再読のための覚え書き
室生犀星詩集
室生犀星(1889-1962)
「心」
一つの心を心として築きあげるとき
くらべるものもなきまでに高めるとき
私はいつも偉きな安心を感じた
心にゆるみをもち
小さく譲り合つてゐるときの私は寂しかつた
私は高きに昇る心を養ひ初めた
心を心として
あくまで自由にそだてることは
いつも私を大きくした
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「ふるさとは遠きにありて思ふもの」の詩が有名な室生犀星。その詩のとおり、孤独な幼少時代を過ごした故郷の金沢にはほとんど帰らず、金沢を流れる犀川の写真を、東京の部屋に貼っていたという。
故郷を思いつつも精神的放浪を続ける犀星の、常に精神を清くしようという姿勢が心を打つ。
2022.3.31読了
室生犀星詩集
岩波文庫
昭和30年8月25日初版発行
昭和49年11月20日22刷
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