2021年10月26日は、日本の皇室にとって大きな転換点となった。
秋篠宮家の長女・眞子さまと小室圭さん、今月30歳になった2人は婚姻届を自治体に提出して入籍を果たした。眞子さまは小室眞子さんとなり、2人揃っての結婚会見が都内ホテルで開かれた。
当初は会見で質疑応答を行う予定だったが、前日19時過ぎに質問への回答が文書になること、2人が冒頭のあいさつのみで退席することが発表された。25日の眞子さんは、オレンジ色のワンピースに身を包み、上皇上皇后両陛下に結婚の挨拶を行っている。沿道に集まった人や報道陣にも手を振って応えていた。
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国民的な祝い事になるはずだった内親王の結婚記念日は、そのスタートから不穏な空気に包まれていた。前代未聞の日、日本の長い1日をルポする。
沿道からは「バンザーイ」
午前10時、水色のワンピースに長い黒髪をまとめた眞子さんが、チューリップの花束を手に赤坂御用地にあるお住まいの玄関から姿を現した。続いて秋篠宮さまと紀子さま、佳子さまが外に出られ、最後の挨拶を交わす。佳子さまは眞子さんを抱きしめ、目を合わせて頷く場面も見られた。
眞子さんは報道陣に一礼して車に乗り込むと、秋篠宮ご夫妻と佳子さま、そして職員に見送られながら住み慣れた赤坂御用地を後にした。
赤坂御用地付近は多くの警察車両が厳戒態勢で警備を敷いていた。その中を眞子さんを乗せた車が走ると、テレビや新聞など数十社の報道陣が一斉にフラッシュを光らせる。沿道からは「バンザーイ!」という掛け声が上がり、眞子さんは窓を開けて笑顔で沿道に手を振っていた。
結婚会見の会場となったホテルグランドアーク半蔵門の周辺は警察と報道陣が100人近くごった返し、「今日は朝の9時からお祝いに来ました」という一般の人も。70代の女性は「歌舞伎を観に近くまで来たんですけど、こんなこと一生ないと思い、もう眞子さまにお目にかかれないかなと思って初めて来ました。お2人には幸せになってほしいです」と心配そうに様子を見守っていた。
「茶番会見やめて」「皇室特権の氾濫を許すな」
一方その頃、日比谷では結婚に対する抗議デモがスタートしようとしていた。午前11時に日比谷公園に集まった約120人のデモ隊は、日比谷から銀座までの1.7キロを40分かけて行進した。
デモ隊は「茶番会見やめて」「皇室特権の氾濫を許すな」「NO KOMURO 皇室利用を許さない」「皇室は私達のよりどころ」など様々なメッセージカードを掲げて歩き、沿道では怪訝な視線を向ける人がいる一方で、拍手があがることも少なくなかった。デモの主催者だという男性は、狙いをこう語る。
「9月12日から新宿を皮切りにデモを始めて、今回で12回目になります。国民は眞子さまの結婚に反対しているわけではなくて、小室家に対して誠実な対応をしてもらいたいと願っている。眞子さまは結婚に反対していることが誹謗中傷という認識を持たれているようで、それを聞いて個人的には落胆しました。小室さんに対しては最後くらいは自分が矢面に立って、責任を果たすのが夫としての役割じゃないかなと思います」
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参加者は50~60代の女性を中心に年齢も性別も幅広い層が参加していた。横浜から1歳の子供を連れてデモに駆けつけた20代の女性は「皇室に対するイメージはだいぶ変わってしまいました。以前まで皇室は自分たちとは住む世界が違うやんごとなき方たちで、日本のために色々がんばってくださると思っていたんですけど。ネットでの厳しい意見は自業自得としか思えません。眞子さまの身から出た錆だと思います」と厳しい口調で語った。
14時に眞子さんと小室圭さんの会見がスタートすると、半蔵門のホテル前に集まった人々は各自がスマートフォンを開いて中継を見守った。新宿でもアルタ前の大型ビジョンで会見の速報が流れていたが、足を止める人はいなかった。
会場のホテル前で会見を見守った80代の女性は感動した様子でこう話す。
「私は28年来の眞子さまファンで、会見を見てジンときました。眞子さまもしっかりしているし、小室さんも前の会見とは少し違った。眞子さまには結婚おめでとう。これからもお幸せにと言うしかないですよね」
会見から約3時間後の17時40分ごろ。眞子さんを一目見ようと集まった人で再び会場付近は埋め尽くされていた。
会場に入る際は窓を開けて会釈した眞子さんが、帰りは小室さんと後部座席に並んで座り、窓を開けずに会釈をしながら通り過ぎ、眞子さんが帰ったことに気づかない人々が多数だった。「ウソ、もう行っちゃったの?」と落胆する女性の声も聞かれた。
眞子さんが渡米するまで生活する渋谷区のマンション前では、会見中から30人ほどの報道陣が待機しており、17時近くになると近隣住民も集まって100名ほどが眞子さんと小室さんの到着をいまかいまかと待ちわびていた。
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警察官が大声で交通誘導する中、上空にはドローンも出現。17時55分頃に眞子さんと小室さんを乗せた送迎車が到着し、2人が車の中から窓を開けずに会釈すると、「結婚おめでとうございますー!!」という祝福の声が挙がった。
