asayanのブログ

趣味を中心に、感じたことを書いていこうと思います。

お知らせ

近ごろ、更新を怠っています。コメントへの返事が遅くなります。どうぞ、ご了承ください。

O・ヘンリーのリアリティー

2014-05-09 21:59:34 | 日記
カルチャーラジオ 文学の世界  O・ヘンリーの第6回。

 The Last Leaf(最後の一葉)の終わりの場面、

たたきつける雨、強い風が吹き荒れても蔦の葉は落ちなかった。

その描写に、『現実ではありえない。 リアリティーが欠落している。』

と受け取れれている。

確かに、雨の降りしきる中、壁に油絵の具で葉を描くことができるでしょうか?

おそらく不可能でしょう。


もしかしたら現在では、

描く壁面に特殊細工を施して油性のペンキなどで画いたり、

なんらかの工夫をすれ描くことは可能かもしれません。


そうすると、全くリアリティーがないとも言い切れない気がします。


作者の意図したテーマはリアリティー性の追求より、

人間の奥深い心理に重点を置いていたと考えます。

病床のジョンジーに、気持ちで負けないで生きて欲しい と。

O・ヘンリーらしさが表現されています。



Witches' Loaves

 魔女のパン と評論社 下嶋統一氏 の訳注があり、
 別冊の訳本には、「妖しきパン」と題名がついています。

 魔女たちのパン 旺文社文庫 大久保博氏訳

 善女のパン 新潮文庫 大久保康雄氏訳

 善魔女のパン  講談社文庫 多田孝幸蔵氏訳

手元にある翻訳本を調べたら、

訳者によって全て題名が異なっています。

決定したタイトルがこの作品にはないのでしょうか。


Witches’は witchの三人称単数、witchの複数形。魔女。

なぜ Witches’と複数形になっているのか?


旺文社文庫の大久保博氏の傍注には、
「サンドウィッチ」のウィッチの発音、(原文では「ウィッチズ」と複数)は、
この作品の表題の「魔女たち」(ウィッチズ)と呼応する。
作者は、恐らく、この効果をねらったのであろう。


と記述があり、納得する注釈です。



O・ヘンリーが製図係りの助手として働いた経験が生かされた作品で、

登場人物のミス・マーサは善意や好意で行った事が、

相手にしてみれば大失敗を起こす原因になってしまった。

パンにバターが塗られていた為、

折角三ヶ月を費やして描いた応募予定だった設計図が、

台無しになってしまったのだ。


この描写も、製図士が注意しておれば、

パンのバターに気付くであろうし、

失敗を未然に防ぐことができたかもしれない。


設計図を台無しにするほどパンを使わないだろうと。

ここにリアリティーのなさを感じると 思われます。


現実的には、確かにそうかもしれませんね。


ただし、奇想天外なオチをつけることによって、

人間味あふれる読後感が得られるのだと感じました。



第11回には、「最後の一葉」

最終回の第13回には、「賢者の贈り物」 の講義。


最終講義まで、拝聴したいです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする