Frany's Yard

Frany's Yardはトリュフのスタッフたちが、アンティークの話、日常の中の嬉しい、可愛い、心地いいことを綴ったミニコラムです。

月の缶(single ver.)

2011-10-14 19:03:25 | food
今宵(10/12の事、既に一昨日です)は月が大層綺麗で、
差し詰め晩秋の名月と言ったところ。
満月を見るとお腹が空くのは何故なんだろう。
帰宅を急ぐ自転車の、ペダルを踏む足にも力が入る。
sabaeです。今晩は。
食欲とか食欲に良い気候です。
あと食欲とかにも。
秋ですね。

前回のエントリで徳島の親戚から、スダチが送られてきたと書きましたが、
また送られてきてた。
第二弾。
だから使い切れない訳でまたしてもポン酢醤油を作ったのですが、
書き忘れていたことがあるので、前回の補足としてのエントリです。

http://blog.goo.ne.jp/antiques-truffle/e/492e42f1b14b6a9c096d76c9fa2ebf5a
↑で、
>>要は柑橘果汁に昆布と削り節を入れて、醤油で割ればいいんだろう。
>>んで、作ってみた。

なんて書いてますが、味醂に全く触れていませんでした。
実際には「醤油:スダチ果汁:味醂」が「5:5:1~2」ぐらいです。
で、昆布と鰹節を漬けて一昼夜置いておき、漉して出来上がり。
火は使わなかった。
私はやや甘めにしてみましたが、味見がてらちょっと前回のを使ったら、
まだまだスダチの酸味にカドがあります。
やっぱり暫く寝かせた方が良いのでしょうけど、刺激があって悪くはないです。

この際だから使った材料も。

徳島産スダチ果汁
ヤマサ有機醤油
白扇酒造福来純三年熟成本みりん
日高昆布
鹿児島産本枯れ節(雌節)
分量は適宜。

使った道具はこんな感じ。
シトラススクイーザー
ホーローボウル×2
出汁漉し笊
鰹鉋
デジタルキッチンスケール
以上。

スダチには使い物に成らなかったレモンスクイーザー。

使用済みの昆布と鰹節は煮物にでも、
スダチの皮はスダチ風呂用にとって置く。
ホントに使うのか?と自問しつつまだ使えると思うと捨てられない。
物も同じでガラクタが増える一方です。


sabae














裏庭日記 v6.7

2011-10-06 19:35:36 | 裏庭日記
私が寝ている部屋の窓の外、2mぐらいのところにユリノキが生えている。
夏の間は部屋から見える範囲でもアブラゼミ、クマゼミ、ミンミンゼミの3種6匹程張り付いていたりするので、
毎朝セミに叩き起こされるような日々でしたが、この頃は静かなもので、季節の移ろいを感じます。朝夕は寒いし。
sabaeです。ここ数日肌寒い日が続き、すっかり秋も深まったかのようです。
蝉の代わりとばかり秋虫の鳴き声が風流ですが、押入れの中からコオロギの鳴き声がする気がしてならない今日この頃、如何お過ごしですか。

冬眠する訳でも無いのに食欲が満ちるこの季節。
取りあえず今安いものを買っておけば外れはありませんが、魚介類で秋の味覚と言えばサンマは外せない。
今年は豊漁だそうで安いので、我が家でも頻繁に食卓に上がっておりますが、付けあわせとしてどうしてもスダチが欲しいところ、
裏庭のスダチが収穫の時です。
苗を買ってから今年で三年目、去年は10個も実を付けなかったのですが、今年は花付が良く、摘蕾が面倒なほどでした。
と言っても鉢植えで、小さな木ですから、せいぜい20個程に減らして育てていましたが、一つ、また一つと収穫しつつ、「今日はサンマを食べるぞー!」なんて気合入れてスーパー行ったり、ちびちび楽しんでいました。
花の時期からこちら何ヶ月と楽しみにしてましたからね。

そしたら、徳島の親戚からスダチを大量に送ってきました。


多い。
写真でも1/3量です。
今までの俺の努力は。
だいたい漁村でもないので毎日サンマを食べる訳ではなく、スダチ飯(あつあつご飯に削り節を乗せ醤油を垂らし、スダチを搾りかけた所謂ネコマンマ)も毎日は食べないわで、どうやって消費するかも悩むところですが思いついた。

ポン酢にすれば日持ちするんじゃね?

