長島 潤 Sing a mindscape

jun nagashima singer-songwriter

山本有三「波」

2022-03-12 11:50:00 | 

再読のための覚え書き


山本有三(1887-1974 


小学校教員の見並行介は、生い立ちの不幸な教え子きぬ子を再三助け、やがて彼女を妻とする。


しかし、妻の不貞の後に生まれた息子は、本当に自分の子どもかどうかわからず、行介は悩み続ける。


浜に打ち寄せる波を見ながら、やがて行介はひとつの考えにたどり着く。


様々な挫折を重ねて未来を見据える、求道的な作品。


「あなたは古いのね。どうして、愛はそう一方に片よらなくちゃいけないの。あたし、わからないわ」

「君、ハートはだれでもひとつしかないものなんですよ」

「あたまもひとつしかないわね。でも、みんな、いろんなことを考えるじゃないの」



2022.2.6読了


新潮文庫

昭和29915日初版発行

昭和4393027


# #読書 #文学 #文庫 #山本有三 #






石川達三「青色革命」

2022-03-12 10:06:00 | 

再読のための覚え書き


青色革命

石川達三(1905-1985


戦後の復興を遂げた東京。元大学教授の小泉先生は大学を追われ、目下、失業中である。


貞淑で封建的な妻、反して、戦後の社会に絶望しながらも新しい思想を生きる二人の息子たち。


個人の自由のない結婚制度を認めない、姪と助教授。


そんな周囲の人たちの生活と思想に接しながら、小泉先生は人生の目的意識を見出してゆく。


「腹が立って、正面からぶつかって行けるのは若いうちだ。年をとると正面から行っても駄目だと悟る。正義が必ずしも力ではないと悟るのだ。」



2022.3.11読了


青色革命

新潮文庫

昭和33930日初版発行


# #読書 #文学 #文庫 #石川達三 #青色革命






石川達三「転落の詩集・智慧の青草」

2022-03-07 08:47:00 | 

再読のための覚え書き


転落の詩集・智慧の青草

石川達三(1905-1985


《転落の詩集》

警察署内で、川地警部補が取り調べた子連れの女は、スリの未遂で逮捕された酒巻美代。


美代を捨てた愛人は、川地の大学時代の同級生だった。


川地は、同級生の罪を償いたい気持ちで、美代に親切にするのだが……


「嗤うべき愛は罪を招き

愚かなる女はやがて獄舎に下る

法は国を治むるとも女を治めず」


・・・・・・・・・・・・


瑞々しくも儚く、美しい物語。



2022.3.6読了


転落の詩集・智慧の青草

新潮文庫

昭和24825日初版発行

昭和3292519

旧仮名遣い


# #読書 #文学 #文庫 #石川達三 #転落の詩集・智慧の青草





石川達三「結婚の生態」

2022-03-01 10:34:00 | 

再読のための覚え書き


結婚の生態

石川達三(1905-1985


恋愛や結婚生活のあれこれを、理屈で定義し、妻を教育しようとする夫。


やがてその理屈を逆手に取って、夫に逆襲するようになる妻。


著者石川達三の、新婚生活の記録。


「恐らくは夫婦も六十歳に達すれば欲望が衰えて清潔な奪わざる愛情の生活に入って行けるように思う。私は最初からそれを実行してみたかった」


2022.2.28読了


結婚の生態

新潮文庫

昭和251120日初版発行

昭和42103039

旧仮名遣い


# #読書 #文学 #文庫 #石川達三 #結婚の生態