あめふり猫のつん読書日記

本と、猫と、ときどき料理。日々の楽しみ、のほほん日記

番外編が嬉しい 『ミステリ・ジョッキー①』

2009-12-04 23:16:08 | 本(ミステリ・アンソロジー、その他)

綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(1) 綾辻行人と有栖川有栖のミステリ・ジョッキー(1)
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2008-07-25
これも、いつものパターンで、図書館で借りた本です。

しかも返却期間に読み終わらず、もう借りたの3回目。

4章ならぬ、4回、と分けられたこの本の、やっと4回の途中まで行きましたので、なるべく読みあげて、あす返却したいな、と思っている次第です。

さて、余談はさておきこの本ですが、有栖川有栖氏と綾辻行人氏が対談の合間に短編ミステリーを挟みこんで、作品とミステリの魅力について語り合うというもの。

ディスク・ジョッキー形式で、ラジオ番組ならここで一曲……、となるところを、かわりに短編小説を紹介する、という趣向が面白いし軽い感じでいいな、と思い、読んでみました。

第1回が、《それぞれの“ふるさと”》のタイトルで、紹介された短編は、『技師の親指』コナン・ドイル、『赤い部屋』江戸川乱歩。

以下、

 第2回 《早くも番外編》    『恐怖』 竹本健治

                   『開いた窓』『踊る細胞』 江坂遊

                   『残されていた文字』 井上雅彦

 第3回 《ミステリとマジック》 『新透明人間』 ディクスン・カー

                   『ヨギ ガンジーの予言』 泡坂妻夫

 第4回 《ミステリとパズル》 『黒い九月の手』 南條範夫

                   『ガラスの丸天井付き時計の冒険』

                   エラリー・クイーン

どれも面白い(ホームズものなんか、懐かしいやら、改めて読むと結構面白いわ、と感心したり)のですが、私が一番嬉しかったのは、第2回《早くも番外編》ですね。

江坂遊氏の作品は初めて読みましたが、竹本健治氏と、井上雅彦氏の作品は、一時結構好きだったので。

(竹本氏は、“ゲーム殺人事件”シリーズとか、ウロボロスとか匣とか好きでしたが、SF大丈夫な方なので“パーミリオンのネコ”シリーズも好きでした。井上氏は、前も書いたと思うけれど、“よけいなものが”というショートショート好きだった!)

泡坂氏の“ヨギ ガンジー”が取り上げられていたのも嬉しかったな。どの短編も面白いですし、有栖川、綾辻両氏の解説がつくとまた、2倍楽しいです。

これは①ですが、②も出ているようで、読みたい!と思いました。

図書館にあるかな……それとも買うべきか……

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

笑いと悲しみは、コインの表裏 『なくもんか』

2009-12-03 23:47:22 | 映画

子どもの頃から、主人公が窮地に陥る物語が苦手でした。

主人公がひどい目に合うようなシーンがドラマで出てくると、逃げ出したりしたことがあるくらい。

だから、この映画を観はじめてものの10分も経ったところで、これはエライところに来てしまったぞ、と思いました。

笑える映画だと思っていたのです。もともと自分で選ぶタイプの映画ではなく、友達に誘われて観たのだったし。(とはいえ好奇心旺盛な方なので嫌ではなかったが)

いや、笑える部分はあります。どころか、まわりの観客の人たちはかなり笑っていた。

でも、これってすごく、怖ろしい話なんです。私は驚いてしまった。

お互いの顔も知らない、生き別れの兄弟が物語の中心です。それが、阿部サダヲと瑛太が演じる二人。彼らの半生は、本当に悲惨なものです。しかも、怒涛のように悲しいこと、嫌なこと、やりきれないことが襲ってくる。

お笑い芸人になった弟(瑛太)に、相方となる青年が言った台詞がありました。

“笑いのパターンは7つしかない。その中でも一番すごいもの、それは不幸だ”と。

けれど、私はもう一つあるな、と思った。それは、恐怖。本当に恐ろしいと、なんだか笑えてしまう。いや、恐怖の一つの形が不幸なのかな、不幸、というのが恐怖の最大のものなのかな……などと考えましたが、この映画はそういう“笑い”に満ちているのです。

この物語ってどう着地するの、いったい私はどこに連れて行かれるの……と心配しましたが、最後はほんのりと温かいラストを迎えてホッとしました。

もちろん、普通に(?)笑える部分もあるし、役者さんもいいし、この映画もおススメではあるのですが、なんとなく宮藤官九郎の暗黒面を見た気もしました

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

犯人は戦後という時代 『ゼロの焦点』

2009-12-03 23:00:11 | 映画

ゼロの焦点 カッパ・ノベルス創刊50周年特別版 ゼロの焦点 カッパ・ノベルス創刊50周年特別版
価格:¥ 500(税込)
発売日:2009-10-17
09秋の映画について少し。

まずは先月半ば、母と観に行ったこの映画を。

乱読な私はミステリーはジャンルを問いませんが、社会派・および松本清張はとくに好きで、なのでかなり楽しみにして観に行きました。

そして、結論から言えば私としては満足。ザ・松本清張、という感じの冬の日本海の雰囲気もハマるし、伏線の活かし方もいいと思いました。

キャスティングもあって、犯人はたぶんすぐに予測がつくと思いますが、それでも十分楽しめるし、犯人を突き動かした恐怖についても考えさせられる。

現代だったら果たしてあれほどの連続殺人になったかな、という部分もあり、戦争とその後の過酷な時代こそが殺人者だという気持ちにもなり、新妻の悲しみにも同情するけれど、犯人も完全には憎めない気がしました。

私の松本清張映画のベストはやはり『砂の器』なのですけれど、この作品もかなりおススメです。

ちなみに、母とは観終わった後、食事をしながら“女優さん綺麗だったね~”“西島くんは女を不幸にする男を演じさせたら天下一品だね~”などと勝手なことを言っていました

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする