たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

ある老健でのひととき <水野耕作著『介護老人保健施設利用の手引き』>を読みながら

2018-03-17 | 医療・介護・後見

180317 ある老健でのひととき <水野耕作著『介護老人保健施設利用の手引き』>を読みながら

 

今日はいい天気です。昨日降り続いた雨もやみ、雨上がりのすがすがしい空気で一杯です。それで普段、通っている道路の脇に広がる柿畑を、車から降りて、ゆっくりとあちこちの柿畑、柿の木、その枝をゆっくりとカメラに収めました。

 

それぞれの農家で柿の木の育て方が少しずつ違うのですね。幹から枝分かれするにしても、微妙に違います。木の皮をむいていますが、それもいろいろです。技術的な違いはよくわかりませんが、それぞれの意図があるのでしょう。さらに、木の根っこや下草なども違いますし、木の枝の張り具合も違うのです。ただ通り過ぎていると、皆同じように見えますが、畑ごとに違いがありますし、畑の中でも多少は違っているように見えます。

 

カリフォルニアのワイン畑を昔訪れたことがありますが、整然として広大な面積が一様に見えました。それはそれで単調な感じもしますが、一つの美しい景観でした。わが国の場合は、地形が極めて小さな凹凸に富み、小規模区画という、伝統の零細錯圃の区画で、柿畑も作られていますので、ほんとに細かく分かれています。これもなかなかの景観美と思うのです。

 

そういった景観美、それを構成するそれぞれの木が職人的な巧みの技で作られている姿も、できあがった果実だけでなく、私たちがもっと興味を持って楽しんでも言いように思うのですが、なかなかそのような機会がないかもしれません。個人的になにかできないか、時折考えるのですが、写真をとって、四季の変化をみるのも一つかなと、感じたりした一時でした。

 

さて本日の話題に入りたいと思います。

昨日、私が成年後見人になっている方が入所している介護老人保健施設を訪ねました。被後見人の方が女性で、発語が十分できないこともあり、なかなかコミュニケーションをとりにくいのですが、それなりに頑張っています。

 

訪ねると、おやつの時間だったのでしょうか、食堂でみんなが集まって、容器に入っているフルーツのようなものを食べていました。30人以上は座っていたかと思うのですが、私が現れると一斉にみんなの目がこちらに注目です。ほぼ全員が女性で、70代後半ないし90代くらいの方が多いでしょうか。みなさん静かにして黙って食べていました。

 

元気に話し合ったりするような人は少し離れたところにいたのかもしれません。その食堂のいる方はほぼ会話もなく、静寂そのものでした。私自身は、介護士さんの案内で、被後見人の方のところまで連れて行ってもらい、その方が顔を上げてにっこり笑ってくれたので、覚えてくれていたのかなと少し安心です。成年後見開始と言っても、それぞれの方の認識能力とか判断能力は相当違いますので、まったく認識できない方もいれば、おおよそ認識される方もいます。

 

ところで、この方、病気入院され、治療を受けて退院した後、この介護老人保健施設、いわゆる老健に入所されたのですが、その後リハビリなどで少しずつ回復され、現在、介護老人福祉施設、特別養護老人ホーム、いわゆる特養に入所するかどうかについて、特養側の介護福祉士さんと話し合っているところです。

 

さて、見出しの著作者水野耕作氏は、医師で、老健の施設長をされていて、老医師として、また施設長として、老健でのいろいろな体験したケースなどを紹介されつつ、よりより関係者づくりといか、利用のあり方を提案されているように思うのです。

 

外部者の私のように、垣間見るだけではよくわからない、あるいはいい加減な知識で関与してきた私としては、改めて勉強しながら、いろいろ考えてみたいと思い、この著作『介護老人保健施設利用の手引き』を取りあげることにしました。

 

特養も含めて他の施設も説明がありますが、老健に限って話しを進めたいと思います。

 

老健は、「日常生活訓練やリハビリテーションで心身を回復、あるいは改善させて在宅復帰を目的とする施設である。」とされています。

 

つまり、さまざまな事情で一時的に自立した生活ができない方について、リハビリなどを行って、在宅復帰(あるいは別の施設に移る)を選択するまでの暫定的な施設との位置付けになっています。

 

そのため医療ケアを含めさまざまなケアができるように、専門職が大勢います。

 