要は柑橘果汁に昆布と削り節を入れて、醤油で割ればいいんだろう。
んで、作ってみた。
初めてですが、よっぽど分量がおかしくない限り大丈夫なはず。
今までポン酢醤油と言えば、ミツカンか頑張って澤井醤油だったのが、いきなりランクアップしたような気がして気分もリッチに。
味的にはランクダウンかも知れませんが、まだ味見していないもので乞うご期待→自分。
参考にしたサイトによると3ヶ月は寝かした方が良いという事で熟成中です。
サンマの季節は外しそうですが(サンマにポン酢醤油も良いですよね)、鍋の季節には活躍してくれるでしょう。
ちょっと楽しみですが、自家製スダチを育てる意欲が無くなりそうです。

sabae


joni mitchell "mingus"


マザーウォーター

2011-08-15 11:15:49 | Weblog
「もたいまさこの食いしん坊万歳」

トリュフからも、椅子やテーブルを撮影に提供させていただいたので、
すごく観たかったのに、忙しさにかまけて見逃してしまった映画「マザーウォーター」。
マルツにDVDを借りて、ようやく観た感想は、一言で言えばこんな感じです。
とにかくもたいまさこが、ほとんどの出演シーンで、何かしら飲み食いしている。
トリュフの椅子やテーブルも確認できたし、楽しかったとしてもいいのですが、
これだけじゃあんまりなので、もう少し。

登場人物は皆、徒歩で移動する。
乗り物には乗らないし、走りもしない。
歩き方もゆっくりで、そういえばサンダル着用率も高い。
公開時の宣伝で、京都を舞台にと言っていたと思うが、
作中では「ここ」、「この辺」、「この町」としか呼ばれない。
主要な登場人物も京都弁(関西弁)は使わない。
タイトル通り水を身近に感じられる、架空の小さな町を舞台にしている。
この辺の住人(含む俺)なら、見覚えのある水も多い。水源は色々。
そんな川や疎水や地下水脈のように、どこかからこの町に流れてきて、
ひと時混ざり合うような人々の暮らしが淡い濃度で描かれる。
年齢はばらばら、下は1歳半ぐらいから、上は年齢不詳まで。
人物の背景はあまり語られないが、皆何かしら事情があったりなかったりするようだ。
毎日の生活や交わす言葉の端々に、時に現れたりもする。
合流し分流しながらも、それぞれの流れは続いていく。
きっといつか海に帰っていくのだろう。

どうしても抽象的になってあらすじになりません。
ともすればネタバレになりそうなので、断片的な印象だけを。

個人的に好きな役者さんばかり出てくるので、知ってる場所で、彼ら彼女らが動いてるだけで嬉しい。
京都の方はいらっしゃらないとは思いますが、京都の人間より京都っぽいですね。
シリーズの「かもめ食堂」、「めがね」、「プール」でもロケ地の方よりそれっぽかった筈。
「プール」は未見ですが。

京都をロケ地にしたこの映画の味は、左京区出身の私には驚くほどなじみのある物で、
京都的と言うより左京区的、と言ったほうがしっくり来る。
ロケをした場所も店も、左京区が多く、知っている所もちらほら。
想像以上に近所でやってたようです。知らんかった。
もっともお店や神社など左京区以外の場所も出てくるし、
左京区から伏見区まで10km程を、徒歩で移動しているような気もするが気のせい気のせい。
あくまで「この町」の話で、味のベースは左京の出汁という感じ。
作中出てくるお料理は、飯島奈美さんのお料理なんですけどね。
相変わらず、うまそうです。
エンディング近く、もたいまさこが、市川美日子さんと公園で食べる玉子サンドは、「コロナ」がモデルでしょうか。
すごくおいしそうだった。(特典映像にレシピ有)
住宅街の普通の公園で、日常の一部としてこんなお弁当を食べる幸せ。
ちょっと努力すれば誰でも手が届く、そんな幸せの見本。
俺さえ頑張れば、明日にもできます。
その見本を示してくれた、この映画は私にとって思い出の作品になることが、俺会議で決定しました。
今度DVD買います。

