本能寺の変 「明智憲三郎的世界 天下布文!」

『本能寺の変 431年目の真実』著者の公式ブログです。
通説・俗説・虚説に惑わされない「真実」の世界を探究します。

『「本能寺の変」は変だ!』「証言無視って変だ!」

2017年01月22日 | 通説・俗説・虚説を斬る!
【写真】福知山城
 『「本能寺の変」は変だ! 明智光秀の子孫による歴史捜査授業』(明智憲三郎著・文芸社・2016年5月)の抜粋をこのブログで順次ご紹介しています。第1回から順に辿れるようにリンクを貼ってありますので、順にお読みください。
 >>> 第1回「はじめに」と「おわりに」

 第9回の今回は第7話「証言無視って変だ!」です。

第7話 証言無視って変だ!
 長曽我部征伐の経緯について書かれた史料があります。元親の側近だった人物が元親三十三回忌に当たる寛永八年(一六三一)に元親を偲んで書いた『元親記』です。そこには次のような記述があります。
【重ねて明智家からも、斎藤利三の兄の石谷頼辰を使者として、信長の意向を伝えてきたが、これをも突っぱねてしまった。そこで信長は、火急に四国征伐の手配をした。子息信孝殿に総支配を仰せつけ、先手として三好康長が、天正十年五月に阿波勝瑞(しょうずい)城に下着し、先ず一ノ宮、夷(えびす)山へ攻撃をかけ、長曽我部の手から、この両城を奪い返した。信孝殿は、すでに岸和田まで出陣していたという。利三は四国のことを気づかって明智謀反の戦いを差し急いだ】
 この文章をよく見ると最初の一行は『石谷家文書』の利三書状で見事に裏付けられています。信長が信孝を総大将として長曽我部征伐軍を出陣させたことも史実です。最後の一文には長曽我部氏を滅亡から救うために利三が光秀の謀反を急いだと書かれています。これも信憑性が高いでしょう。やはり、問題となっていたのは長曽我部氏の滅亡であって、光秀の面目や出世ではないのです。
 「長曽我部氏を救いたかったのは利三であって、利三が光秀を謀反に引きずり込んだ」と主張する研究者もいますが、それは疑問です。『元親記』の文章を注意深く読む必要があります。「明智謀反の戦いを差し急いだ」と書かれているのであって「明智謀反の戦いを企てた」とは書かれていません。「これ以前にすでに明智謀反の戦いは企てられていて、それを知っていた利三が謀反の実行を急いだ」という意味です。つまり、この文章は四国問題が光秀謀反の直接の動機ではないとも言っているのです。この証言が無視されているのは実に変!
 私がこの記述を見つけたのが十年程前。歴史捜査を始めて間もない頃で、その頃は関係ありそうな史料を探して、その史料を始めから終わりまで目を通して関連記事を探し出すことをやっていました。つまり、関係のありそうな証人を見つけては、とにかく証言を漏らさず聞き出す作業です。/font>

(中略)

  このような作業を続ける中で『元親記』の前述の記事にたどり着いたわけです。この記事を読んで、「これが謀反の動機だ!とうとう真実がわかった。長曽我部氏の滅亡阻止だったんだ!」と大喜びしたことを思いだします。ひょっとして、光秀はもともと恋仲だった元親の正室の命を救いたかったのではないか?などと小説のような話まで想像してしまいました。今思えばずいぶん甘い見方でした。「差し急いだ」という言葉の正確な意味を見落としていたのです。(後略)

 >>> 第10回「『敵は本能寺にあり』って変だ!」へ続く


【関連リンク】
 >>> 石谷家文書発見の意義
 >>> もはや本能寺の変に謎は存在しない!利休・秀次切腹事件にも!

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 明智憲三郎著の第4作『「本能寺の変」は変だ! 明智光秀の子孫による歴史捜査授業』文芸社
 「秀吉がねつ造し、軍記物に汚染された戦国史を、今一度洗濯いたし申し候」。40万部突破の『本能寺の変 431年目の真実』の著者、明智憲三郎がさらなる歴史捜査を通じて、より解り易く「本能寺の変」の真実を解説した歴史ドキュメント! 「ハゲだから謀反って変だ! 」「歴史の流れ無視って変だ! 」「信長の油断って変だ! 」等々、まだある驚愕の真実に迫る!

 本能寺の変研究の欠陥を暴き、「本当の歴史」を知る面白さを説く!
 「若い方々や歴史に興味のない方々に歴史を好きになってもらいたいと思って書きました」
 明智憲三郎

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