陽だまりのねごと

♪~思いつきひらめき直感~ただのねこのねごとでございますにゃごにゃご~♪

亡夫の最後の現場監督 家の庭

2011-06-10 05:29:11 | Weblog
昨日、ばっちり張られた基礎工事だろうコンクリートを見て、涙があふれた。

我が家は斜面の一方へ大きな柱で支えられて建っている。
斜面から向こうは10メートル以上の絶壁。
私はここを除草し、草木を植え、花を育てて楽しんでいた。
働き虫だった夫が、その大変さ危険さを知ったのは
死の最後の最後に家で療養のベッドに寝てからだ。
夫は自分の死が近いことを知っていた。
私がひとり残ってからの管理がたいへんだろうと、斜面に盛土をして塀を作る工事を思い立った。
夫の仕事は土木工事現場監督だった。

知り合いの業者にさっそく依頼。
病床のベッドから窓越しにみながら、
庭の斜面に盛り土と壁を作る工事を見ながら業者に、あれこれ指示していたのを思い出す。
斜面への盛り土は、ささやかな猫の額庭になった。
切り立って私が転がる恐れがある絶壁にセーフティネットの塀ができた。

      

夫にとって、仕事大好きな夫にとって、最後の最後の現場監督が我が家の庭なのだ。
それは残る私への思いやりでもあった。

なぜか今もめている隣との境は土嚢を積んで終えてしまった。
その時は不動産屋の持ち物で買い手がついていなかった。

   ちゃんとお隣が決まってから合議で境は作るものだ

夫はそう言い残した。

私の心情の中に亡くなって10年になる夫の姿がちらついてならない。
夫の思いがあった土嚢からは、帰化植物のオレンジの花がいっぱい咲き乱れていた。
土の中に球根が混じっていたらしい。
この土嚢ごと、まだ花にはなっていない葉っぱごと残骸となって掘られた土の山に投げ込まれていた。

踏み弄られたのは、私の土地ではない、夫の遺志であるとつい思ってしまう。


憤懣やるかたなく、
めったに電話などしない娘にかけた。
娘は一応、父親の仕事に近いに建築士の端くれである。

  警察か?
  弁護士か?

若いから、先にそれが出た。
不法侵入器物破損
ちらっと、と言うかずっと頭の中を占めている言葉ではあるが、
相手に発するには重すぎだろうと、怒りはあっても口にしてはない。

私はそこまで事を荒立てたい訳ではない。
了解を得てもない、いきなり工事に納得がいかないだけ。
気持ちはわかっていくれているからだろう、娘がちょっと調べてメールをくれた。

(隣地の使用請求)
第二百九条  

土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。
2  前項の場合において、隣人が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。


民法には
『工事で必要なら隣を使っていいけれど、事前にちゃんと了解を得るんだよ』
と当たり前の事が書いてあるっぽい。

昨夜は施主を遅い時間だったから門前払いしたが、
今日の夕方、きちんと図面を持ってきてもらって近所の施主から説明を受ける。
境目の確認をして、工事が我が家へ侵入してきている事が明らかになったら、
きっぱりと同意なき工事への謝罪を求める。

娘が言った

   「立派な日本庭園ならこんな扱いは受けなかったよね」

人さまには、ただの荒れ地か雑地であろうと、私には深い思い入れがある。

万一の場合、
どこに相談にゆくにしても図面と工事内容についての書面は貰っておいた方がいいだろう。
写真はしっかりと取ってある。




にほんブログ村 シニア日記ブログ 女性シニアへにほんブログ村 人気ブログランキングへ
                                                           
     来られたお印にふたつクリックしていただくとうれしいです=^_^=