映画本編もよかったが、おまけの特典映像も楽しめた。
特に市川美日子さんが京都を散策される、「イチカワの京都散歩」がよかった。
疎水、哲学の道界隈の場所を散策される、京都一人旅のお手本のような経路。
途中トリュフに来てくれてもいいんじゃないか?と思う程近所の場所出すぎ。うらやまし過ぎ。
経路として考えると順番がおかしいところはありますが、編集の都合でしょう。
初日最後に「コロナ」で玉子サンドを食されますが、コロナのじーさん現役だったんだ。
齢90は超えて居られるはずだが(調べたら96歳だそうです。)、動いておられる映像を見られたのは眼福。
今度是非行ってみよう。と言うか早く行かないと。



鑑賞後散歩に出たくて仕方がなくなって、作中に登場した玉岡児童公園に行ってみた。
もたいまさこが藤森神社で水を汲んでたのと同じ、タイガーの「SAHARA」には、
公園のすぐ近所の赤の宮神社でいただいた水が入っております。
豆腐は浄土寺の高松豆腐店の物。
さすがにこの場で一丁食いはしませんでしたが。
地元の水と年寄り(高松さんは80代です)に、感謝するのも、
この映画の余韻を楽しむには似合っていると思うので。

あと出演シーンは少ないですが、以前雑誌の取材でトリュフにいらした、
伽奈さんが重要な役で出演されています。
雑誌の取材時には私も店にいたのですが、お顔も確認できない程の一瞬のご滞在でしたから、
一方的にご縁を感じているだけなのですが、ますますのご活躍を祈念しております。
とまぁ、そんな素敵な映画です。
機会と興味のおありの方は是非ご覧ください。

sabae

もたいまさこさんだけ文中敬称略にて失礼いたします。「もたいまさこさん」って字面がどうにも嫌だったので。




裏庭日記 v6.0

2011-08-03 18:58:37 | 裏庭日記
店の前の通りを下校する、小学生の行列を見かけない。
そう言えばもう夏休みなんだなと思いながら、
下校児童たちの喧騒が聞こえないのも少々寂しい。
毎年の事とは言え、夏休みは子供達には楽しみにしていた大イベントだろう。
親御さんたちには、ご苦労様ですとしか言いようが無いが。
sabaeです。
お久しぶりです。
長いブログ休みでした。

今年の春も裏庭では、色々花が咲いてくれ、ミツバチはじめハナバチの仲間やアブ、チョウ達が受粉してくれてました。

(ツクシノバラとマルハナバチ)


花の季節はまるっとスルーしてしまいましたが、実の収穫のご報告。



巨峰です。
実が小さくて、不ぞろいですけど巨峰です。
苗を買ってから3年、ようやく実を付けてくれました。
実が熟すのが早すぎる気もしますが、屋内で天井が半透明のプラスティック波板なので、ちょうどビニールハウスのような環境になっているせいでしょうか。こいつはマルツが世話をしているので、是非味わわせてあげたいのですが、丁度買い付け旅行中。かと言って収穫しないわけにもいかず、撮影の小道具にした後、マルツの娘達に進呈。2粒分けてもらった。
小粒で酸味は強いが、甘みもしっかりあり、好きなタイプの味でした。



ブルーベリー。
2株ある内の1株が沢山実を付けました。
ちょっと欲張りすぎたかとも思いましたが、充分大きく育ってくれて、連日収穫に勤しんでおります。
あまり鳥に狙われることも無いようで、それって味がお気に召さないと言うことかと、若干寂しい気もしますが、ゴミを漁るカラスにも、登下校時の児童にも見向きもされていない。
いや、良いんですけどね。管理が楽で美味しいので、もう何株か増やして、ジャムが作れるぐらい育てようかとも思っております。

