Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

『悦ちゃん』

2017年07月22日 21時56分58秒 | 書籍
昨日から、小中高は夏休み。

もう遠い昔だけどね。

今、テレビドラマで『悦ちゃん』が放送中。

しかもNHKで。

最初は「なんで、そんな昔の再放送を?」と思ったけど、
全く新しいドラマだった。

子どもの頃、確か平日の夕方の少年ドラマシリーズで観たと思う。

あの時は現代劇(放映当時の時代設定)だった。

最初の1週分を観たあと、たまたま祖父と本屋に行く機会があって
そこで原作本を発見。

少年少女文学全集の中の一冊で、挿絵もある代わりに部厚かった。

思わず手に取って、ページを開いて見ていたら、
祖父がその本を買ってくれた。

祖父が直接に何かを買い与えてくれたのは後にも先にもその時だけだったので、
ものすごく記憶に残っている。

さらに、それを抱えて祖父母の家に帰って、さっそく読み始めたら
祖父や伯母たちが「この子、獅子文六なんて読むのねぇ」と意外そうに話していた。

獅子文六がどういう作家さんなんて知らなかったし、何やら大人が読むような文体で
でも、主人公は10歳の女の子で小学生でも面白く読めた。

ストーリー展開もさることながら、時代設定が全くわからなくて。

たぶん、解説とか読めば「これはいつの時代なのだろう?」かと不思議だった。

東京だということは理解できた。

銀座とか、小石川、中野、麻布といった地名もこの本で覚えた。

銀座が高級感のある、オシャレで楽しそうな街だという印象もこのとき持った。

少なくとも「今現在」ではないということはわかった。

市電とかバスも出てきたので、そんなに昔ではないということもわかったが、
テレビはなく、ラジオはある。
子どもの洋服は当たり前だけど、大人は和服も洋服も、、、
(でも、私が子供だったその当時も、明治大正生まれは健在で和服の人もそれなりにいた)

だから、結局「?」なまま読了してしまった。

そのあとに学校で歴史をしたけどねぇ。

明治の日清・日露戦争から太平洋戦争までは一気に駆け込み授業だったからねぇ。

「はだしのゲン」とか「猫は生きている」などは読んでしまうと、余計にわからなくなったとか。

そのうちに『悦ちゃん』のことは忘れてしまった。

今回、またドラマ化されると知って文庫の電子版が出ていたので、ダウンロードして読み返してみた。

なんとなんと、新聞小説だったとは。

昭和11年7月から12年1月まで連載された。
(当時の「現代劇」)

あぁ、なるほど。

と、大人になった自分ならわかる。

アルバイトで昭和ヒトケタの新聞(軟面)と新聞広告を来る日も来る日も読んだから。

昭和レトロがオシャレだったか、今ならわかる。

もっとも、高校生ぐらいだったら理解できなかっただろうなぁ。

だって、この新聞小説が連載される5か月前に226事件があったし。
軍国主義一色なのかと思った。

前に直木賞をとった『ちいさいおうち』もほぼ同じ時代を描いていたなぁ。

その中に出てくる若者もそんなことを言っていた。

さて、今回のドラマは昭和10年当時の時代設定だという。

録画じゃないと視聴できないので、今夜放送の第2回はまだ見てない。


時代背景にこだわるNHKが“再現”する昭和レトロ。

観るのがちょっと楽しみだ。

『悦ちゃん』 (ちくま文庫)
獅子文六
筑摩書房

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