たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

米映画の先端性とシニカル性 <映画Disclosureを布団の中でふと考える>

2018-01-30 | 人間力

180130 米映画の先端性とシニカル性 <映画Disclosureを布団の中でふと考える>

 

昨夜は昼間お客さんからごちそうになったコーーヒのせいか、体調不調のせいか、ほとんど眠れませんでした。私は午後3時以降はコーヒーを飲まないように心がけています。3時に特別意味があるわけではないのでしょうけど、それ以降に飲むと眠れない、あるいは眠りにくくなるというジンクスみたいな感覚をもっています。

 

少し早く調停が終わったこともあり、お客さんの誘いで、その行きつけの喫茶店に入ったのですが、普段は紅茶かなにか別の物を頼むのに、うっかり3時をすぎているのに気づかず、後の祭りとなりました。夜は当然?眠れなくなり、それと風邪を引いたのか少し熱も出てすっかり体調不調の状態で、布団の中で悶々としていました。

 

録画番組を流していれば、普段はすぐに眠りこんでしまうのですが、体調不良があったためか、どうもいけません。眠気がやってこず、頭の中は自由奔放に考えが飛び交ってしまいました。

 

ところが、ふと昔見た映画Disclosureのストーリーがどうもおかしい、何がおかしいのだろうと、そのストーリー展開を頭に描きながら、どこか腑に落ちない箇所があることをいつまでも考えている自分に驚いたのです。

 

ともかくこの映画、ご存じのない方もいるでしょうけど、94年封切りで、そのころカナダで字幕もないのに見てとても面白いと思った映画の一つで、帰国後ずいぶんたってDVDを買って何度か見ていて、最近は何年も遠ざかっているのに、なぜか突然、気になったのです。

 

94年当時は、まだWindows95がでてなく、私はAppleを買って初めてPCを少しずつ使えるようになった頃でした。その前のms-dosPCは買ったものの、さっぱり使い方がわからず、ゴミになってしまいました。

 

そんな私には、この映画がとりあげたPCの最先端技術、バーチャル画像方式はただただ感心させられました。特殊めがねをかけて、画像の中に立体的なPC室内が建物の中のように作られていて、しかも操作する人間はその中でPC内をエンジェルというガイド役の案内で企業内情報を調べるという、現在でも実現していないのではないかと思うような状態を作り出していました。

 

で、私が何を一人悩んだかというと、Disclosureというタイトルと、そのストーリー展開になにか不自然さを感じたのです。Disclosureは曝露とか発見とか、いろいろ意味がありますが、なにを曝露したのか、当初理解していた単純な筋書とは何か違っている裏の意図があるのではないかを、毎回見るたびに感じていたからです。

 

ストーリーの大筋は、ハイテク新進企業ディジコム社がその先端PC製造事業を、有力企業の投資を得て子会社化する基本軸があります。その子会社のトップに抜擢された若き有能な女性の偽装工作と製造事業の責任者との間の争いがメインストリートとして描かれているように思います。

 

その女性を当時とても輝いていたデミ・ムーアがメレディス役、製造責任者トムを熱血漢の塊のようなマイケル・ダグラスが演じています。彼ら二人を中心に、社長のボブにドナルド・サザーランドなど名脇役がそれぞれいい感じで絡まっています。

 

プロットはサスペンスタッチで、最初のマイケルの自宅での親子4人が賑やかな朝を迎える長閑な場面から、いくつもの仕掛けを登場させ、最後の結末までの伏線というか重要な手がかりを配置しています。

 

で、メレディスが仕掛けたワナというか、工作は、セクハラの仕掛けと、劣悪な製品を製造して、その2段構えでトムに責任をとらせて、会社から追いやることでした。

 

セクハラは、実際はメレディスがトムを追い込むためにパワハラの一端として演出するわけです。当時男性によるセクハラは、言葉遣いや接触を含め、具体的な所作などが問題視される時代であったと思います。しかし、女性によるセクハラは、まだアメリカでもほとんど取りあげられていなかったような印象でしたので、驚きの場面ですが、ムーアらしい白熱の演技でした。

 

