先日、久しぶりに私が最も信頼している書店をのぞいた。
とある本がタワーになっているディスプレイに唖然。
その本とは『C線上のアリア』。
2月の新刊本だということは知っていた。
某新聞の朝刊に連載されていた小説だということも知っていた。
(てゆーか、第2回か第3回目で脱落していた)
連載はたしか昨年の4月から半年ほどだったと思う。
秋には『北村透谷の妻…』が始まっていたから~(←こちらも10回以内で脱落)
あれ? この前の連載(楠木正成の息子が主人公の歴史小説。長々と続いていた)はまだ書籍化していないけど。
フツー、連載終了から手直しとかするから書籍化まで半年ほどかかるけれど、早くね?
などと事務的なことを思っていた。
何分、早々に脱落した小説しただったので読もうという気はまったくなかった。
そもそも湊かなえ作品って、なんか苦手で。
映画化された作品の予告編を見て「なんかイヤだなぁ」と思ってしまって、その印象が強くでなかなか手が出なかった。
1作だけ、『リバース』を読んだことはあるけど、なんか読後感がよくなくて。
今回、それが「イヤミス」と呼ばれる現象だということ、湊かなえは“イヤミスの女王”とも呼ばれるけど、そういう作風だということを初めて知った。
だけどね~
こんな風に信頼する書店さんが「この本を読め!」とタワー積みしているワケだし。
そういえば、1年前も文庫本の『傲慢と善良』がかなり積まれていたし、半年前も伊坂幸太郎の『ペッパーズ・ゴースト』も3種類のカバーと供にタワー積みされていたっけ。
『傲慢と善良』は読んで「面白かった!」と思ったので、嬉しかったし、
『ペッパーズ・ゴースト』は読んでいる最中だったので、はやはり嬉しかった。
今回は単行本。それに積まれ方たるや、先の2作品の比にならない。
これは読まなきゃいけない!
で、昼休みの食後に読み始めた。
3日目に「え、この続きは?」とドキドキしたところでアラームが。
4日目は外でランチの約束があったので、パス。
5日目、「今回はイヤミスではない。一気読みした」なるレビューを読んでしまう。
えーぃ!と借りて帰って土曜日に読んだ。
(ほぼ一気読み)
面白かった。
これを「介護ミステリー」と呼ぶのが妥当かどうかは疑問が残る。
イヤミスな終わり方ではない。
「高齢者も目にする新聞連載なので、イヤミスの終わり方にはしないでください」と作家に拝み倒す編集者の姿が目に見えるようだ。
村上春樹の『ノルウェイの森』、たしか私が唯一読んだハルキ作品だ。
上下巻、買って読んだ。
そうそう。なんか、めちゃ売れていたので「どんなもんだろ?」と。
そんなに感動しなかったなぁ。「私はとてもハルキストにはなれない」と思った。
確かに緑色と赤色の装丁だったなぁ。
内容もぼんやりとしか覚えていない。
版元が違うのに『C線上のアリア』の装丁は緑と赤を意識している。
そして、装丁の造りがすごく豪華。
花切れはゴールドだし、栞は深緑色。
本体は黒。
こんな丁寧な製本で本体価格が1,700円って、購入する価値は十分ある。
これは電子版ではなく、本として読んでほしい。
という版元と作家さんからの強いメッセージを感じた。
既にベストテンには入っているようだ。
きっと、もっと売れるだろう。
うん。
特に自分と同じ年齢の、高齢の親御さんがいる人に読んでほしい。