月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

新緑の頃に出会った器たち その2

2013-05-29 18:53:42 | 器を買いに


この間から器のことを少し書きかけていたので、そろそろ続編といこうと思う。





 レギーナ・アルテールさんのティーポットは、一昨年の個展の際にすでに寺町のギャラリー「sophora」で見つけていた。
レギーナさんはスイスで生まれてチューリッヒ芸術学校を卒業。楽焼きを通して日本の焼き物に出逢い、日本の陶芸に興味をもって1979年、海を渡ってこられた。
 私はもう8年ほど前になるのだろうか。陶芸家である前川俊一さん(夫)とレギーナ・アルテールさんのご夫婦を特集記事として取材させてもらったことがあった。
レギーナさんは当時おっしゃっていた。

 「俊一とは京都の陶工の学校へ見学に訪れた際に出逢い、登り窯やギャラリーなどをともに訪ねながら、ものやアートへの感じ方が似ているなあと。
まるで井戸のように深いところで繋がっているように思えました」と。


ご夫婦は今も、あの頃と変わらず、滋賀県の棚田が広がる高島町で静かに暮らし、創作活動を続けられている。
 作品をみると新しい挑戦や新展開もあるようだか、レギーナさんのモノをみつめる時の子供のような好奇心に満ちた瞳や驚き、優しさは変わっていない。
 なんだろう、日本の陶芸家では決して出せないヨーロッパの人がとらえた日本の自然や生物、環境などが作品にちりばめられていて、それがとてもいとおしく思えるのである。

 私は当時の原稿にも書いている。
「微妙な色のバランスや表情のやわらかいものを色土で表現し、光と空気感の一瞬のきらめきを捉えるレギーナさんの作品」。

彼女は工房の窓辺に、笹や石などを大切に置かれていた。そして「石や水、動植物の動き、細胞の神秘的なものなど自然界からインスピレーションを得ている」と、
いわれていた。

 一昨年前にポットを購入し、今回は2つの茶器をあわせて揃えた。私は取材後も、ご夫婦それぞれの作品を、「個展」を通して追いかけては少しずつ買いそろえていた。
ただ、3月にそのほとんどが割れ、今は前川さんのフリーカップ2つと斜めの細いヒビがはいった花器だけ。
まだご健在だし、ふたりにお会いする口実ができたのである。



 続いても、同じくHさんと寺町を歩いた時に「グランピエ」で見つけたの。



栃木県・南窓窯の石川雅一さんの粉引の器。「グランピエ」ならではの、リーズナブルな器。
小さくて、コロンとして、涼やかなグレー地。ピーマン煮やナスと唐辛子を似た惣菜をいれたり、
らっきょうをいれたりするのに重宝している。




こちらは先日と同じく、5月のゴールデンウィークに信楽を訪れた時に「さがら」で購入した。




信楽作家の佐藤源一郎さんの取り皿と中皿。木の棚のなかに沢山の器と溶け込んでいて、最初は目立たなくて気付かなかったけれど、
突然として飛び込んできた、
「私の好きなタイプだわ」と思ったものだった。

ゆるく自然にカーブを描いたフォルムに、海岸でみつけた石と砂が混じったような手触り、自然な色あい。
この器、どんな料理をのせてもハンサムにおさめてくれるし、他の器とも調和をもたらしてくれるとても使いやすい器になっている。






最後のおまけは、「グランピエ」で。
トルコではどこでもみかける茶器らしい。冷茶にいいと店主は勧めてくれたが、アイスクリームなどをいれても可愛いなと思って買った。


今週、来週は少しだけ原稿書きが忙しい。
それで夕食は何にしようかと迷ったあげく(その時9時過ぎ)、結局、暮らしの手帖社が出しているレシピを紐解いて
「ビーフシチュー」にした。2時間以上も煮込んだので、トマトの風味がまろやかで濃厚、酸味が爽やか。
器は、立杭焼の清水圭一さん(かねと窯)で購入した大鉢で。ああ、完全に現実逃避なのであった。








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