月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

今日は曇り空

2012-06-16 17:50:47 | 腹腔鏡下 子宮全摘術

今日は午前中、
手術の説明と検温、脈拍などの基礎の身体的計測があり、午後から仕事をしようと資料を広げたところで

訪問者、あり。大学の時の友達が訪ねてくれた。

「もう近くまで来ているんだけど…」。

学生時代の身軽な感覚に、どんどんもどっていく。

1時半頃に来てくれて、
5時までノンストップで話し、
それでもまだ、別れる時
このまま、一緒に食事に行けなくて
惜しいとおもったくらい。
なぜなの、ここは西梅田のど真ん中、ハーブスプラザやブリーゼ・ブリーゼもすぐ近くだというのに。ああ、
悔しいな。

外出禁止の身なので、1階にある売店まで降りて、ハーゲンダッツのアイスをふたつ買って
12階の食堂にて食べる。


彼女は、2年ほど夫の仕事の関係で上海に暮らしていて、高層ビルが立ち並ぶ
近代的な街の写真やら、赤と龍がやたらと主張する中華料理屋の店内やら、
家族で写っている写真をたくさん見せてくれた。
「日本は小さな国だよ。島国だ。
外国人(ここでは中国人)は、自分の成長のため、
すごく努力しているよ。
もっと、ストイックに生きてるよ。野望に燃えてるっていう感じなのかな、
私も、国際的視点にたって何かに
挑戦したいと、思うようになったよ。
このまま時を刻んでおばさんになるまえにハワイにでも永住して、自立して暮らしたいな」

と話してくれたのが印象的だった。
空は、今日も曇りだ。
雨がぱらついているらしいが、
外界の、音が遮断されている快適な病院のなかで暮らしているので、

灰色の空が見えるだけ。

だんだんとこの環境が当たり前に思えて、
病院というより、
滞在させてもらっているという気になる。

順応性というか、心地よい錯覚に
ずいぶんと助けられている。