早く支度ができたので、銀行へ行くことにしました。あまり待たずに呼ばれたのですが、手続きに時間が掛かりました。担当の方に、時間はどれくらいあるのか訊かれたので、
「二十分。」
と答えると、
「頑張ってやってみます。」
彼は、コンピューターでの操作が途中から分からなくなったようで、電話の受話器を片手に、どなたかに伺いながら手続きを進めていらっしゃいました。プリントアウトする紙が見つからなかったり、いろいろと問題があるようで、時間はどんどん経ち、私は、どうやって落ち着いて待っていたらいいのか、考えながらいました。同じ時間待たなくてはいけないのなら、腹を立てながら待つより、落ち着いて待った方が良いでしょう。担当の方は、若そうです。いろいろな経験をして、いろいろなことを得ていくのでしょうから、今している手続きが初めてのことならば、ここで何かを学び、次に活かしてくれるであろうと考えていました。年をとったものだと思いながら、笑顔でお礼を言いました。
手続きには一時間以上掛かり、MGMへ行くのはすっかり遅くなってしまいました。支度は充分間に合いますが、衣装部屋の方に、遅くとも三時までには来ると伝えていたので、それだけが気になっていました。走って行くと、お願いしていた手袋はすっかり出来上がっていました。その直しのことで、実際に縫って頂く方と話をした方が良いかと昨晩話していたのですが、私と話す必要なく縫い上げて下さっていました。助かりました。
手袋のサイズは、良くなりましたが、縁に緩さがあります。もともとこの状態でやっていたので、大丈夫かと思い、今日はそのまま使うことにしました。しかし、自分が気にしていることもあるのでしょうが、サムフリップやサムトスをする時に緩んでいる縁が一か所に寄って邪魔になりました。注意を払って、緊張しながらの本番になりました。
一回目、高く投げ上げたフルートが流れましたが、何とか取れました。二回目の失敗は別の問題です。
二回目のショーに、両手を握って胸に当てながら立ち上がって下さったお客様がいらっしゃいました。正面過ぎて、どのアーティストに目を向けているのか分かりませんでしたが、彼女もまたピエールルックに恋をしたのかと思いました。
古い手袋、もう直さなくて良いかと思いましたが、もう一か所だけ直して頂く必要がありそうです。何度も足を運んでいるので、申し訳ないと思いましたが、お願いに行きました。そして、快く引き受けて下さいました。
「ここを直して頂けたら、あと一ヶ月は使えると思います。」
と言うと、喜んで下さいました。新しい手袋の予備は、今日出して頂いた物の他には無いようなので、大事に大事に使います。
今晩は、ラーメン屋さんにお誘い頂いていたので、急いで支度をしていました。そこに、衣装部屋の方がいらして、
「シェリーはまだ居るかしら。」
シェリーは今日の幹事なので、超特急で帰って行きましたが、彼女のお客様が待っているとのこと。顔を出してみることにしました。すると、女の子二人と一人の男の子とお母様。シェリーの電話番号は知らないようなので、私の電話ででも話せれば良いかと掛けてみましたが留守電でした。そして、私が代わりに舞台裏をご案内することにしました。一人の女の子が、KAのレポートを書いたと言っていましたから、大学生なのでしょうか。大学生も幼く見えてしまう程、私は年をとったのかと、銀行でのことを少し思いだしながら心の中で笑いました。話していると、見掛けは幼く素朴な感じな彼女ですが、感性が豊かで、おとなしくても表現が出来る方だと思いました。彼女は言いました。
「二年間夢見て、お金を貯めて、やっと来られました。」
彼らは、KAを観るためだけにテネシーから昨日いらして、学校があるので明日にはもう帰るそうです。男の子は小さかったので、お母様のご希望で簡単に裏をご案内しましたが、ご案内出来て良かったです。まだ静かに感動に浸っている様子の彼女が、ぽつりと、
「あなたの場面は本当に心動かされたわ。涙が出そうになったの。」
彼女の言葉を、私は素直に受け止めることにしました。私は何か感じるものがあったので、お会いしてご案内することになりましたが、この偶然に感謝しました。
ラーメン屋さんにはすっかり遅く到着。ラーメンを食べる気がどうしてもせず、ご飯を食べたかったので、チャーシュー丼を頼みました。最後の到着で急いで食べなくてはなりませんでした。おいしかったですが、また「何か食べ慣れないものなど食べませんでしたか。」と訊かれる時がありそうな気がしています。
