月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

パワースポットで邪気を払い充電する

2018-08-07 13:40:13 | どこかへ行きたい(日本)

高校時代の友達のひとりに、パワースポット好きの友がいて、年に3、4回、その彼女(y)と出かける。

先月も滋賀の水郷めぐりの後で、日牟禮八幡宮へ参拝し、たねやで名物のつぶら餅入りの「冷ぜんざい」「黒糖氷」で一服してから、多賀大社に向かった。







多賀大社は、延命長寿の神さまだ。
「二柱の大神(いざなぎのおおかみ様、いざなみのおおかみ様)は、神代の昔に、初めて夫婦の道を始められ、日本の国土、続いて天照大神をはじめとする八百万(やおよろず)の神々をお産みになられた。生命の親神様」であるという。


参道沿いには、宿場町のなごりの、みやげもの屋や飲食の店が軒をつらね、道中とは違う古い時間が流れていた。
「太閤橋」をぐるりと迂回して本殿のそばへ。

ちょうど夕方の祈祷がはじまっていた。
目をとじて、静かに手をあわせる。

「ご縁がありまして参拝させていただくことができました。ありがとうざいます」
そう心の中で唱えたら、その思いをしっかりと受けとってもらえた、となぜかよくわからないけれど、そんな手応えが返ってきたのだった。
ふと天をあおぐと、頭上でゆらりゆらりと、白地の夏らしい提灯が風に揺れている。






いくつも、いくつもぶらぶらと。くっきりとした白地に、墨文字と朱色のきれいな提灯。社の巫女さんのようなふくふくしいイメージだ。「お多賀さん」という呼び名にふさわしい。とてもあったかい感じのする提灯なのだった。

〝古い社に、ふさわしいなんてやさしい提灯なのだろう〟

それから友と、冗談をいいあって笑いながら、社務所そばの自動販売機でミネラルウォーターを買い、ごくりとのどを鳴らして飲み、ひと休み。気の置けない古い友達たちの存在は、ありがたいものである。


もう夕方の5時だというのに、すっきりと晴れた綺麗な青空が、もくもくとわきあがる入道雲と本殿の提灯の白をひきたたせている。セミが鳴いていた。木々も気持ちよさそうに風に揺れていた。あぁ気持ちいい。もう夏が始まった!(7月15日頃)と心からそう思えた。



それから、大津までもどって琵琶湖の湖岸を眺める。
夕景があまりにきれいだったので、大津の琵琶湖ホテルで一杯だけ、飲みましょうということに。


ガラス張りのむこうには「琵琶湖」という大絶景を前にして、冷えた白ワインとピザを。
赤ワインと、肉のサラダ、エビのアヒージョなどを食べた。
メーンラウンジからは、金色にライトアップした真っ白なミシガン(観光船)が湖の上をゆっくりと横ぎっていくのがみえた。

この光景とよく似ているところを知っている。









一昨年の冬。Nと一緒に「香港」へ旅した時も、黄大仙や金魚街を訪れ、
それから遠くに香港島、近くにビクトリアハーバーをみわたせるインターコンチネンタル香港である。
昼から夕方、夜へと移り変わっていく香港という街のエキゾチックな情景がすばらしくて2時間あまりにそこで過ごした。



そしてやはりそこは、とても晴れやかな気があふれているのだった。エネルギーが集まっているところだ。



友人のyと出かけたパワースポットは数知れない。
(奈良の霊山寺、春日大社。京都の日向神社、大阪のサムハラ神社…、メジャーな所もマイナーなところもいろいろと訪れた)
最初はちょっとくすっと笑っちゃうのような思いで同行していたのだが、いくつも、いくつも、たずねていくうちに、まぁそういうのも佳しかな、と思えるようになり、今はパワースポット巡りもそれなりに楽しんでいる。

土地のエネルギーが集中している、良い気が満ちている場所、それがパワースポットだという。
そこに共通するのは、とてつもない気持ちよさ。
その場に、スポットライトが注いでいるように。ほんのワントーン明るいところ。空間には広がりがあり、ともかく開放的。外にむかって開けているということだ。
過去と未来が一直線にすっきりとつながっているような、いい空気が流れている。
だから、安心してそこで、考えごとをしたり、過去を振り返ったりと自由な思いをめぐらせることができるのだ。

わが家の空間も、1カ所でいいパワースポットのような場所があればと思うのだけど。
もう実はあったりして。