昭和55年、1980年公開。主演、高倉健、吉永小百合。
2.26事件の首謀者、宮城大尉(架空の人物)を主人公に、激動の時代に生きた男女の「愛」を描く。
監督は名匠・森谷司郎。きめ細かい心情描写は流石で、彼ら青年将校たちが何故に事件を起こしたか、そしてそんな、ある意味「身勝手」な男たちに翻弄される女性たちの哀しみとを、情感豊かに描いています。
彼ら青年将校たちの怒り、苦しみ、哀しみ。
事件を起こした彼らの心情に、思わず共感、同情したくなる。
映画だからそれはそれで良いし、よく出来た映画だと思う。
でもね
忘れちゃいけないのは
彼らは
「テロリスト」
なんです。
もちろん時代背景というのはあるし、現代の価値観だけで歴史上の事件を語るなど、大変傲慢なこと、不遜なことだとは思う。
これはあくまで「歴史上」の出来事だということ、その心情は理解出来るけれど、彼らの行動そのものは、現代に生きる人間としては
肯定するわけには
いかない。
そこはね、忘れちゃいけないんですよ。
絶対。
まあ、実際に事件を起こした青年将校たちの思想的背景だとか、影響を与えた人物だとか
そういうことは一切描かれていない。まっ、それが目的ではないですからね。
描かれているのは、激動の時代に生きた男と女の、哀しき「愛」の物語。
そこに涙すればいい。
最近、ある殺人犯に対し、一部では同情の声が上がっており、助命嘆願を求める人たちもいるそうな。
あくまで一部だとは思いますが、この法治国家日本で、殺人犯が、テロリストが許されてはいけない。
こんな当たり前のことがわからんとは
暗澹たる思いがします。
ラストシ―ン、銃殺刑に処せられた宮城大尉。
額を撃ち抜かれ、一度目を閉じるのですが、
すぐに、目を「クワッ!」と見開きます。
その眼光の鋭さ。
テロリストの無念、怨念がそこに込められているように思いました。
この無念、この怨念が
あの○島○紀○に憑依したのだろうか?
なんてことを、考えてしまった。