しかし最近の児童はお行儀が良いと言うか、コンプライアンスが行き届いているというか、そこらへんの家に成っている果物を盗んだりしませんね。
私が子供の頃などは、食べられる実は人んちの庭に忍び込んでまで、盗み食いしていたような。柿、枇杷、柘榴、無花果の大物から、スグリ、グミなど小物まで。山に入って、自生してるよく分からない実まで口に入れていたので、今にして思えば相当危険な気もしますが、友達の誰かが詳しかったりして生きながらえたようです。

先日疎水沿いを歩きながら通勤しましたが、道々植わっている木など見ていると、ビワやヤマモモが実をたわわに実らせている。にも拘らず、誰も食べない物だから歩道が落ちた実で埋まってました。この辺の鳥達は舌が肥えてやがるのか、はたまた味の悪い実なのかは分かりません。ひょっとして山に食べ物が多くて、里まで来なくなっているとしたら何よりですけれど。
誰も食べなかった実を少し寂しく眺めながらも、食べる相手が居ようが居まいが、毎年実をつける木々を頼もしくも思ったり、去年と同じ夏が巡って来ることを幸せに感じたりしながら、日々働いております。

sabae


Tom Waits "Glitter and Doom live"


きょうのいっぴん(英国便り3)

2011-07-26 18:40:26 | 買い付け日記
前回のアイボリーブローチの日については、何のコメントも付さず、大変失礼致しました。ベッドでブログの言葉を考えながら寝てしまうなんてのがしょっちゅうで、いいかげんなことにそのまま送ってしまったりするものだから、こんなことになってしまって、どうかお許しを。ロマンティックなチェラブのブローチは、日本に持ち帰りましたので、また後日詳しい内容をご紹介させてください。

そう、今、僕は京都でこのブログを書いています。延べ3週間余りの買い付けの旅より、無事戻ってまいりました。スペアタイヤを知らぬ間に盗まれていた以外には、これといったトラブルもなく、(盗まれたのは想定外(唖然...そして涙)でしたが、この程度の被害はもう、長旅につきもの、な訳です。)とにかく肩の荷が下りた帰国です!。ナマケモノの如くスローな動きで本日の発送業務をこなしたあと、時々気が遠くなりキーボードに額を打ちつけながら、夢うつつで書いています。



さて、旅の終わりに。
僕の心揺さぶられた品は、前回に引き続き、ガラスに焼き付けられた写真でした。イギリスのどこかの工房のモールディングの仕事の記録ではないかと思います。その壊れかけた木箱には50枚ほどの装飾の記録写真が収められていました。100年ほど前のもののようですが、それまでに脈々と続いてきた様式の姿を留める試み。全ては鏡に映るこのカメラによって残された記憶。これらのガラスのネガには、記録写真ゆえの硬質で、おもねらない美しさが宿っていました。

今回もよく走り、よく働き、よく買いました。しばらくすると、雑貨類が航空便で到着し、9月中旬ごろには、家具と雑貨がコンテナで到着します。どうぞご期待ください。今週は、筋肉痛とひどい時差ぼけで、僕自身は使い物にならない状態・・・店でノロノロ仕事いたします。

マルツ

きょうのいっぴん(英国便り2)

2011-07-23 15:35:37 | 買い付け日記

薔薇と天使とリボンと。
象牙細工のブローチ Victorian



きょうのいっぴん(英国便り)

2011-07-22 19:08:19 | 東日本大震災支援
ヴィンテージのクリスタルグラス

いくつかの雨を抜けて、ようやく今夜のホテルにたどり着いた。
幸運なこ とにちょうどこの辺りは雨の気配はなく、トラックの荷台で荷物の梱包を始める。
陽が長いのが有難いような、恨めしいような…。
21:00、 だいぶ暗くなってきたので、しぶしぶ作業終了(やっぱ陽の長いの
は有難いのです)。
南仏での買い付けを終え、すでにイギリスに 入って1週間が過ぎた。
Tシャツ1枚では、肌寒い気温 と厚い雲。
突然の雨の用意にも、ようやく慣れたところです。

