170320 春分の日の記事 <豊洲 100倍ベンゼン「安全」>などを読んで
今日は春分の日、うららかな春日和で、お墓参りや、神社参拝、いろいろでかける人を見かけます。他方で、農家は連休中も、今日も、果樹園に農薬散布したり、田んぼで耕耘機を動かしたりと、いい天候を利用して作業に余念がありません。
私も三日連続の竹林整備で、少しだけ片付いた感を抱き自分で満足しています。
さて毎日記事(大阪版)は、春分の日といっても、一面では「選抜開幕」を祝うくらいです。トップは<豊洲 100倍ベンゼン「安全」>と専門家会議が発表した「安全」という評価をわざわざ見出しに入れています。ウェブサイトでは東京版で、<移転問題 「ベンゼン100倍」報告 小池氏判断焦点に 地下水再調査>と、地下水再調査結果と専門家会議の結論を踏まえて、小池知事の判断を注目する取り上げ方になっています。
そして連休というのに、東京都議会では百条委員会を開いて連日、石原元知事や浜渦元副知事への質問を行っています。とても春分をのんきに過ごすどころではないですね。それは当然でしょう。築地市場関係者の皆さん、その関係者の皆さん、そして消費者であり都民の皆さんにとって、この騒動は一体どういうことか、どうなるのか、気を病む問題ばかりでしょう。
専門家会議による、地下水の再調査結果とその評価の発表は、豊洲移転賛成側、反対側のいずれにとっても腑に落ちない内容ではなかったかと思うのです。地下水の水質が環境基準を大幅に超えていても、大気には影響がない、むろん、地上の建物内や食品には影響がない、といった評価は、科学的には妥当するのかもしれません。しかし、そうであれば、なぜ地下水のモニタリングをわざわざ行ってきたのか、どのような有害物質であっても問題ないのか、地下水が東日本大震災のときに起こった液状化により、地上に吹き出すおそれはないのか、などさまざまな懸念はどのように説明できているのか、まだ資料がないので検討できていませんが、気になります。
地下水調査でなされていた「パージ」(purge)という表現、地下水採取の際の基本的な作業と言うことですが、レッドパージを思い出させてしまうのは、少し飛躍がありすぎでしょうか。間隔をおいて採取するため、採取時に不純物を排除するという科学的根拠はわからなくもないのですが、それで本当に地下水の変動をしっかり把握できるのか、気になるところです。ある施設から排出される気体の成分を採取・分析することは、簡単ではないといわれています。施設内に入ってくるさまざまな化学物質が加工なり処理され、多様な物質が生成され、二次的にも生成され、それが一日の中でも変動が相当あります。
私がお聞きした、大気や水質の調査分析を行ってきた専門家たちの話しでは、連続的な採取を含め観察が必要とも言われています。採取後の分析においてもガスクロマトグラフなどで検出できる範囲は物質が特定されていることを前提にしていて、検出結果から、その物質が存在するとか、定量分析でその量を解析できるものの、大気や水質全体を把握できるわけではないとも言われています。
そのような一般論は脇に置いてもいいかもしれません。絶対の安全性といったものを求めることは現代社会の要請に適合しないという立場に立っています。問題は、これまでの汚染の処理や調査結果について、適切な開示と説明が、専門者会議や東京都においてなされてきたかという点です。それが安心という信頼を生み出すものではないかと思うのです。それがベールに包まれたまま、工事を進め、工事の変更も闇の中に隠してきたからこそ、汚染土壌の処理自体について、そして地下水の影響自体について、いまだ不安を取り除けていないのではないかと思うのです。
他方で、百条委員会は、ニュースでちらっと見ましたが、果たして事実関係を解明するために、適切な質問が行われ、回答がなされているか、懸念したとおりの状況ではないかと思います。質問時間が政党の議席数に応じて配分され、それぞれの質問者の間で質問内容の調整もなく、しかも持論としての意見を事実確認もなく、話した後、質問するといったやり方では、政治ショーとみられてもやむを得ないように思うのです。百条委員会の手続きや委員構成など、現状のままでは、東京都だけでなく、全国で行われているこの委員会方式に期待を寄せたり、信頼を勝ちうるのは容易でないと思わざるを得ないのです。それは国会の国政調査権としての質疑でもさほど大きな違いはないように感じるのは私だけではないように思うのです。
話しは少し変わりますが、先日私が取り上げた交渉記録や日報の保管について、森友学園とPKOに関して<交渉記録の保存期間 財務省「1年未満」、専門家は「5年」>では、「財務省行政文書管理規則は国の行政文書管理ガイドライン」が取り上げられています。
