赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

自民党、今のままでは立憲自民党

2024-09-14 00:00:00 | 政治見解
自民党、今のままでは立憲自民党




自民党総裁選論戦の目玉は国家観ではないのか

自民党総裁選(9月27日投開票)に立候補した9人は12日、党本部で開かれた所見発表演説会に臨み、それぞれが重視する政策を訴えましたが、主要な論点は、派閥裏金事件を受けた政治改革や政策活動費の在り方、選択的夫婦別姓制度に関する意見ばかりで、憲法改正については付け足し程度にすぎません。

問題なのは、自民党総裁イコール内閣総理大臣という大前提の下で、これからの日本をどうするのか、それぞれの候補者の国家観を明らかにすることが必要なのに、これに対応しているのが高市早苗氏ただ一人である(甘く見て小林鷹之氏が追加される)ことです。

せっかく派閥の縛りがなくなって、自由にものが言える状況ができたのに、なぜかどこかの国に配慮して国家観を語らないのは実に勿体ない。

憲法問題に関しては、立憲民主党にいても不思議のない石破茂氏も唐突に憲法改正を言い出しましたが、これは保守岩盤層に取り入る計算上のもので、改憲論議の本質を突いているとは言えません。


左派メディアの誘導にすでに負けている

総裁選の争点はすでに左派メディアの思うつぼになっています。左派メディアが、執拗に裏金議員の処分を求めているのは、次の総選挙で裏金議員を落選させて自民党の議席を減らしたいから。

もう、見え見えなのですが、なぜか、候補者は歯切れが悪い。選挙で「有権者の判断を仰ぐ」と居直ってもいいのではないかと思います。まんまと左派メディアの術中に陥っています。

つぎに、選択的夫婦別姓問題を左派メディアは問題視し、この見解を執拗に問い続けます。LGBTQで自民党が妥協していったのに味をしめて、選択的夫婦別姓実現を求めます。

これが実現すれば「選択的」という冠を外し、最終的には、戸籍制度の破壊を目論みます。そもそも戸籍というものは、国民が国家の構成員たる証拠を示すためのツールです。この証明を嫌がる人たちが、夫婦別姓にして、戸籍制度をも破棄しようとしているのです。

実際、選択的夫婦別姓は、別に、いまさら論議しなくとも不便さはありません。弁護士の徳永信一氏がX(旧ツイッター)で面白いことをいっています。


経団連の間違った資料が日本を混乱させている。旧姓で登記もできるし、銀行口座も作れる。選択的夫婦別姓を必要とする社会的な需要は全くない。進次郎💢勉強しろ‼️

女性弁護士の多くも旧姓で弁護士してるよ。裁判官も。検察官も。公務員も上場会社でも。もちろん政治家でも。逆に、旧姓が使えないことって何かあるのかな。

ついでながら、経団連も左派勢力に洗脳されているようで、職員の中に妙な思想性を持つ人物がいてこうした流れを作っていると思われます。事実、「LGBT理解増進法案」の議論の際、十倉雅和会長は欧米と比べての遅れを「恥ずかしい」と語っていたのを思い出します。


立憲民主党と同じ議論ならいまの自民党は立憲自民党

立憲民主党の泉健太代表は、自民党総裁選の候補が防衛増税の停止や政策活動費の廃止などを訴えていることについて、これまで立憲民主党が求めてきた政策に似ているとして「立憲のまねごとが続いている。立憲自民党と言ってもいい」と皮肉っていますが、意外と言い得て妙だと思います。

なにせ、自民党国会議員は高市氏のような右派から、石破氏のような左派までが存在しますので、右派を取り込むには憲法改正、左派を取り込むには立憲民主党よりも左の政策が必要になります。

その立憲民主党は、自民党の批判ばかりで、これからの日本をどうするという展望さえ語れないのが実情で、その主な主張は、「政権奪取」と「政治資金の透明化」だけです。

余談ですが、面白いことに、立憲民主党の政策も口だけであることがよくわかる場面がありました。

ある報道番組で、自民党総裁選の候補者が軒並み政策活動費の廃止を訴えたことに対して、「国会中に一言も言わなかったことばかり。もういい加減にしろよ」(泉氏)、「だったらまず自分がやってください。旧文通費、あなただけでも公開してください」(枝野氏)と一斉にかみつく場面がありました。

すかさず、MCの橋下徹が「枝野さん、言うんだったらやってくださいよ。今日からでも領収書を公開して、企業団体献金を禁止するぐらいのことをやらないと。自民党も口だけと思われているが、立憲も口だけと無党派層は引きつけられない。今日から公開するって方、誰かいらっしゃいませんか?」と挙手を迫りました。

とたんに、枝野氏は「こちらだけが手足を縛られたら若い仲間や地方組織は成り立たない」とトーンダウン。泉氏も「共通のルールづくりと各党の議員たちが同じ立場で競争するのが大事」と話しました。自分から身を切る覚悟はありません。これで立憲民主党も口先だけの政治資金改革であることがわかります。

結局、自民党総裁選も立憲民主党と同じレベルなら立憲自民党であることには間違いありません。


自民党に問う、今こそ国家の未来像を明らかに

自民党総裁選において提示されるべき「国家観」は、日本の未来をどう導くかという、総裁候補者の基本的な価値観やビジョンを示すものです。国家観は、国内外の課題にどのように取り組むか、社会の安定と発展をどのように追求するか、国民の幸福や安全をどのように確保するか、高市氏以外の候補は明確に述べるべきです。

もっとも明らかにしなければならないのは以下の点です。

――自立した国家としての日本――

日本は自立した主権国家として、国際社会での自らの役割を果たすべきです。これは、経済的、軍事的、外交的な自立を意味します。

経済的自立: グローバル経済において日本の影響力を強めるため、自国産業の競争力を向上させ、新たな技術革新を進める必要があります。特にエネルギーや食料自給率を高め、国際的なショックに強い経済体制を整えることが求められます。

軍事的自立と防衛: 自国の防衛力を強化し、米国との同盟関係を基盤にしつつも、自国の安全を確保できる体制を構築することが重要です。

外交的自立: 日本はアジア太平洋地域のリーダーとして、国際秩序の維持と発展に寄与すべきです。国際的な課題(気候変動、核兵器の削減など)に積極的に関与し、独自の声を発信する必要があります。


まずは、各候補には、枝葉末節な議論に埋没することなく、最も基本的なことを国民の前に提示していただきたいと強く願っています。


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