世界中に恐竜が溢れている世界で、人類はどのように生きているのか、といった世界観の構築が甘いな。
というのが第一印象でしたね。
例えば「平成ガメラ三部作」では、怪獣がいる世界に生きる人々の不安感といったものが、物語の中で上手く描かれていて、これが物語に一定のリアリティを与えていたように思うのですが、この作品は
その辺りが、どうにも
甘い!
恐竜を闇で売りさばいて一儲けしようとする輩がいたり、遺伝子工学を「悪用」しようとする企業がいたり、なんかそんな、相変わらずのことばかりが描かれて、人々の生活の変化とか、その辺りのことがまるで描かれていない。
コロナ禍が世の中にどれだけの影響を与えたか、そこを考えると、「恐竜禍」でも世の中は相当変わると思うのですが、その辺りがまるで描かれていないんだな。
甘いなあ、という印象をまず感じました。
でも娯楽作品としては、大変面白く出来ています。恐竜がとにかくいっぱい出てくるし。
まあ恐竜といっても、遺伝子工学で「作られた」存在なので、これはもう、「素」の恐竜ではありません。
【怪獣】ですよ
【怪獣】
『ジュラシック・ワ―ルド』の一作目には、まるでカメレオンのように体の色を変化させて隠れたり、赤外線センサーに感知されない「特殊能力」を持った恐竜が出てきますよね。あれは遺伝子工学によって作られた全くの新種。ていうか
ここまでくると、もう
どうみても怪獣ですわ、怪獣。
岡田斗司夫氏曰く、『ジュラシック・パ―ク』シリーズは「恐竜映画」だったけれど、『ジュラシック・ワ―ルド』シリーズは「怪獣映画」であると。
まさしく。
今回はそこまで怪獣らしい怪獣は出てこないけれど、それでも殺人訓練を受けた「恐竜兵器」が出てくるし、主人公オ―ウェンとこの「恐竜兵器」とのバイク・チェイス・シ―ンは、まるで007みたいな迫力で、なかなか見応えがあります。
ともかく全編これアクションに次ぐアクションで息つく暇もない。氷上でのアクションとか、結構好きです。
ただ「ご都合主義」的な展開が続き過ぎな傾向があって、この点もまた脚本の甘さかなと。
三部作全てに登場するクレアという女性が、民家の屋根を飛び越えたり飛び降りたり、まるでジャッキ―・チェンかトム・クル―ズみたいなアクションを見せる。
いやいやいや、こういうキャラじゃなかったでしょ?
急なキャラ変、こういうの、よくないな。
まあでも、面白かったけどね。どっちだよ(笑)
色々ツッコミどころ満載ではありますが、娯楽作品としては十分満足に足るのではないかな。
クライマックスの三頭の肉食恐竜による一大バトル・シ―ン。三大恐竜、ていうか『三大怪獣地球最大の決戦』といった趣の(笑)バトル・シ―ンは実に楽しい。もっと尺が長ければ、もっと良かったのに。
少々短めだったのは、残念。
でもね。
実は私
『ジュラシック・ワ―ルド』シリーズというのは、「泣ける」映画だと思っているんです。
主人公オ―ウェンと、恐竜ヴェロキラプトルのブルーとの
適度な距離を保った「絆」。
これが泣かせるんです。
今回はブルーの子供が拐われてしまって、オ―ウェンがこれを救出しに行くわけです。
無事救出し、ブルーに子供を返すのてすが、この時のブルーが、オ―ウェンに示した「態度」ね。
詳しくは書きませんが、私はこのシ―ンでもう
涙腺崩壊です(笑)
今回ブルーは最初と最後にしか出てこないので、前作までのような活躍はしないのが少々残念ではありますが、ま、泣けたから良いか(笑)
以上のようにツッコミどころ満載とはいえ、十分楽しめる作品ではあります。
あっ、そうそう
虫が得意じゃない方、注意です。
デカイ○○○が出てきますよ。
一度壊れてしまった大自然を、元に戻すことは出来ない。
これ以上悪くならないように、努力していく他はない。
変わってしまった世界で、人々はどう生きていくべきなのか、そこに明確な答えはない。
それでも、人々は生きていくしかない。
滅びるか否か、それは、
人々の「生き方」次第。