聖家族のランチ角川書店このアイテムの詳細を見る |
実にマリコさんぽいちゃんとしたご家庭と言う舞台設定。
『ちゃんとした』というのが彼女の価値基準なんだろう。
おない歳でおなじ時代を生きた女性として、
『ルンルンを買っておうちへ帰ろう』が世にでて
ハナイキ荒いトークがテレビで持てはやされ
サクセスストーリーの階段を上ってゆく彼女を見ている間は
小気味良かった。
小説もエッセイも軽い筆致で読みやすく楽しめた。
直木賞をもらってへぇ~と思ってから
結婚、高年齢出産、彼女は自分の欲しいモノをいっぱい手に入れたんだろう。
臭気が漂ってきた感じでだんだんイヤな女に見えてきてしまった。
それでも読みやすさから図書館で読んでいない題名を発見すると
借りてかえってしまう。
人気作家らしく借り手が多いのだろう。
林真理子の棚にはいつも本が揃っていない。
序が長くなったが、
題名と表表紙のキレイな女性の絵と裏表紙のおしゃれなハイヒールが
読み終えると
内容のグロテスクさが相まって
外と内のちがい過ぎる人って
居る居ると感慨深い。
またまた、彼女らしい一流好みの設定。
夫はお堅い銀行マン。
子供はお金のかかる私立へ通わせ、
主人公の女性は主婦からマスコミの寵児へと変貌して行く料理家。
自分の生活ぶりからの発想なんだろう・・・きっと。
端に美しく見える家庭のウソ、虚構のベールを剥いでゆく。
なんだか森村誠二の
『お母さんあの帽子はどうしたでしょうね~』
↓マスコミへの表向きの顔を死守しようとしたあの話を思い出した。
人間の証明角川書店このアイテムの詳細を見る |
表向き主婦で家庭を大事にしている料理家だけれど、
実際は家族よりも自分が大事。
家族はてんでに心がパサパサしているが、
彼女は自分の事に一生懸命で、家族の気持に気付こうともしない。
堂々たる自信で、自分中心を家族に押し付けている。
東大まっしぐら一流私立高校生の息子がカルト宗教にはまり
母親の浮気相手をうっかり殺害。
ここまではありがちな話だと読み進んだ。
殺害を家庭内で糊塗しよう・・・この先の意外な展開。
おそれい入りましたマリコさま。
家庭の対面第一主義の彼女の意見に家族全員が従い一致団結協力体制。
まずブツを風呂場でバラバラにして、
料理家ならではの大型冷凍庫で保存。
そして、うふぇ~~なさらなる展開。
料理家の腕を振るって、
食べてこの世から物証は消滅させる計画を律義に遂行。
これまでバラバラだった家族がひとつにまとまっている。
自然な流れに家族ってそうかもと違和感がない。
うつくしい料理セッテングの描写。
食べている物は人肉。
想像させるシーンのグロテスクさは圧巻だ。
毎日、毎日、殺人のニュースがある。
被害者も犯人の老若男女。
いつからこうなったんだろう?
高専の同級生殺人の指名手配の子はまだ出て来ない。
ひょっとすると、ひょっとすると、
犯人は外部の人間で、彼は同じ研究室にたまたま居て
本当の犯人に連れ去られた、巻き込まれただけかもしれないと
想像してしまう。思いたい。
そこにある日常に殺人はそぐわない。
そぐわないのに
現実と虚構とどこかでクロスしているような現在。
居次元へのワープの穴がどこかにぽっかりあるのかもしれない。
妙なタイミングで妙な本を読んでしまった。
あの20代のハナイキ荒いマリコちゃんは只者ではなかった。
人間観察力、読者をひきつける筆致。
幾星霜・・・ちゃんと持つべき素質が花開いているわ。
また新刊が出ていたら借りてこよう。
これって彼女の懐は潤わない?
すみませんビンボウなファンで