「眞子さまが小室さんに依存しているようにしか見えませんでした」
眞子さんと小室さんの結婚、そして会見は国民の目にどう映ったのだろうか。サラリーマンの聖地・新橋で仕事を終えて帰宅途中の人々に話を聞くと、厳しい反応が多く返ってきた。
「(会見で質問を受け付けなかったことについて)悔しい。小室さんは何から何まで逃げる人だった」(男性・30代)
「『私にとって圭さんはかけがえのない存在です』とか、国民はそんなことを聞きたいわけじゃないですよね。2人の惚気話を聞かされただけでした。一方的に自分たちの意見だけ押しつけて、国民の代表であるメディアの質問には答えない。そんな身勝手なことを30歳になった大人でやっていいのでしょうか。これから社会に出てやっていけるのか疑問です。眞子さまが小室さんに依存しているようにしか見えませんでした」(女性・30代)
そんな賑わいをみせる都内と対照的だったのが、小室さんの実家がある横浜市大倉山だ。朝は小室さんの出発姿を見ようとする報道陣が多くいたが、会見終了後には10名弱になっていた。
4年前に眞子さんと小室圭さんの婚約内定会見が行われた時は、商店街をあげてのお祭り騒ぎだった。
しかし26日は商店街に祝賀の垂れ幕や張り紙は一切なく、4年前の祝祭感はどこにもなかった。
商店街の人も、「4年前は駅前で商店街の振興組合が地元の梅酒を1000人以上に振る舞って、和菓子屋さんでもお赤飯が売られていました。でも今日は静かですね……」と寂しそうだ。
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近くに住んでいるという男性は残念そうな表情でこう話す。
「駅前でお祝いのメッセージを掲げていた人もいたみたいですよ。小室さんはちゃんとアメリカで自分の道を切り開いて諦めずにやってきたんだから私は立派なもんだと思いますけどね。一時金も受け取って幸せになって欲しかった」
大倉山商店街のレストランで学生時代にアルバイトをしていた当時の小室さんを知る女性は、懐かしそうに顔をほころばせた。
「今は男らしい感じですけど、当時はかわいらしい印象でした。小室さんがアルバイトしていたレストランにはよく家族で行っていましたが、きちんとナイフとフォークをテーブルに並べてくれてね。今日の会見も立派だったと思います。このあたりの人は心からおめでとうと思ってますよ」
1日ではがされたお祝いメッセージ
とはいえ、4年前は祝福一色だった商店街では先月、ある“事件”が起きていた。眞子さんと小室さんの結婚へのお祝いのメッセージとともに2種類の饅頭を発売した老舗の和菓子屋に無言電話や「もう二度とお店には行かない」という抗議の電話がひっきりなしに鳴ったという。お祝いメッセージは1日ではがされてしまったという。
秋篠宮さまと紀子さまは眞子さんの結婚について「今回、皇室としては類例を見ない結婚となりました」とコメントを発表。小室さんは来月中にもアメリカへ戻る予定だが、眞子さんの渡米日程はまだ決まっていない。今後お2人はどのような道を進むのだろうか。
その他の写真はこちらよりご覧ください。
「結婚することを認めるということです」――。昨年11月の秋篠宮さまのこのご発言で、眞子さまの粘り勝ちとも思われた小室圭さんとのご結婚問題。しかし、今年2月の天皇陛下のご発言で形勢一変。ご結婚問題は振り出しに戻ったとも言われている。
毎日新聞編集委員であり、秋篠宮との親交も深いジャーナリストの江森敬治氏が、天皇陛下の記者会見でのご発言を重く受け止め、寄稿した。
◆ ◆ ◆
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「眞子内親王の結婚については、国民の間で様々な意見があることは私も承知しております。このことについては、眞子内親王が、ご両親とよく話し合い、秋篠宮が言ったように、多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願っております」
今年2月19日、誕生日を前にした記者会見で天皇陛下は、混迷する眞子さまの結婚問題についてこのように発言した。陛下にとって眞子さまは、弟の長女。言わば姪にあたる極めて親しい間柄だ。そのためもあってか、慎重な性格の陛下としては、かなり踏み込んだ発言だと感じた国民も多かったのではなかろうか。あれから約1カ月。静かに深く波紋を広げつつある陛下の発言の真意に、丁寧に迫ってみた。
18年2月6日に宮内庁が眞子さまの結婚延期を発表して、今年2月で丸3年が過ぎた。このとき公表した文書の中で、結婚は2020年に延期すると書かれていた。こうした経緯があり、「結婚」の時期に当たる20年の11月に眞子さまたちの新しい文書が公表された訳なのだ。
「多くの人が納得し喜んでくれている状況ではない」
この中で、「私たち2人がこの結婚に関してどのように考えているのかが伝わらない状況が長く続き、心配されている方々もいらっしゃると思います。また、様々な理由からこの結婚について否定的に考えている方がいらっしゃることも承知しております」と、この結婚に対する国民の批判を踏まえながらも、「私たちにとっては、お互いこそが幸せな時も不幸せな時も寄り添い合えるかけがえのない存在であり、結婚は、私たちにとって自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択です」と、結婚への強い思いを強調したのだった。