メレディスのセクハラ強要を最後の段階で拒否して逃げ帰ったトムに、翌朝、メレディスが会社にセクハラ被害を訴え、支社に追いやる話しをします。この辺りは単純なセクハラを拒否したことへの腹いせかと思ったのですが、これがメレディスの仕掛けた最初のワナだったのです。

 

トムは事実と違うと反論して、自分と家族を守るために会社と闘うことを決意し、訴訟ではなくmediation(一般には調停と訳されることが多いのですが、北米の場合多様で、映画の中では審判といってよい手続きでした)の場で自分が正しいことを主張するのです。この手続きでは裁判官の前で双方が当事者双方、証人の尋問や証拠の提出を行い、準裁判手続きで行われていました。

 

トムが雇った女性弁護士はセクハラ裁判で有名なやり手ということですが、メレディスに当日用意したワインの入手方法を追求するだけという奇妙な戦術をとりました。セクハラのセッティングを誰が主導していたかを周辺事情から外堀を固める方法ですが、一応の効果があったものの、さほど決め手にはなりませんでした。

 

余分の話しが長くなってしまいましたが、この審判的な手続き、途中で社長から和解の話しが持ち出されました。現状維持というもので、トムとしては敗訴のリスクを負うよりはベターな選択になり得たものです。

 

こういったセクハラは二人だけの密室の世界で行われるのが一般ですから、トムの場合女性の訴えに対し反証をだすのは容易でないですね。そこで第一弾の偽装発覚となるのです。それはトムがメレディスからセクハラを迫られたとき、同僚に携帯電話で連絡して留守番に伝言を残している最中だったところ、その携帯電話を切らないままにしていたことを思い出したのです。

 

実は同僚では間違った友人の留守電にかけたのですが、その友人の留守電に残っているテープの音で、セクハラの最初から最後まで、どちらが迫ったか、どちらが拒否したかを明らかになったのです。この留守電が、まいえば、Disclosureの一つかなと納得していたのです。

 

ただ、私の疑問の一つ(小さな物ですが)は、この社長の申出が、この携帯電話の存在をかぎつけたことによるものです。メレディスの被害者説に疑問をもちなかったことにしようとしたのです。しかし、ハイテク企業の通信制御システムでは、携帯電話の発信記録まで探知できるのかなと思いつつ、しかし、探知はできても内容まではわからないのではと思ったのです。すると盗聴していたのかな、企業内で発信した内容は盗聴される仕組みがあるのかな、ここは推測の域をでませんが、そうでないと、社長が和解を提案するとは考えにくいので、とりあえずその可能性を考えています。

 

この審判は留守電のおかげで、会社がセクハラの加害者の使用者として、多額の賠償金をトムに支払うとともに、メレディスは病気を理由に退職させることで、トム側の大勝利となりました。

 

しかし、メレディスの仕掛けは巧妙でした。トムが勝訴の喜びを満喫している裏で、着々と裏工作を実現すべく満を持していたのです。翌日の子会社スタートの発表の席で、不良品の責任をトムに負わせる準備をしていたのです。

 

トムは、それまで、不思議な謎のメールを受け取っていました。そのメールから受けるヒントでメレディスの陰謀に次々と対応してきたのです。そして弁護士は勝利を満喫する一方、その余韻に浸りながらも、メレディスのセクハラ自体に不審を抱いていたトムは、謎のメールでまだ終わっていないという通告があり、メレディスらの様子をうかがうと、上記の工作を知るのです。

 

製造はマレーシアの工場で、なぜどのような方法で不良品がでたかについては、工場長がメレディスの支配下にあり、また工場のデータについてはトムのPCアクセス権が制限されていたため、内容を入手できないという、絶体絶命のピンチにさらされるのです。

 

最先端のハイテク企業の責任ある立場でも、アクセス権が制限されると、ただの人になる、という一つのテーマかなと、ふと思ったのです。

 

このピンチを救ったのは、トムの人情味溢れる社員との付き合い方というのでしょう。これおもハイテク企業らしかぬ?いやだからこそ必要と作者は考えたのかも。映画の最初に、トムがマレーシアの社員がディズニーランドに家族旅行をするというので、入場券と宿泊予約を妻(弁護士)に特注したのです。審判の最中もそのことを気にかけるのです。そして特上のチケットを手に入れてあげるのです。