「二十分。」
と答えると、
「頑張ってやってみます。」
彼は、コンピューターでの操作が途中から分からなくなったようで、電話の受話器を片手に、どなたかに伺いながら手続きを進めていらっしゃいました。プリントアウトする紙が見つからなかったり、いろいろと問題があるようで、時間はどんどん経ち、私は、どうやって落ち着いて待っていたらいいのか、考えながらいました。同じ時間待たなくてはいけないのなら、腹を立てながら待つより、落ち着いて待った方が良いでしょう。担当の方は、若そうです。いろいろな経験をして、いろいろなことを得ていくのでしょうから、今している手続きが初めてのことならば、ここで何かを学び、次に活かしてくれるであろうと考えていました。年をとったものだと思いながら、笑顔でお礼を言いました。
手続きには一時間以上掛かり、MGMへ行くのはすっかり遅くなってしまいました。支度は充分間に合いますが、衣装部屋の方に、遅くとも三時までには来ると伝えていたので、それだけが気になっていました。走って行くと、お願いしていた手袋はすっかり出来上がっていました。その直しのことで、実際に縫って頂く方と話をした方が良いかと昨晩話していたのですが、私と話す必要なく縫い上げて下さっていました。助かりました。
手袋のサイズは、良くなりましたが、縁に緩さがあります。もともとこの状態でやっていたので、大丈夫かと思い、今日はそのまま使うことにしました。しかし、自分が気にしていることもあるのでしょうが、サムフリップやサムトスをする時に緩んでいる縁が一か所に寄って邪魔になりました。注意を払って、緊張しながらの本番になりました。
一回目、高く投げ上げたフルートが流れましたが、何とか取れました。二回目の失敗は別の問題です。
二回目のショーに、両手を握って胸に当てながら立ち上がって下さったお客様がいらっしゃいました。正面過ぎて、どのアーティストに目を向けているのか分かりませんでしたが、彼女もまたピエールルックに恋をしたのかと思いました。
古い手袋、もう直さなくて良いかと思いましたが、もう一か所だけ直して頂く必要がありそうです。何度も足を運んでいるので、申し訳ないと思いましたが、お願いに行きました。そして、快く引き受けて下さいました。
「ここを直して頂けたら、あと一ヶ月は使えると思います。」
と言うと、喜んで下さいました。新しい手袋の予備は、今日出して頂いた物の他には無いようなので、大事に大事に使います。
今晩は、ラーメン屋さんにお誘い頂いていたので、急いで支度をしていました。そこに、衣装部屋の方がいらして、
「シェリーはまだ居るかしら。」
シェリーは今日の幹事なので、超特急で帰って行きましたが、彼女のお客様が待っているとのこと。顔を出してみることにしました。すると、女の子二人と一人の男の子とお母様。シェリーの電話番号は知らないようなので、私の電話ででも話せれば良いかと掛けてみましたが留守電でした。そして、私が代わりに舞台裏をご案内することにしました。一人の女の子が、KAのレポートを書いたと言っていましたから、大学生なのでしょうか。大学生も幼く見えてしまう程、私は年をとったのかと、銀行でのことを少し思いだしながら心の中で笑いました。話していると、見掛けは幼く素朴な感じな彼女ですが、感性が豊かで、おとなしくても表現が出来る方だと思いました。彼女は言いました。
「二年間夢見て、お金を貯めて、やっと来られました。」
彼らは、KAを観るためだけにテネシーから昨日いらして、学校があるので明日にはもう帰るそうです。男の子は小さかったので、お母様のご希望で簡単に裏をご案内しましたが、ご案内出来て良かったです。まだ静かに感動に浸っている様子の彼女が、ぽつりと、
「あなたの場面は本当に心動かされたわ。涙が出そうになったの。」
彼女の言葉を、私は素直に受け止めることにしました。私は何か感じるものがあったので、お会いしてご案内することになりましたが、この偶然に感謝しました。
ラーメン屋さんにはすっかり遅く到着。ラーメンを食べる気がどうしてもせず、ご飯を食べたかったので、チャーシュー丼を頼みました。最後の到着で急いで食べなくてはなりませんでした。おいしかったですが、また「何か食べ慣れないものなど食べませんでしたか。」と訊かれる時がありそうな気がしています。