本能寺の変 「明智憲三郎的世界 天下布文!」

『本能寺の変 431年目の真実』著者の公式ブログです。
通説・俗説・虚説に惑わされない「真実」の世界を探究します。

諸子百家を学ぶ本

2017年12月31日 | 通説・俗説・虚説を斬る!
 本能寺の変研究をしていて行きついたのは「戦国武将は中国の諸子百家を学んでいた。それを知らずして戦国史研究はできない」という認識です。
 >>> 織田信長の知識「孫呉・良平」とは何か?

 諸子百家について書かれた解説本は実にたくさん出版されています。「どの本を読むのが良いか?」という質問をよく受けますが、「乱読すべし」としか言えません。「大人」(たいじん)である諸子百家の思想は膨大であり、どの解説本もそのほんの一部を小人である現代人の眼鏡を通して切り取ったものに過ぎません。乱読を続けている内にだんだん全体像を掴めていくのではないでしょうか。
 私も乱読の初期段階にあり、「西洋人が諸子百家をどう見ているのか?」という興味から、『ハーバードの人生が変わる東洋哲学』を読み始めました。ハーバード大学で経済学入門とコンピュータサイエンスに次いで3番目に人気の講座の講師の講義録風の本です。
 孔子と礼・仁、孟子と命、老子と道、内業と精・気・神、莊氏と物化、荀子とことわりというタイトルでそれぞれを説明した章と「伝統から解放された時代」、「世界じゅうで哲学が生まれた時代」と題する前置きの解説の章、そして「世界じゅうの思想が息を吹き返す時代」と題する締めくくりの章で構成されています。
 とても平易でわかりやすく書かれています。西洋思想との対比で中国思想を書いており、学生に馴染みのない中国思想を理解させるために工夫したのだと思います。ところどころ冗長に感じるぐらい丁寧に繰り返して説明しています。
 読んでいて気付いたのは、我々日本人がすっかり西洋思想にはまっているということです。
 著者は現代世界が新自由主義思想に陥ってしまっている危機認識をもって、この本を書いていることには我が意を得たりです。諸子百家の細かい教えを読む前に、この本で大局を理解しておくことをお勧めします。なお、原題の「The Path」は「道」(どう)の意味だそうです。副題は「悩めるエリートを熱狂させた超人気講義」です。

ハーバードの人生が変わる東洋哲学──悩めるエリートを熱狂させた超人気講義 (ハヤカワ・ノンフィクション)
マイケル・ピュエット,クリスティーン・グロス=ロー
早川書房

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