標高330mのモノローグ

富士山の10分の1、東京23区最高峰の10倍の山間に暮らして20年。地域の自然や思いを綴ります。

平昌オリンピック閉会:メダル獲得の裏にある支援者の存在

2018-02-25 19:26:17 | 日記
オリンピック競技が終わった。はじめはオリンピック競技より、北朝鮮の高官、応援団などが大きな話題になっていた。しかし、メディア・ニュースは、北朝鮮高官が帰国したとたん、潮が引いたように競技に関心が移っていった。

日本のメダル取得は13個で冬季オリンピックは、歴代最高だ。ほとんどのメダリストは、インタビューに応えて、喜びの言葉と同時に「応援して下さった方々」への感謝の気持ちを述べていた。現地に行って応援した人々、世界各地でテレビ等を視聴していた人へ。そして、競技には出られなかったか仲間や家族・知り合いなどへの言葉だと思っていた。



しかし、次のようなニュースに触れると、選手にとってはとても重要な支援者がいることを知った。

スピードスケート女子500mで金メダルを取った小平奈緒選手の支援者だ。実績の少なさから所属先が決まらず、競技生活の続行も危ぶまれた時があった。その時、手を差し伸べてくれたのが松本市の「相沢病院」だったという。勤務先として、また、海外遠征時の援助もしてくれた。10年近く前の話だそうだ。私や妻の応援はテレビ視聴による頑張れだけだ。この病院の場合は、裏方として尚且つ就職、資金そして何よりの心の支援だ。支援者の相沢さんは、「長野出身で頑張っている小平を応援しているだけ。僕は一度も『勝て』と言ったことはない」とのこと。(以上、2月18日付け毎日新聞「「勝て」と言わぬ支援者 小平、金の恩返し」を参照)

また、NHKニュースWEB特集「日本記録保持者も職探し 五輪選手たちの就職事情」でも、競技選手の就職先がなかなか決まらないという事情があると報じている。仕事と競技の両立を受け入れてくれる企業はそう簡単には見つからない。日本記録保持者も直面する厳しい現実だ。競技を支える土台や基盤が重要。競技を続けるためには、会社の理解が必須だ。理解のある企業を探さなければならないという。

そこで、JOC(日本オリンピック委員会)の支援制度で、「トップアスリートの就職支援ナビゲーション」を略した「アスナビ」という制度があるそうだ。しかし、オリンピック競技の選手の採用の少なさが課題とのこと。今回のピョンチャンオリンピックの代表選手124人のうちアスナビで採用された選手は、アイスホッケーを中心に21人。夏のオリンピックに比べると少ないという。

一方、オリンピックでメダルを取ると、JOCから報奨金がもらえるという。また、競技によっては、競技団体からも報奨金がもらえる。

メダルを取れなかった場合は、報奨金の対象にはならない。今回のオリンピックの日本の参加者は124名(1月29日時点)だ。メダリストは1割弱である。しかしながら、スポーツ競技は多くの参加者があってこそ、金・銀・銅の順位が成り立つ。全世界の参加者は92か国、2925人(1月19日)の全員で成り立っているオリンピックだ。

十分な支援を得て参加している選手、私費を投じて苦労して参加している選手など、様々な事情のようだ。オリンピックは平和の祭典といわれている。各国の報奨金とは別に、国際オリンピック委員会や各国のオリンピック委員会により、最低でもよいので、参加選手全員に財政的な支援をはじめ、何らかの支援の制度ができないものだろうか。

また、JOCでもオリンピックの報奨金とパラリンピックの報奨金には差があり、パラリンピックの報奨金はすくない。同額にすべきという意見もあるという。これも重要な課題だ。

パラリンピックが終った後、世界情勢がどのようになるかは不透明だ。しかし、平昌オリンピックの様々な問題は、国により捉え方が異なるだろう。そういう意味では政治的に利用している面もあるかもしれない。しかし、ロシア選手が個人としての参加ができたこと、北朝鮮選手が参加できた。国の事情は別にして、国や人種を超えた選手一人ひとりの努力、笑顔、涙は平和の祭典としてのオリンピックの意義を感じられた。

韓国、北朝鮮、アメリカ、日本等の首脳・高官が、やや距離はあったものの、左右前後にならんで開会式を見つめている映像が、選手の真剣な顔、笑顔、涙顔と重なって、走馬灯の一部として私の脳裏に残っている。物騒がしい世界にあって、ひと時でもこのような姿があった。この一瞬が、もうしばらく、願わくはずっと続いてほしいと思う。
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