陽だまりのねごと

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死ぬ瞬間 E・キューブラー・ロス著

2006-09-25 06:28:07 | 
死ぬ瞬間―死とその過程について

中央公論新社

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柳田邦男さんの『「死の医学」への日記』の中でもさかんに出てきたし
ホスピス医になろうと思ったきっかけの本だと講演で聞いたこともある。
この本を一度読んでおこうとずっと思ってきた。

医療現場が末期の患者の存在自体を認めないのは
治療不能患者のあつかいは現在もそうだろうと思う。

厚生労働省の認可する緩和ケア病棟は
末期ガンとエイズ以外の患者は受け入れていない。

著者の国環境からキリスト教との関わりが
日本とは少し違う部分かもしれない。
強い宗教観の裏打ちのあるなしは
その時の気持も随分違ったものにもなりそう。

ずっと55歳で命を終えた夫のことを思いながら読み進んだ。
決して最期は
かっこ良くも、勇ましくもなく
家族に言い残す言葉もなかった。

最後まで生き抜く自分しか受け入れられない彼。
時として
自分が居なくなってからの私を気づかってくれた彼。

ふたりで
死んでいく方がつらいか?
残される方がつらいか?
話したこともあった。

終末医療が語られる時、
あたたかな家族に見守られて
死の準備をきちんとしてお別れに臨む
優等生的な事例がとりあげられる事が多いけれど、

人はみっともなかったり
弱かったり、こわがりだったり
この本にはたくさんの人のレポートが載っていた。

障害の子を残してゆくことに
不安を覚える母親の気持も書かれてあった。


その時にどんな助けや関わりが出来るのか
人の死に関わる職業の人は必読かも。
そういう人へ接する時の
想像力のふくらみになりそう。

だれでも迎える死であるから、
他人事ではないし
だれもが安らかな死を望むのだから。