ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第10節 モンテディオ山形vs京都サンガFC

2020-08-10 19:37:18 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の山形の記事はこちら(4節・水戸戦)
※前回の京都の記事はこちら(7節・長崎戦)

最後に勝利したのが2節(栃木戦)と、遠い過去に感じられる現状の山形。
この日はフォーメーション変更を敢行(前節途中で試行済み)し、4-4-2で挑みました。

その影響か、立ち上がりは効果的に京都陣内に攻め入る山形。
2センターバック(野田裕貴・熊本)からのビルドアップかつ、岡崎・中村駿のドイスボランチが縦関係の位置取り(ただしハッキリとした「丁の字型」では無い)をしつつ、前目の中村駿が左右に動き回って引き出し役に務めていました。

前半3分と4分に山岸がシュートを放つも決められず。
すると逆に京都の7分の攻撃、右サイドからパスを繋ぎつつ、中野の右奥へのスルーパスに野田隆之介が走り込んでクロス。
低いボールにピーター・ウタカが合わせシュートも、ゴール左に外れます。
決まらなかったものの、以降このシーンのように、ウタカの決定力が全てをぶち壊すかの如く山形に襲い掛かる事となります。

山形のシンプルな布陣による攻撃、また中村駿が加わってのサイド攻撃への対応に後手を踏んでいた感の京都の守備。
左サイドハーフ・末吉と左サイドバック・松本が奥まで進入する場面が多く、この左サイドでの攻撃を終始ジャブとしていた感が強かった山形。
20分、相手クリアボールを拾った岡崎が左へ展開し、ここでも左からの攻撃。
松本のクロスがクリアされてのコーナーキックで、キッカー中村駿はニアサイドへ低いクロスを入れ、これに野田裕が飛び込んでヘディングシュート。
見事ゴール上部に突き刺し、ジャブを撃ち続けた末の先制点を挙げました。

直後に飲水タイムを挟んだ後は、双方スローペースに。
京都は反撃に出ようとするも、ボールが繋がらず攻撃の形を作れないシーンが多々。
これは山形の試合になるか、という雰囲気の最中、ウタカの実力が牙を向き始めます。

京都は好機を得るのに10分近くも費やしましたが、それを見事にモノにしたのが31分。
停滞感を打破しようと、CBのヨルディ・バイスがドリブルを見せたのが始まりで、一旦左サイドへ送るもパスワークの末バイスに戻って来たボール。
バイスは右へサイドチェンジを選択、その後飯田→安藤縦パス→ウタカポストプレイ→中野と渡っていき、右奥から中野が柔らかいクロス。
このボールを、ポストプレイの後素早くエリア内に入っていたウタカがヘディングで捉え、GK櫛引の手を弾いてゴール。
マンパワーを見せ付けたウタカ。
これで京都は息を吹き返し、以降は一進一退の様相となります。

そんな試合展開に、審判の判定もそれを別の意味で彩っていく事に。
最初に被害(?)に遭ったのは山形で、京都のビルドアップにプレスを掛け、敵陣で安藤のパスミスを誘う事に成功。
しかしボールを拾いにいった大槻が安藤に倒されシュートを撃てず。
これでも審判の笛は鳴らず、拾ったバイスからパスを受けた中野が裏へロングパスを出し、カウンターという泣きっ面に蜂の展開に。
山形ディフェンスの裏を取りつつパスをトラップしたウタカ、山形・熊本のアタックを受けつつもエリア内でシュート。
再び圧倒的な個の力をウタカが見せ、京都が勝ち越しに成功します

何とも釈然としない失点となった山形ですが、その埋め合わせのようなシーンから再び同点に。
39分の京都の攻撃、中野の左へのサイドチェンジを受けた荒木が、カットインでエリア内に進入。
ここで後方から山形・渡邊のディフェンスで倒されますが、笛は鳴らず。
すると直後の40分、山形は左サイドで攻める姿勢から一転、中央で縦パス攻勢。
岡崎縦パス→受けた渡邊が反転して縦パス→山岸受けてエリア内へ進入という流れるような攻撃に、京都・本多がスライディングで山岸を倒してしまい、今度は笛が鳴り反則・PKに。
京都サイドは抗議するももちろん覆らず、このPKを山岸が自ら左に決めて同点に追い付いた山形。

その後は再び山形に流れが傾き、アディショナルタイムにはセットプレー攻勢。
フリーキックを中村駿が直接狙い(左サイドから低いボール、GK若原キャッチ)、CKでは熊本がバックヘッドを見せるもゴールはならず、2-2のまま試合を折り返します。

その良い流れそのままに、後半立ち上がりに山形に勝ち越し点が。
後半2分、中村駿の渡邊を狙ったスルーパスはカットされたものの、直後に繋ごうとした京都・本多がパスミス。
これを山岸がダイレクトでシュート、これがループの軌道でGK若原の頭を越し(若原は触れるも跳ね返せず)、相手のミスをきっちり仕留めるゴールとなりました。

再びリードを奪った山形、この展開を守りたい所。
しかしそんな思惑をひっくり返したのは、またしてもウタカ。
8分、ダイレクトパスの連続という攻撃で中央突破する京都、野田隆のダイレクトパスをウタカがトラップしまたもや山形ディフェンスから裏抜け。
GK櫛引との1対1を制し(左へドリブルでかわす)、悠々シュートを突き刺してゴール。
ハットトリック達成で、またも試合は振出しに戻ります。

