夏場からここ最近の9月初旬にかけて、甲状腺機能亢進症の患者さんが何名か続きました。
その中でおひとり、出産後の育児中の方がいらっしゃいました。
産後、寝不足で体調が悪いのか、疲れやすく、動悸やイライラもあるということで、基本的な項目に加えて甲状腺ホルモンの数値をチェックしたところ、甲状腺ホルモン値の高値が見られました。
産後の甲状腺機能異常は比較的、多く見られる病態です。
妊娠出産前に甲状腺自己抗体陽性が確認されている症例などでは、産後63%に出産後甲状腺炎がおきると報告があります。また、出産後甲状腺機能異常の89%が抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPO抗体)陽性といわれます。
橋本病妊婦の37.8%が出産後甲状腺炎をおこし、橋本病抗体のない妊婦でも8.2%が出産後甲状腺炎になるという別の報告があります。
上記の症例のように出産後の育児疲れなどとの症状がオーバーラップすることも多く、症状の出現時期が幅広いため、出産との因果関係が付きにくかったり、多くが一過性なので、病気と認識されない場合も多くあったようです。
出産後の甲状腺機能異常で比較的多いのが、
産後1-3か月の早期に破壊性甲状腺中毒症になり、引き続き一過性の甲状腺機能低下症もしくは永続的な甲状腺機能低下症を示すケースです。
破壊性甲状腺炎とは甲状腺ホルモンの産生が多くなるバセドウ病とは異なり、甲状腺に何らかの炎症が起こることで、甲状腺組織が破壊されることで、甲状腺ホルモンが血液中にあふれ出し、中毒症状がでるものです。
作って多くなるか(バセドウ病)、工場が壊れて垂れ流されるか(破壊性甲状腺炎)で機序が大きく違います。
基本的には破壊性甲状腺炎(痛みがない場合は無痛性甲状腺炎といいます)は一過性なので、経過観察で症状が消えます。症状が軽ければ、治療の対象にはなりませんが頻脈症状などが強い場合は脈を整える薬などで様子を見ます。
こちらの甲状腺の採血検査はどこでもできる検査です。
産後の体調不良で悩んでいる方は一度採血検査を受けてみるのもよいかもしれません。
参考になればうれしいです。
学生の時、無痛性甲状腺炎になりましたが、
当時は、この病名が分っておらず、ホルモンが安定しにくいと言われました。
私の場合は、ストレスが強く掛かると、無痛性甲状腺炎になり、何度も繰り返しています。
体調が悪い方には、受診をおススメします。
無痛性甲状腺炎はじめ、最近になって病態が分かるようになった病気もたくさんありますよね。採血してみないとわからないので、一度受診すると良いですよね。
コメントどうもありがとうございました😊