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コラム(404):
ウクライナ報道に見る日本メディアの愚
ロシアによるウクライナ侵略報道を見るたびに、日本メディアの見識のなさに戸惑いを禁じえません。
ロシアに言うべき反戦をウクライナに言う日本のメディアの愚かさ
日本のメディアがもっとも愚かなところは、ロシアの侵略という事実よりも「反戦平和」に主眼を置いて、「ウクライナの惨状を一刻も早く収めるべきだ」という論調を繰り返しているところです。この傾向は、NHKやテレビ朝日のアナウンサーに顕著で、戦火に逃げ惑うウクライナの人びとに思いを寄せるような風を装いながら、「これ以上犠牲者を出してはいけない」、「早く停戦してほしい」と訴えかけています。
ただ、その呼びかけはウクライナの人びとに向けてのものであり、ロシアには何も言っていないものは確かです。なぜなら、日本のメディアが本当にこの悲惨な状況や止め、停戦を本気で望むなら、侵略してきたロシアに「戦争をやめよ」と言えばすむことであり、被害者のウクライナにいうべきことではないからです。本末転倒です。これでは、日本のメデャイがロシアには何にも言えない事情があると勘繰られても仕方がありません。
しかも、ウクライナの人びとが砲弾を浴びながらも一致団結してロシアに抵抗しようとする祖国愛の姿を報ずることはありません。むしろ一致団結している姿は、悲惨なウクライナを演出したい日本のメディアには絵にならないもの、あるいは反戦のイメージにふさわしくない映像として画面から排除されているように見えます。
仮に日本のメディアが真実を伝える報道機関であると自覚するなら、この真実にこそメインに報道すべきです。
それにもかかわらず、日本のメディアは、ウクライナの人びとを案ずるような善人を装いながらウクライナに向かって反戦を説き、加害者のロシアには「侵略を止めよ」という一言も言うことができない言論機関に成り下がっています。この分でいけば、日本が侵略された場合日本国民に向かっていち早く「降伏せよ」と訴える姿が目に浮びます。「ペンは剣よりも強し」という諺は日本では適用されないようです。
肝心なことを何も伝えていない
日本のメディアは勉強不足です。もともと見識がない上に、ふだんからの勉強を怠っているため最も肝心な話を視聴者に伝えていません。
認識不足の第一は、この戦争を政治や外交面でしか見ておらず、最も基本ある経済面からのアプローチはしていないことにあります。これはプーチン氏にも言えることですが、戦時経済は平時経済の何倍もの金を必要とし、経済力の有無が戦況をも左右するという事実を日本のメディアは理解することができないのです。
結局、日本のメディアは、自分が見て理解できる範囲を報道しているだけで、極めて近視眼的な報道に終始していると言わざるを得ません。
一方のプーチン氏も誤算続きです。侵略を短期間で終わらせウクライナの属国化を果たせると思っていたのに、ウクライナのすさまじい抵抗と西側諸国による史上かつてない経済制裁によって、ロシアが窮地に立ってしまいました。なかでも、軍事強国であっても経済規模は中規模のロシアにとって、西側諸国の経済制裁は国家財政さえも圧迫し、デフォルトさえ招きかねないものです。そうなるとロシアは輸出入もできず国際社会から孤立せざるを得なくなっていく状況になりました。
すでにその影響は出始めており、砂糖の元となるてん菜(サトウダイコン)の種子を穀物メジャーから止められました。また、財源の一つである天然ガスについても採掘部品は輸入に頼っており故障した場合は修理ができなっていますし、軍事用のハイテク部品に使われるICチップも国際的制限が加えられて入手できないなど、様々な分野で制裁の影響が出ています。
こうした真実を日本のメディアは一切流せない、否、プーチン氏と同様、経済の動きが理解できないので報ずることもできない状況なのです。
また、戦局においてもウクライナがロシア軍から鹵獲した戦利品の中に、ロシア軍の最上級電子戦司令塔装置があって戦争の行方に大きな影響があるにもかかわらず、これらの真実を伝えることを怠り、プーチン氏はああだとか、ロシア軍はこうだとか、わかりきったことしか言うことができなくなっているわけです。
だから、報道番組を見れば見るほど、見る側の知性も劣化していきます。
結果的に、解説なしのニュースだけを見ている方が、メディアの悪しき影響を受けにくいと思います。まして、タレントの愚かな発言、弁護士などのコメンテーターによる特定の国家を利する発言などは遠ざけるのが適切だと思います。メディアにしてもコメンテーターにしても、彼らなりの意見を押し付け、洗脳しにかかってきているわけですから、無視するのが一番なわけです。
その意味で日本のメディアは、ロシアの崩壊とともに消えてなくなっても何の問題もないかもしれません。
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