 

トムが窮地に立って、弁護士の助けも得られない状況に合ったとき、その社員から連絡があり、チケットの話しをする中、彼に工場のデータや契約書などを送るよう頼むのです。その社員は当然のように喜んで対応したのです。

 

そしてトムの責任追及をはかっていた発表の席で、メレディスの不良品の原因追及が始まるのですが、ここからが第2弾のDisclosureです。トムはマレーシアの社員からファックス送信されてきた資料を配付します。そこには機械作業であるはずなのに手作業に、エアコン使用条件が外されていたりなどで、不良品が発生することになる工場システムの大幅な変更がありました。トムはこの変更はメレディスが行ったものだと糾弾するのです。

 

これに対してメレディスが、自分はマレーシア工場に行ったことがないと弁解している最中、彼女が見学している様子を放映しているニュース番組がビデオで流されます(ビデオはどうやって送信できたのでしょうね、当時のPC送信では無理だったように思うのですが・・・)。

 

そして極めつけは、マレーシア政府との間の契約書です。そこには上記の工場システムの変更が明記されていたのです。見事なDisclosureです。

 

結果は、メレディスは解雇され、トムは別にトップに選任されたベテラン女性の右腕になったのです。

 

で、最後には、そのベテラン女性と、その子でワシントン大学の助手をしている若者が、謎のメールの張本人であることが明かされるのです。

 

こういったストーリーは割とわかりやすいのですが、どうもひっかかったので、昨夜一晩頭を抱えたのです。

 

この原作者の隠れた意図は、女性の進出に対するシニカルな見方と、よくある弁護士への批判的な見方ではないかと思っています。社長はガラスの天井という、女性が進出するときに見えない壁の存在を指摘しつつ、メレディスをトップに登用しました。英断でしょうね。しかし、彼女はセクハラを行い、偽装まで行っています。なんて怖ろしいことをと思わせますね。その彼女を解任した後に選んだベテラン女性も、負けずとトムを蔭でリードするやり手です。とても油断ならない存在に仕立てています。

 

弁護士は一応、審判では勝利させる役割を演じていますが、勝利を導いたのはトムが留守電に気づき、その証拠を入手したからです。また、メレディスが仕掛けた不良品偽装の責任追及に対してはなんの手も打てません。しかもトムが責任を負う根拠となる和解書を作成させています。役立たずといはいいませんが、弁護士の役割をシニカルに描いているように思えます。

 

で、ここまでは、まだわかるポイントです。わからないのは、なにが本当はDisclosureだたのかという点です。私が二つのDisclosureといったものがほんとうにそうなのかという点です。

 

だいたい、なぜメレディスはトムを会社から追い出す必要があったのでしょう。メレディスは製造部門の関与したことがなく、トムこそ一番わかっている人物であり、最先端技術のメンバーを束ねる責任者です。その彼をこんなあざとい工作で追いやる意味がわからないのです。彼女ほど力量があれば、トムを支配下に置いて事業経営することに支障がなかったように思うのです。

 

メレディスとトムが引き継ぎのために会う最後の場面での会話は、社長の計略だったというメレディスの言い分に、トムは工作したのは自分だというのですが、これはいずれも別れの挨拶みたいなもので、真実を語っているとは思えないのです。ただし、そこが悩みの一つであることは確かですが。

 

結局、頭の中で整理してきたつもりですが、もやもやした状態は変わっていません。それでいつの間にか寝入ってしまったのです。

 

そして今日は一日、風邪気味で熱があり、今日はブログはパスしようかと一時は思っていました。ようやく5時近くなってブログを書く気になって、書き出したら、少しずつ調子も良くなりました。このブログを書くことは体調を回復させてくれる良薬かもしれないと、本日のテーマと関係のないまとめとなりました。

 

長文となってしまいました。最初はぼやっとした状態から次第に元気が出て、止まらなくなり、無駄な話が長々と続くことになり、テーマも曖昧となりました。

 

とまれ、本日はおしまい。また明日。


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