再読のための覚え書き
死
ポール・ブールジェ(1852-1935)
木村太郎訳
戦時下のフランス、マルサル医師は野戦病院で働いていた。
恩師であるオルテエグ医師は、神経外科医として傷病兵たちを精力的に治療するが、自身は不治の病に侵されていた。やがてそれは、彼のまだ年若い妻に告げられることになる。
妻の従兄弟で有能な将校であるエルネストは戦地で負傷、彼らの病院に運ばれる。妻との関係を疑うオルテエグ医師は、その肉体とともに精神も瓦解してゆく。
マルサル医師は、この三角関係と関わりながら、死とは何かという生命の根源的な問いに触れてゆく。
「この世に誰か苦しんでいるのがある限り、そしてその者に対して私たちに何か少しでもよいことがしてやれる限り、この世を去ることは、それは逃亡することです。そしてこの戦時には、この世界中の不幸の中では、到る所に、苦しんでいる人間がいます」
2022.2.20読了
死
新潮文庫
昭和27年5月15日初版発行
昭和43年12月20日20刷
旧仮名遣い
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