月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

手術3日目 雨の日外界へ

2012-06-21 22:59:40 | 腹腔鏡下 子宮全摘術

6月21日(木曜日)手術後3日目


今日も高い空から雨がひっきりなしに、落ちている。
手術の日は雨で、翌日は台風で、今日もまた雨…だ。

●10時
今日は術後、初めてシャワーokの許可が出た。
熱いお湯が気持ちいい。
お腹の傷、4箇所はさけて、幸福なお湯のシャワーを全身で味わった。

手術後、はじめての外来での診察。
「大小さまざまの350グラムの筋腫や子宮をかきだす際に膣内を傷つけてしまった」
と佐伯先生がおっしっていたので、怖々と診察台に上がったのだが
ゆっくりと丁寧に診てくださったので痛みもなく終わり、良かった。
「はい、きれいに処置できていますね。腎臓のほうも、卵巣も全く問題ないです。
順調です。いいでしょう」とのこと。
ほっと胸をなで下ろし、少しだけ、涙が出る。

●午後1時
検温と脈拍、血圧検査を終えたあとで
外出許可も。
エスカレーターで1階まで降りて、
リッツカールトンホテルの方向へゆっくりと歩く。
体が左右、上下に揺れる震動がお腹に伝わってきて、ずんずんと響く。
うまく他人のようにリズミカルに歩行ができなくてびっくりした。

あんなに、院内では自然と足が前へ出るのに。
なんというぎこちなさ。
5メートル歩くごとに休憩をとりたくなる。
体の想像以上の異変にビックリした。

静かで、平和で、美しいところに非難したくて、
大阪中央病院から西梅田の地下で繋がった「リッツカールトン大阪」のティーサロンへ。
ピアノの伴奏とフルート演奏。
非現実じみて、ほっとする。昨日までのことが嘘のよう。さっきまでの不安定の歩行も。
なにもかもが全てが幻のごとく、ここはヨーロッパだ。

1時間、エスプリの世界に浸って、4時半、院内に戻る。

6時、食堂で見慣れた顔が揃い、3時間の外出についてそれぞれのお喋りが弾む。
ちょっとした冒険をしたかのように、皆イキイキとした表情で語る。