その直後、20年11月に行われた誕生日会見で秋篠宮さまは、「あくまで私の主観になりますけれども」と、断りを入れながらも、この結婚について「感じとしては決して多くの人が納得し喜んでくれている状況ではないというふうに思っています。で、そのことは娘も恐らく同じ気持ちを持っていると考えております」と、述べた。
「多くの人が決して納得して喜んでくれる状況ではないと思うというふうに先ほどおっしゃっていましたけれども、そのために、以前、殿下が指摘されていたその問題をクリアして解決することが必要との考えについては今は、どのようにお考えでしょうか」と、記者から突っ込まれた秋篠宮さまは、次のように補足した。
「多くの人が納得し喜んでくれる状況の前提として、今までもあった問題をクリア(するために)相応の対応をする必要があると申しました。私自身、これは人の家のことですので詳しくは知りませんけれども(中略)ただ一つ言えるのはそれはいろいろな対応をしているとしてもですね、やはりそれが見える形になるというのは必要なことではないかなあというふうに思っております」
結婚問題は進展させない
実は秋篠宮さまは、18年11月の誕生日会見で次のように語っている。
「今いろんなところで話題になっていること、これについてはきちんと整理をして問題をクリアするということ(が必要)になるかもしれません。そしてそれとともに、やはり多くの人がそのことを納得し喜んでくれる状況、そういう状況にならなければ、私たちは、いわゆる婚約に当たる納采の儀というのを行うことはできません」
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「やはりきちんと、どういうことなんだということを説明をして、そして多くの人に納得してもらい喜んでもらう状況を作る、それが『相応の対応』の意味です」とも説明した。
つまり、多くの国民が、眞子さまの結婚について「納得してもらい喜んでもらう状況を作る」。そのことが秋篠宮さまが求める「相応の対応」という意味なのだ。それができない限り、いわゆる、一般の婚約に当たる「納采の儀」は行えない。
結婚問題は進展させない、ということを秋篠宮さまは明言していた。そして、その解決を金銭トラブルを起こした小室家側に求めていた。しかし、それは、一向に解決されていない。小室圭氏は「相応の対応」をしていない。だから、小室圭氏は正式な婚約者にはいまだなれない。結婚式だって挙げられない、ということなのだ。結婚に対する秋篠宮さまのこうした断固とした姿勢は一貫していると、私は考えている。
このような、長年の経緯を踏まえた上で天皇陛下は、眞子さまの結婚に対する弟・秋篠宮さまの断固たる姿勢を支持された訳である。だからこそ、この陛下の発言は重たいのだと、思う。
陛下は「尊重して静かに見守って」いたのではなかった
昨年11月、眞子さまは文書の中で「私がこの文章を公表するに当たり、天皇皇后両陛下と上皇上皇后両陛下にご報告を申し上げました。天皇皇后両陛下と上皇上皇后両陛下が私の気持ちを尊重して静かにお見守りくださっていることに、深く感謝申し上げております」と、綴られた。
しかし、陛下は「尊重して静かに見守って」いたのでは決してなかった。やはり、可愛い姪のことが心配で、ドキドキ、ハラハラしながら推移を注意深く見つめていたのだということも、今回、国民はよく理解できたと思う。
陛下の長女・愛子さまは、今年4月に学習院大学2年生になる予定だ。さらに、12月1日には20歳の誕生日を迎える。眞子さまとは10歳違い。早晩、結婚問題が待ち受ける。もし、愛子さまが、眞子さまとおなじような事態になったとしたら……。それは陛下としては気が気ではないだろう。今回の件を自分の家の問題として受け止めざるを得ない事情が、ここにあるのかもしれない。いや、当然、自分のこととして心配せざるを得ないのではないかと思う。
秋篠宮家をよく知る人が、口にした言葉
秋篠宮家をよく知る人は、最近、「親の心、子知らずでしょうか」という言葉を口にした。子供を思う親の深い愛情がうまく理解できず、子供が気ままに振舞うことや自分が親になってみないと、親の本当の愛情が分らないのではないかという意味に使われる。親になって初めて、親のありがたみが分かったという体験をした人も少なからずいるのではなかろうか。
10年、20年たってみて、「やはり、あのとき親の意見に素直に従っておけば良かった」「やっぱり、親が言ったことが正しかった」と、思い返す人も多いのではないのか。父親も伯父様も、可愛い眞子さまのことが心配で心配で、たまらないのだ。だからこそ、いろいろなことを発言するのだと思う。決して悪く取ってはいけないだろう。
結婚したいとの強い思いは分る。しかし、ここはどうだろう。眞子さまはもう一度、両親と向き合ってじっくり話し合い、親の意見に耳を傾けてみてはいかがだろうか。素直に聞く耳を持つ姿勢が大切だと思う。そして、そのことがなにより、陛下の強い希望でもあるのだから。
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