Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

遠州と不昧

2013年03月23日 00時53分22秒 | 美術館・博物館etc.
『遠州・不昧の美意識 名物の茶道具』
根津美術館 サイト
※4月7日(日)まで

第一展示室では久しぶりに茶道具に特化した展示。

パッと入って見始めて「ん?」。
遠州展だけって、見覚えのある道具が多い。

茶入の「青山」とか「即式」、「正木」「大江」。
2008年正月に観た遠州展をじっくり観た時の記憶が残っていたみたい。→こちら

やはり、瀬戸茶入が圧倒的に多い。

その中で最初に出てきた丸壺茶入「相坂」。
茶入そのものもすばらしいが、付属品もすごいっ

本体を収納する挽家、それを納める箱は当たり前として、
仕服4枚、牙蓋の替えが6枚、添え状が2通。それらを納める箱
さらには鑑定書とその箱まで
(図録を見ると、お盆を収納する仕服まであった)

これだけ揃うと「次第が整う」と表現するそうな。←初めて知った。

道具の鑑定とは、本体そのもののみならず、
それを守り、重要性を裏付ける付属品を伴っての価値なのだなぁと思った。

ちなみに、手元にある2001年になった図録では「重要美術品」となっていたが、
今回の目録では「重要文化財」に昇格していた。

来歴に加え、いかに大切に守られてきたかの実績も文化財指定の大事な要素。
いずれ国宝になるかも、ね。

二重切の竹花入「再来」も消息つき。
一度作った後、贈った相手が上の月を壊してしまったのを、それをはずして正面に2本の線をつけて、よい景色。
(裏の「再来」を見損ねてしまった)

茶入はさっきも書いたけど、瀬戸が多い。(遠州が指導して復活させた窯だから)
同じ瀬戸なのに、景色がいろいろなのが面白い。
少し外れるけど「撰屑」の仕服が鎌倉間道なのが印象に残った。

同じく瀬戸の新兵衛瓢箪茶入「空也」の仕服は鎌倉間道を横に使ってる。
(確かに、この方が面白い。)

そして、膳所茶入「大江」。
これも遠州らしい好み。

と、「大江」「撰屑」は遠州所持から150年の時を経て不昧所蔵になったもの。

確かに、趣向は似ている。

以前、琳派で俵宗達、本阿弥光悦に憧れた尾形光琳は時代的に100年の差があった。

150年というと、現代の私たちが井伊直弼に憧れるようなもの。

でも、この150年と遠州→不昧の150年は全然違う。
こちらの方があまり違和感がないというか、そんなに時の流れを感じない印象。

ちなみに18世紀に出版された「古今名物類聚」も展示されてあった。
色刷で豪華。
展示品と比較して拝見できるのがウレシイ

写真もない時代に丁寧に特徴をとらえて写しているなぁと感心した。

茶入が遠州七窯(瀬戸・膳所)なら、茶碗は井戸茶碗を始めとする高麗茶碗。

「忘水」「三芳野」、雨漏茶碗「蓑虫」、堅手茶碗「長崎」。
いずれもキレイで上品な好み。

不昧公好の萩茶碗「大名」も上品。
不昧公が指導した楽山焼も萩の流れを汲む。
州浜形の綴目水指もいい感じ。

珠光青磁茶碗「遅桜」も上品。

やはり、大名だなぁ。

最後に興味深かったのは大きな銅鑼。
バチの手は鎌倉彫。

雲州松平家から根津嘉一郎氏に宛てた譲り状も。

そういえば、付属の箱は「雲州和紙」に包まれていたっけ。
あまり聞かない。石州和紙ともいわれる。
むしろ、トナリの因州和紙なら知っているけど。

和紙の勉強も必要かな。

展示室1には約50点。
このくらいのボリュームの方がじっくりゆっくり見られてちょうどいい。

展示室5は旧竹田宮家の雛道具。
ひな壇に飾るものを展示ケースに並べた。

茶弁当と茶道具のところのみじっくり見る。

展示室は『花見月の茶』

お花見のような華やかな道具組み。

懐石膳。
朱塗りに桜の螺鈿が施してある折敷と飯椀、汁椀。向付は蝶。

茶室の取り合わせはよく見えなかったので、印象に残らず。

展示ケースの肩衝茶入「雪柳」(仕服の有栖川裂がステキ)
御本茶碗「吉野」のピンク色が春らしい。
彫三島茶碗「九重」(かなり割れて継いだ後あり。九つくらいに割れて修復したのかな?)
芽張柳蒔絵棗。←中村宗哲の芽柳とはかなり違う。
御本半使茶碗「花暦」。白地に縁の金の模様が華やか。

ちょうど桜も満開に近くになって、より華やかな気分になって。
庭へ。

改修前はいつも空いていて、のんびりしていた根津カフェへ入ってみた。

眺めもいい。

お食事も充実してるようて。

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1 コメント

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遠州.不昧 (ふくろう)
2013-03-23 18:19:57
ふくろうも本日、根津美術館に行ってきました。講演会(遠州、不昧と定家様)を聞きに。ごとびの名児耶氏の話で、行くまで…定家さま?って、と思っていたら定家よう、でした。定家風な字ってことで。チョット自分に笑えた。
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