チームを引き継ぐ事の難しさを痛感させる、今季の両クラブ。
今季から山形の監督を務める石丸清隆氏、これまでは自分色を抑えていたのか、前年までの形を引き継いで戦ってきました。
具体的には、京都監督時代に使用してきた4-4-2のフォーメーションは導入せず、山形従来の3バックを採用。
3-3-2-2という形(一昔前なら3-5-2と言われる形か)で挑んできたものの、目下1勝のみと成績は上向かず。

そして前節(徳島戦)の途中から4-4-2へとシフトし、この日はスタートからそれを継続。
皮肉にもそれが果たされたのが古巣・京都戦とは因縁深いですが、攻撃面ではその効果が早速現れたものの、守備では変化故の綻びか大量失点。(単にベテラン・栗山が欠場していたためともとれるが)

チームに対する遠慮も感じられた序盤の石丸氏でしたが、ここに来て自分のスタイルへと変更。
それはやり易い形であると同時に、それでも結果が出なければ逃げ道が無くなるという事でもあり、現状辛い立場であろう事を思い知らされます。

そんな山形の対戦相手の京都も、「前年から」という難しい立場です。
前年は「3トップによるポゼッションサッカー」を基本形に、見事J2の底辺から立ち直る事に成功したクラブである京都。
そんな状況の中、監督業を引き継いだ實好礼忠氏。
前年の中田一三監督の下コーチを務め、また中田氏が「監督業を各コーチとともに分担する」思想の持ち主だったため、實好氏も前年のサッカーにある程度は関わっていたと思われます。

しかしオフを挟んで選手構成が大きく変わったのもあり、ここまでは前年とは別のサッカーになっている印象。
フォーメーションは3-3-2-2を基本形とし、守備はバイス・攻撃はウタカゴールパフォーマンスは森脇を中心としたサッカーで勝ち点こそ稼いでいますが、組織力の高いチーム相手には差を見せられる。(前回取り上げた長崎戦とか)

「前年のシステムを引き継ぐ」事よりは、ここまで「前年の好成績を引き継ぐ」事を重視している節があるここまでの實好氏。
つまり、個の力が高い・我が強いという選手をあまり抑え付けず、選手の長所を押し出す形。
「チームの成績>自分の理想」という割り切りは素晴らしいとは思いますが、果たして悪く言えば「個の力に頼る」サッカーで何処まで上位に喰らい付けるか、という不安点もあり。
これも一種の引継ぎの形ではありますが、今後はどうなっていくか。

乱打戦の様相となったこの試合。
再び息を吹き返す格好となった京都、ここからはボールを繋ぐ攻撃も見せ始めます。
12分、右⇔中央のサイドで石櫃(飯田と交代で出場・後半頭)・安藤・庄司・金久保がパスワークで崩していき、安藤のスルーパスで石櫃が奥に走り込むもクロスは上げられず。

一方の山形も攻撃の形は変わらず、サイドを使って奥に進入せんというスタイル。
そんな中、20分にビッグチャンスが。
相手クリアボールを中村駿が跳ね返し、これを渡邊が巧いトラップでエリア内右へと進入。
そして奥からグラウンダーでクロス、これが「後は合わせるだけ」というボールとなったものの、大槻は僅かに合わせられず。
さらに24分、左サイドから松本が中央へのパス、これを山岸が受けてそのままエリア内へ。
そしてシュートを放ったものの、バイスに当たったのちGK若原が好セーブして阻まれます。

直後に飲水タイムを挟み、両チームともに2枚替え。
山形は大槻・渡邊→ヴィニシウス・アラウージョ、南。
京都は中野・野田→レナン・モッタ、ジュニーニョ。
ともに助っ人の力も得て、勝ち越し点を奪わんとする采配でしょうか。

山形はヴィニシウスが良い引き出しとなり、スルーパスを出したり受けたりと奮闘を見せるもゴールは割れず。
すると次第に京都ペースに傾きます。
交代により3-3-2-2→3-4-2-1へとフォーメーションが移っていたのもあったでしょうか、2列目の守備が厚くなり山形のペースを削ぐ事に成功します。

それでも最後に笑ったのは、またもやこの男。
43分、本多が左サイドのかなり手前からクロスを上げると、ウタカが走り込んでヘディングシュート。
これも魅入られたかのようにゴールに吸い込まれ、この日4ゴール目となったウタカ。
あまりパスを繋いでいない段階で、手前からの長いパス一本という攻撃で試合を決定づけるウタカの得点力に、思わずこんな事も物議をかもすシーンとなったのでしょう。

その後反撃に出る山形ですが、流石に再び追いつくには時間が足りず。
ATに中村駿左サイドからグラウンダーでクロス→ヴィニシウスフリック→山岸シュート(ブロック)という攻撃が唯一のシュートだったでしょうか。
結局3-4のまま京都が逃げ切り、勝利に辿り着く事に。
激しい一戦は、ウタカの圧倒的な得点力により制圧されるという概要となりました。

コメント
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