入所定員100人当たりの最低人員について、特養と比較すると(括弧内で特養を記載)、目的はリハビリによる在宅復帰(終焉の老人ホーム)、入所資格は要介護度1以上(3以上)、入所期間は原則3ヶ月ごと(永久)、医療保険証(ほとんど使用不可(使用可)、診察室あり(医務室で代用)、リハビリ室あり(なし)、医師は常勤1一人(非常勤で可)、看護職員は9人で昼夜勤務(3人で昼間のみ)、介護職員は25人(31人)、リハビリ職員は1人以上(なし)、介護支援専門員、栄養士はいずれもあり(あり)となっています(上記著書による)。

 

ここで少し驚くのは、上記の医療保険証のほとんど使用不可という点です。入所中は介護料は介護保険制度でカバーされますが、医療費はそれでカバーされず、医療保険制度を使えないので、それは施設側でカバーすることになっています。

 

常勤医師が施設長になっていて、その医師が入所者の治療を見る限りは、施設側としても新たな負担はあまり発生しないと思いますが、常勤医師が扱えないような病気だと、専門医師のいる病院での治療となり、そうなればその負担は施設がすることになるので、そのような事態が増えれば施設経営に影響する可能性もあるでしょう。

 

ただ、水野氏は、すべて医療保険証が使えないとはいってなく、医療内容によっては使用制限されると書いていて、その範囲が明確にされていません。施設側としては、医療保険組合や介護保険組合に請求できないし、もちろん家族に請求することも法律上禁止されているのですから、施設側にとっては重大な事柄ですので、明確になっていないのは気になります。

 

というのは、本来施設は、入所者に病気や怪我などあれば、施設内で対応できればきちんと対応するでしょうけれども、そうでないとき、医療費負担がのしかかってきて適切な医療を受けることに躊躇が働かないか、一応懸念されるからです。むろんほとんどの老健では入所者の健康第一ですから、経済的問題で治療を受けさせないようなことはないでしょう。水野氏が指摘されているように。でも中には経営的にうまくいっていない施設の場合、水野氏のような入所者ファーストに徹底できるか、少し懸念します。

 

ところで、水野氏が紹介されている「日常生活プログラム」によれば、入所者の一日は規則正しく時間ごとにすることが決まっていて、おおむねその内容で進んでいるようです。

 

そのプログラムでは、

5時~ 胃痩患者に対して栄養剤注入・PEG、排泄介助、バルーンカテーテル処置 <A

6時~7時 起床、洗面、更衣、排油、バイタル測定(脈拍、血圧、体温)

730分~ 朝食 服薬指導

8時~ 朝食後の口腔ケア、排泄介助 

9時~ リハビリテーション、入浴、バイタル測定 <B>

10時~ お茶会(水分補給)

11時~ ラジオ体操・嚥下体操

1130分~ 胃痩患者に対して栄養剤注入・PEG <A

12時~ 昼食 服薬指導

13時~ リハビリテーション、言語聴覚士による経口摂取訓練、入浴、バイタル測定、透析患者を透析室ヘ誘導 <B>

14時~ レクリエーション

15時~ おやつ

16時~ 排泄介助

17時~ 胃痩患者に対して栄養剤注入・PEG、バイタル測定 <A

18時~ 夕食 服薬指導

19時~ 夕食後の口腔ケア、排泄介助、就寝準備

20時~22時 就寝

21時~翌6時 就寝者を巡回、異常者の発見

 

と基本的な流れが示されています。ここではとくに誰がとは書かれていませんが、<A>は看護師が担うのでしょう。就寝時間も看護師はバルーンカテーテル処置、介護士がオムツ交換などをするのでしょうから、ここに書かれているのは一応のものでしょう。

 

B>ではリハビリは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが担当しています。

 

それ以外は介護士が相当数の方を見守っているのでしょうね。食べれば排泄もあり、介助が必要ですね。オムツ交換が多いようですから、手足が不自由な方が多いわけですから、大勢をやっていくのそれだけでも大変でしょう。

 

食後の口腔ケアは歯科衛生士が行うのが本来かもしれませんが、3食全部、毎日担当するとなれば、相当の費用がかかるでしょうから、一定期間ごとにやっているのでしょうか。

 

で、昨日私が訪れた施設では、ちょうど3時のおやつの時間だったようで、介護職員のスタッフは利用者のみなさんが食事しているとき、センターでなにか事務作業をしているようでした。

 

今後、老健の内容について、水野氏の著作を手がかりに、もう少し詳しく展開していければと思います。私の勉強の意味もありますし、いま特養に移ることが検討されている被後見人の立場にたって、考えてみたいと思います。

 

今日はこのへんでおしまいです。また明日。


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