このセリフ、実は一回しか使われていないそうです。
なんかね、毎回毎回言っているかのような印象がありますが、実は一回だけ。それもガンダムではなく、コアファイターで発進するときに使われたセリフなんです。
「行きま―す!」は何度か使われているようですが、これも毎回ではない。
ところでこのセリフ、何か違和感を感じませんか?
何故「行ってきます」ではなく
「行きます」なんだろう?
この意味を喝破したのが、
岡田斗司夫氏その人です。
NHKの番組『戦争とアイドル』をたまたま観ていたら、戦時中、子役として活躍していた中村メイコさんのインタビューを放送していたのだとか。
当時の芸能人やアイドルは、戦地の兵隊さんたちを励ますため、慰問に行かされた。
中村メイコさんも様々な戦地の兵隊さんたちを慰問されたそうです。
その時の印象として
特攻隊の方々は「特別」だったそうです。
普通の兵隊さんたちは、出撃する時「行ってきます」と言って出撃していくのだそうですが、特攻隊の方々だけは
「行きます」
と言って出撃していったのだそうです。
二度と帰ってくるつもりなどない覚悟で出撃していく。行ったら行きっぱなし、二度と帰ることはない。
だから
「行きます」
なのですね。
これを聞いた瞬間、岡田斗司夫氏は理解したようです。
「アムロ、行きま―す!」
とは
二度と帰れないかも知れない危険なミッションだからこその、覚悟を込めたセリフなのだな、と。
単にカッコいいだけのセリフじゃない、実はとても、「怖い」意味を持ったセリフなのですね。
ロボット・アニメという枠の中でいかにリアルな戦争を描くか、ということに、富野由悠季監督は挑戦し続けます。そんな試行錯誤を繰り返す中で、このセリフは生まれた。
『機動戦士ガンダム』には、富野監督の戦争に対する想いが隅々にいたるまで行き渡っており、ロボット・アニメだからといって、到底侮ることなど出来ない。
時代を越えて、こちらに訴えかけてくるものがある。
歴史的傑作とは、そういうもの。
『機動戦士ガンダム』とは、ロボット・アニメという限られた枠の中で、いかに戦争の怖さ、哀しさを描くかということに挑戦し、成功させた魁的作品。一度は絶対観るべき価値あり。
古いのなんのとごちゃごちゃ言わんと、
観なはれ!