イギリスには、ウォーターフォードやスチュワートなど、優れたクリスタ
ルメーカーが幾つもありますが、アンティークフェアにも新旧混ざって
様々なクリスタルが出てきます。
アンティーククリスタルは英国内での価値が高く、なかなか仕入れとなると手が出ないのですが、それらに混ざって出てくる、数十年まえのもの、最近のもの、未使用品のものも多く、こういったものの中から、佇まいの美しいものを選んで買い付けてみました。

どや顔でご紹介するほどのものではないですが、普段使いに気軽に楽しんで欲しいと思います。
価格も比較的お手頃に設定できそうですので、どうぞお楽しみに。

このワイングラスは、ほんの少し小さめサイズが良い感じで、ステムの
カットがちょっと目を引きます。

マルツ

きょうのいっぴん( 南仏便り 3)

2011-07-21 19:09:13 | 買い付け日記

郷土色というのでしょうか、この独特の気候のせいか、南仏では、その風土を感じさせるような品に心が動かされるものですが、なぜか手にした銀器には、底にTIFFANY&Co.の刻印。

さすがに、銀器に南仏の風土を求めるのは、すこし無理があるかもしれないですが、パリや他の地方都市ならともかく(なんと大雑把なくくり!)南仏での出会いに、妙に納得がいかないのは、僕の南仏への過剰なロマンチシズムのせいでしょうか。
そんな事を、その瞬間に考えたのだかどうだか、シュガーポットは手から離さず、気のない素振りも見せながら、状態を確かめつつ、交渉に挑む。

おそらく1900年代前後まで遡るのではないだろうか、愛らしくもあり力強さも見せる、文句なく魅力的な逸品。ティファニーでなくても買い、というのは愚見かもしれない。何故ならそれは、ティファニーだからこそのセンスと技術で、世に出された物なのだから。
銀のシュガーポットは、無事京都へ届いたようです。


※こちらの品は既に南仏より発送済みで、間もなく店頭に並びます。

マルツ


きょうのいっぴん( 南仏便り 2) 

2011-07-19 19:11:28 | 買い付け日記

写真を携えるブローチ。

7月のアルルは、村を挙げての国際写真展に大勢の人が訪れ、盛り上がります。そんなムードの中、朝の蚤の市でも写真関係のものが、やはり気になって手にした、フレーム状になった小さなブローチ。
大切な人の姿を携えるのは、手帳の中でなくても、携帯の待ち受け画面でなくても、こんなふうに肌身離さず、恥ずかしがらずに。


※こちらの品は既に南仏より発送済みで、間もなく店頭に並びます。

マルツ


きょうのいっぴん( 南仏便り )

2011-07-15 09:22:05 | 買い付け日記



南仏の夏は陽が長く、そんな太陽の恵みに、不謹慎にもついつい労働時間
を伸ばしてしまいます。結果、ご報告がこんな遅くなってしまいました
が、7月の始まりとともに、買い付けのひとり旅を続けています。
今回も、旅の途中で出会った気になるものたちを、ほんの少しご紹介しま
しょう。

リキュールもしくは調味料の小瓶。

花の開いたような口許に熟れた果実のような膨みが魅惑的な吹きガラスの
小瓶を並べてみる。
足の有るもの、ないもの、曇り具合いの違うそれぞれのガラス。
吹きガラスのゆるい風合いに角を付けるカットで図られた質感の均衡が心地良い。

譲ってくれた初老のマダムは、彼のゴッホも憑かれたリキュールの瓶だ
と、フランス語がからきしの僕に、身振り手振りも混じえて一生懸命説明
してくれるのだが、ゴッホが中毒だったと言われる昔のアブサン (昔のアブサンには中毒性があったっとか)のカラフェなのだろうか?
ビネガーやオイルの容器にも見えるが。
そんなことで、真偽は確かではないが、どことなく食虫植物を思わせる佇まいに、毒の余韻が微かに残るようでもある。
1888年にゴッホが生きた村、アルルより。

※こちらの品は既に南仏より発送済みで、間もなく店頭に並びます。

マルツ