190110 プラゴミを考える <プラスチック危機 世界遺産襲う海洋汚染>と<2日間無しで過ごせるか>を読みながら
30年ほど前、熱帯林伐採が世界的な話題となり国内的も森林伐採が問題にされました。その中で割り箸の使い捨てがときに国内外で問題となったことがありました。環境活動家などでマイはしというか箸の携帯が流行したように思います。実のところ私もそれを実践していました。仲間がそういう人種だったのに影響したのかもしれません。私の場合それから箸に興味を抱くようになり、拘りをもってしまい、どこの竹材を使った箸でないといけないなんてことになり、しかもよく忘れるため、本来の使い捨て抑制効果はあまりなかったように思います。といって間伐材利用だからとの反論も、当時はその製品化の過程で廃棄される量が半端でなく適切なリサイクル利用がされていなかったように思いますので、必ずしも有効なものではなかったように思うのです。
それはともかく、あるゴミが環境汚染を招いているとなると、特定の製品がやり玉になって、それを削減することで産業も消費者もなんとなく納得される状況がこの世界にあるように思うのです。
それがプラゴミの海洋汚染問題でも現れているかなと思います。スーパーなどで提供されるプラチック製買い物袋やファストフード店でのストローもその一例でしょうか。早速、生分解プラスチック袋とか、有料制とか、あるいは木製ストローとか、そういう技術革新や制度改革などで話題が盛り上がりますが、排出源対策の本質はほとんど変わっていませんね。
それでも毎日新聞が連載記事で取り上げているので、この<プラスチック危機>は注目しています。今日は被害の深刻さの一面を語る本日付記事<プラスチック危機世界遺産襲う海洋汚染 「危機」リスト入り検討>と、昨年12月29日付け記事<プラスチック危機2日間無しで過ごせるか>は特筆に値するかと思い、取り上げたくなりました。とりわけ後者はわたしの正月休み中の記事で初見ですが、私のもやもやした気分を見事に体験的に取材してパーッと開眼させてくれた秀作といいたいです。
前者の記事はプラゴミによる海洋汚染の深刻さを的確に伝えています。<人間から一番遠い」南太平洋の島 砂浜ごみ密度世界一>とは驚きです。途上国でのプラゴミの散乱というのはあまり不思議に思わなくなっています。私が30年前ボルネオの奥地に調査に入ったとき、電気も通っていない集落にもプラスチック製品が普及していることが、その捨てられたプラゴミの堆積で一目瞭然でした。それ以降途上国にでけるとき、ゴミの問題を意識して見てきましたが、西欧諸国にはありえない管理されない投棄状態が目につきました。
でもそんな途上国でも、国立公園内の海辺はすばらしい見事に美しい砂浜がいつも広がっていました。その広い空間、澄み切った海と空を一人で満喫したこともあります。
しかし、この記事では< 【ブリュッセル八田浩輔】南米チリの沿岸から西へ5000キロの南太平洋に浮かぶ英領ヘンダーソン島。2015年5月に初めてこの島を訪れた豪タスマニア大学の海洋生物学者、ジェニファー・レイバースさんは、プラスチックごみで覆い尽くされた白い砂浜に言葉を失った。ヤドカリはプラスチックのごみを背負い、ウミガメは漁業用ネットに絡まって息絶えていた。>というのですから、信じられないような真実が露呈されました。
しかも<レイバースさんたちは2カ月半に及ぶ現地調査で、面積3700ヘクタールのヘンダーソン島の砂浜に17トン以上、計3770万個のごみがあると推定。米科学アカデミー紀要に17年に発表した論文で「ヘンダーソン島の砂浜のごみの密度は、世界のどの場所よりも高い」と報告した。>というのですから、驚異的な数字ですね。
しかもこの海洋汚染はヘンダーソン島だけの問題ではないのです。<国連教育科学文化機関(ユネスコ、本部パリ)で海洋関連の世界遺産の保全を担当するフラニー・ドゥーベール氏>によると、<▽トゥバタハ岩礁自然公園(フィリピン)▽コモド国立公園(インドネシア)▽アルダブラ環礁(セーシェル)▽パパハナウモクアケア海洋保護区(米ハワイ州)--といった世界遺産も、プラごみの影響を受けているという。>世界遺産の危機的状況が示されています。それはこれらの世界遺産の問題にとどまらず、あらゆる深海を含めた海洋汚染の広がりと深刻化を示しているものといえるでしょう。
その危機的状況を救うのは誰か、誰が責任を負うべきか、が問われるところですが、<
レイバースさんは「この責任は地球に暮らす私たち全員にある」と訴える。現在の技術では海に流出したプラスチックごみを大量かつ自然環境に影響を与えないよう安全に取り除くすべはなく「新たに海に流入するごみを防ぐことに重点的に取り組む必要がある」とも指摘した。>私も同意見です。
ではどうしたらいいのか、いつも気にしつつ、せいぜい買い物袋を携帯するとか、ストローを使わないといったくらいしかできません。それでいいはずがありませんね。
このことについて、塩田彩記者は、家族で2日間、脱プラスチック作戦に挑戦した成果をユーモアと皮肉を交えて巧みに紹介しています。秀逸ですね。そのチャレンジに拍手を送りたいです。
これは是非本文を確かめていただきたい。いかに私たちの生活がプラスチックの世界に入り込んでいるか、そして抜け出せない状況にあるかを。だいたい、生活便利用具なんかで紹介される製品のほとんどはプラスチック製ではないでしょうか。
ちょうど一時間になりそうです。塩田記者の記事を紹介しようとすると、ほぼ全文になりそうですので、やめときます。
今日はこのへんでおしまい。また明日。