの国々にとって昔から日本は邪魔で、列島を消滅できないなら自分の領土にするしかないと思っているわけです。旧ソ連とその継承国であるロシアは北海道を、中国は沖縄に狙いを定めています。
事実、今般のロシアによるウクライナ侵略でロシアが自国の利益のためには手段を厭わないということがはっきりしました。日本の北方領土に対しても、日本から多額の資金を引き出すための餌として領土交渉のポーズをとっていることも明らかになりました。したたかなロシアにまた日本は寝首をかかれた格好です。
しかし、日本は、ロシアが共産主義から脱却したことをもって、対ソ戦に備えていた北海道戦力を移動させ、戦車数も半減させました。おかげで、物理的抑止力が手薄となっていると見たロシアにとって、抵抗しない日本はウクライナより簡単に取れると思い始めているようです。ロシアのウクライナ後は要注意です。
また、ロシアの侵略は中国を元気づけました。中国は、ロシアと同じ論理で台湾に攻め込めると考えています。ただし、台湾有事は日本の有事でもあるのです。台湾と沖縄は目と鼻の先ですから、中国の戦闘圏は沖縄にも及びます。
そして台湾の次は沖縄です。米軍のいる沖縄は直接の戦闘を回避して、内部工作で沖縄独立を宣言させ、沖縄保護を名目に攻め込む可能性もあります。そのとき日本はどうすべきなのか、国会議員のみなさんには結論が出ていないようです。
なお、ロシアも中国も、また朝鮮半島の両国も国際的な批判には一切耳を傾けません。厚顔無恥でやり過ごします。なぜなら、西欧基準の道徳観とは無関係な文化だからです。これまで国際法や戦時国際法を守ってこなかったことからもわかると思います。中国、ロシア、南北朝鮮に激しく非難しても、それは極悪犯罪者に向かって「お前に良心はないのか」と叫ぶのと同じ行為で、道徳観が全く違っていることも認識に加えた方がいいと思います。
(明日につづく)
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