同ガイドラインには、<保存期間「1年未満」はなく、備考欄に「本表が適用されない行政文書については、文書管理者(課長など)は、本表の規定を参酌(参考に)し、当該文書管理者が所掌する事務及び事業の性質、内容等に応じた保存期間基準を定めるものとする」と書いてある。>となっていることから、財務書担当者が適用外の文書として取り扱った可能性を指摘しています。
この点、<第三者で構成する政府の公文書管理委員を務める・・・三宅弁護士は「面談記録は土地売買契約の過程の記録であり、この『証拠書類』に該当する。保存期間は最低5年とされるべきだ。廃棄は行政文書ガイドラインと財務省行政文書管理規則違反だ」と指摘している。>とのこと。三宅弁護士の意見こそ、だれもが当然と考える処理でしょう。森友学園との国有地売却に関するような文書管理すること自体、国有財産の売却を含む管理に重大な懈怠があったと見るべきではないかと思います。
この点は、東京都の東京ガスとの間の交渉においても同様の問題があります。東京ガスは膨大な記録を開示していますが、東京都においても、担当者それぞれの立場で、どのような権限行使が行われ、判断が行われたかを、記録として残すことは必須であり、重要な職務上の義務でしょう。
とりわけ東京都は土地購入による土壌汚染問題の深刻さは十分経験していたのですから、その売買交渉過程を適切かつ慎重に行うとともに、記録保管は必須だったと思います。つまり、東京都は昭和48年日本化学工業(株)から購入した土地について六価クロム汚染土壌の問題が発生し、同社に損害賠償請求の訴訟を提起し昭和61年に和解した後、平成13年2月まで協定による処理が行われていたのですし、平成25年に到っても浸出土壌の問題で処理が行われていたのですから、土壌汚染の土地売買については慎重な対応が必要であることは十分承知していなければなりませんでした。私自身、住民側の弁護士として、90年代は東京都および日本化学工業を相手にした訴訟を担当していましたので、とくに感じます。
もう一つ、また少し話しが飛びますが、森友学園の事案で、100万円の寄付について、<写しは、学園が計画していた小学校建設寄付用の「払込取扱票」の受領証。依頼人の欄に修正テープの上から「森友学園」と手書きされ、テープをすかすと「安倍晋三」と書かれていた。テープには処理した郵便局の印鑑が押してある。>との記事がありますが、不思議な受領証ですね。あえて取り上げるほどもないので無視していたのですが、ついでということで言及しておきます。
この受領証に関するやりとりについて、記事では<長女によると、安倍首相の名前で振り込もうとしたが、郵便局で保管する取扱票の左側部分に森友学園と書かれており、名義が一致しないとして受け付けられなかったと説明。顧問の会計士と相談し、修正テープを使って書き直したという。>これまた不思議な話です。
たしかにテープを透かすと安倍晋三と書かれていることは分かりますが、その書かれた位置が印字された「様」の上にあるのはどうしてでしょう。普通は「様」の左横に書くのではないでしょうか。ましてや寄付者が総理ですから、「様」の上の方に書くなんて失礼なことはできないと思うのですが、それは関係ないということでしょうか。郵便局の保管する取扱票との名義の一致に関する指摘は、なぜそのようなことになるのかその経緯や取扱を確認する必要があると思うのです。とりわけ気になったのは、修正テープで書き直した、それも会計士と相談してということですが、会計士があえて修正テープを使うことを容認するとは考えにくいですね。会計の基本として、修正する場合元の数字なり名前、項目が分かる形で行うはずで、このような修正を認めるとは考えにくいですが、どうでしょう。
そして上記の流れからは、森友学園側が作成した受領証であり、後から書き入れ、修正したとみるのが自然ではないでしょうか。これも推測にしかすぎないので、郵便局の記録にこの振込記録が残っていると思いますから、それを提出してもらえば、はっきりすると思います。
さて今日は何を書こうとしたのか、ほんとは春分の日ののどかな里山で、ウグイスが慣れない鳴き声を発したり、キジが驚いて飛び立ったり、ツグミやヒバリがさっと横切ったり、野鳥賛歌でもと思っていたのですが、美しくない話になったのは、今日の気分があまり晴れないからかもしれません。明日はいい一日であることを祈りながら、今日はこの辺でおしまいとします。
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