佐々部清監督の映画は4日間の奇蹟、半落ち等外れがなかったから
期待して封切を待っていた。
『出口のない海』とはいったん乗り込んだら、
自分からは出てこれない回天の中から見た海だろう。
ちょうど夏の甲子園が終って、
今年のヒーローはハンカチ王子とか。
回天は大津島の記念館で本物を見たことがある。
窓もなく、
細くて長い鉄の弾丸の様。まさに鉄の棺桶。
誰がこんな残虐な兵器を考えたんだろう。
まっすぐに発進して敵にぶつかり爆破する機能以外に何も付いていない。
やたらに故障が出てきたし、
操縦も素人の寄せ集めの隊員には無理があったのは
事実の忠実な再現なのだろう。
実際に敵に到達して亡くなった人は少なかったと聞いた。
9.11の自爆テロは自分の意思であったろうか?
洗脳だろうか?
大空よりも暗くて冷たい海の底で
発射したらまっすぐにしか進まない、
中から外へ出るハッチもない
乗っただけで発狂しそうな人間魚雷は
空の特攻隊よりさらに悲惨で残酷に感じられた。
少し市川海老蔵さんがキレイすぎて
会話がリベラル過ぎて
そこに野球が介入する必然性もよく分からなかった。
原作ではどうなんだろう?
実際にあの時代に
回天に乗る事を拒否できたり
周りに人が居るのに「戦争に負ける」などと
口にできたのだろうか?
残念ながら
ところどころで作り物の感じがしてしまって
映画に酔えなかった。
実際に記念館に展示されていた
死んでいった人たちの手紙を読んだ時の方が衝撃が大きかった。
今週金曜日が夫の命日になる。
映画の後で墓参りにいった。
弔いの形は残された者の気持の置き所として必要なのかもしれない。
回天を風化させない事もまたしかりか・・・