月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

生き物たちの希望の朝に

2018-06-06 00:33:37 | writer希望を胸に執筆日記




朝は、とてもいいと思う。

一昨日は朝四時半に目を覚まして、(その日提出予定の案件が昨晩までにできなかった)家の周囲をぐるりと散歩。たくさんの良いものを見た。

例えば、鳥が、姿のみえない鳥と交信しあっている様子。こちらの鳥が鳴いたら、8秒ほど遅れてむこうの鳥がよく似た調子の鳴き方で応える。その声を確認したら、こちらの鳥がその交信に応えていた。朝っぱらから求愛、かしら。
呼びかけるほうの鳥の、鳴き方がか細かったり遅れたりして、不安げな様子も見てとれるのが切なくてよい。

家に戻れば、神棚のおさがりの生米を、雀が5羽ほどでついばんでおり、口を大きくあけてぎゃーぎゃーと鳴きながら、別の雀に入れてやっていた。
最初、くちばしとくちばしを合わせていたので朝っぱらから接吻だ、と思いながら、どうしても観なければいけない仕事のdvdを観ながら、ちらっ、ちらっと横目で雀の様子をみていたのだが、どうやらキスしまくりではなく、口に何か入れているのじゃないかと、いう考えに至る。

いや、もしかしたら、おいしい生米に興奮しながら、愛を確認しあっているかも、とか。ともかく昼間は聴いたことのない声で鳴くので、びっくりして、しばらくは目をそらせることができずにいた。

早朝での主役は、人間ではない。鳥や昆虫、花々をはじめとする、すべての生き物たちの「あらたかな」時間が流れているのだなと知る。
  
紅茶と宇和島柑橘フルーツ、青い系のサラダを食べて、さ、仕事。原稿を書いている最中で、一度頭を冷静にするため必要がありシャワー。ひときわ香りのいい石けんで体を洗った時に幸福を感じた。強烈なプルメリアの香り…か。ジャスミンだ。嗅いだ途端に本物のジャスミンの花びらや咲いていた花壇ね情景が瞼の中に迫ってきた。
客室乗務員をするNが世界各地の石けんとおいしいお茶を帰省のたびに持ち帰ってくれるおかげだ。ありがとう。



執筆日記のほうは、少し時間があいてしまったが、先週と今週、依頼原稿のほうは毎日なんらかの締め切り案件をこなしている。かわりなしだ。

先週は、j社さんの少しまとまったページを頂いて、取材を補うために大量の資料をコピーしてそれらを元に、どうにか記事を仕上げた。
その間、飛び込みで入った単発も同時に進めたり、観たかった「ペンタゴンペーパーズ」を観たりと間にいろいろ、突発的なものを挟みながら書き進めると、提出する段階になってこれで良いのかどうかもあやしい状況になってしまって。大いに焦ったが、ぎりぎりの段階でかたちにして提出。

引き続き、定期刊行物のほうにとりかかる。取材が入るので書くのは夜。もしくは朝。
企画から、編集・ライティング・校正段階まで携わっており、それを何十年とやっているので慣れているとはいえ、版元のクライアントさんとはよく顔を合わせる案件なだけに質を落としてはいけないと自戒する。
 
ゆとりなどないくせに、すぐに余裕しゃくしゃくとこの仕事をタスクを後ろへ後ろへと押してしまう。
短い時間での案件を優先するためだ。昔から優先順位のつけ方が下手である。

着手をもっと早く。もっと瞬発力を。
いったん書いてしまって。そして時間を置いたものを改めて推敲の段階でまっさらな目で確認する。これを課したいのに、ここ1カ月ほどは、最初の段階でうんうんといったり、あーーといったりする書き始めるまでの時間が長すぎる。


自分で決めた約束事を、守れないと。
自分が自分にだって信用を落とすというよくない連鎖に陥るのでそれをどうにかせねば。
ペナルティでも課そうか。