月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

ぬるい陽気の、一月の晩に

2013-01-30 23:33:52 | 今日もいい一日


今日は1月にしては温かい夜。先日の雪のあとから日増しに、ぬるい、春の足音が近づいてきているのがわかる。
こうやって寒が戻ったりふわふわした風が吹いたりして季節は進んでいくのだ。

ここのところ私は何をするともなしに、考えるともなしに、
ただ空白の時間を過ごすことがふえた。そうして机の前ではっと我にかえる。
あれ?もう20分も過ぎているわ。何をしていたんだっけ。そうそうこの企画を考えている最中だったのだ、というように気付く。
気付くけれど、また少しすると、
どこか遠い世界に行ってしまっているのだ。


小さい時から、学校の授業中だって、寝る前だって空想するだけで何時間でも過ごせるタイプの子だったが、
ここへ来てそんな特技を発揮するなんてナンセンスだ。時間は無制限ではないのだから。

そんな時に仕事というのは、たいへん便利で大いに助かるものである。

時間で仕切られた、締め切りのある仕事ならなおのこといい。
焦る気持ちがあるのだから、どこへ行っていてもぜったいに帰るところがあるのだ。
チームでの仕事ならなおさらにいい。
自分の役割がちゃんと用意されている。だから考えることはない、それを全うするだけなのだ。

先日、仕事の打ち合わせで
あるデザイナーの女性が、本来はコピーライターの考える企画テーマを、
一緒になって考えてくれていて、それが発展し、ついにはクライアントがどうすればもっと利益をもたらし企業として成長できるか、
何が大切でどこが課題なのか、という点をひたすら燃えに燃えて話してくれているのを聞いていてひどく感動した。

チームで仕事をしていると、いろんな人がいる。
どの人も魅力がある。それは勿論だけど、
やはり立場を超えて、「モノをつくる」という目的のために我を忘れるくらいの人が、一緒に仕事をして気持ちがいいね。

なかには、デザイナーなら、プランナーなら、営業ならと、
その役割については当然のごとくプロの仕事をするが、他はよそ事というスタンスの人を時々見受けるから。
そっちの土俵は危険ゾーン、
自分の領域を守るために、たち入りたくないという人もいる。
それもまた、その人のセオリーである。

けれど、私の場合に、やっぱり互いの領域をこえて熱く考えられる人とのほうが俄然やる気になる。愉しいし。
こちらも燃えないと、プロ同士の仕事として成立しないからね。

人は人によって影響もされるし、浄化もされるのである。

ここのところ、娘の受験のことでゆらゆらの、ふらふらの、悶々とした落ち着かない日々だが
これはある人生の小さな断片。
何が起こったとしても、誰かが死ぬわけじゃあない。
誰かが誰かを評価してはいけないし、否定的な思いにとらわれることは絶対にないのである。
人生の協奏曲、一場面。
経験をひとつ積んでいるだけのこと。
通過点、
それだけのことなのだ。

「それにしても、心配は毒だ。対して希望は光か。」




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