たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

不祥事とブラックボックス化 <スポーツ界不祥事 競技団体へ募る不信感>と<公文書クライシス 折衝記録「発言要らぬ」>などを読みながら

2018-08-30 | スポーツ

180830 不祥事とブラックボックス化 <スポーツ界不祥事 競技団体へ募る不信感>と<公文書クライシス 折衝記録「発言要らぬ」>などを読みながら

 

スポーツ界は次から次と不祥事が噴出している印象です。長年、当たり前のように行われてきたものかもしれません。本来おかしいことが閉鎖社会であったことや内部人間はもちろん、世間の意識も感性に問題があったのかもしれません。

 

世界的な適正なルール、個人の尊重という当たり前のことがわが国でも一般化され、個々の選手や関係者の意識も自然に問題意識が醸成されてきたのでしょうか。まだまだ氷山の威嚇のようにも思えます。オリンピック代表や日本を代表する競技団体だからでしょうか、大きく話題になり、また、個々のアスリートの意識も高い倫理性が求められ、それを自ら形成してきたのかもしれません。

 

それにしても今朝の毎日記事<スポーツ界不祥事競技団体へ募る不信感 解決、国頼み>には今年だけで合計10の競技団体・選手で不祥事が発生しています。選手個人の問題といえるケースもありますが、団体自体の問題と同様、少なくとも当該競技団体自体に適切なコンプライアンスやガバナンスが確立していないことを十分に感じさせてくれます。それはおそらく不祥事が露見した団体だけの問題ではないでしょう。

 

ところで今回は体操競技で発生した、以前にも見たような不祥事が少し色合いを変えて起こったように思えます。

 

事件は816日付け毎日記事<体操選手指導で暴力 協会、コーチを登録抹消>で、<日本体操協会は15日、選手指導で暴力行為があったとして、速見佑斗コーチ(34)を同日付で無期限の登録抹消処分にしたと発表した。同協会関係者によると、2016年リオデジャネイロ五輪代表の宮川紗江選手(18)に対する暴力という。

 関係者によると、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)での練習中、頭をたたいたり、髪の毛を引っ張ったりしたという。今年7月、暴力行為を目撃した関係者から報告があり、協会が調査していた。

 速見氏は協会の聞き取り調査で暴力行為を認めており、協会は懲戒委員会を開いて処分を決めた。>とコーチによる暴力行為の認定とその無期限登録抹消処分というスピード決定の印象があり、同協会の迅速の対応として評価されるような動きでした。

 

ただ、この記事を私は見過ごしていましたが、この記事からは暴力の内容は<頭をたたいたり、髪の毛を引っ張ったり>というもので、いつどのような経緯で行われたのか、宮川選手や他の選手への影響がどうだったのかよくわからないもので、それにも関わらず処分が重いことから行為と処分との均衡が図られているといえるか、誰もが不審を感じるのではないでしょうか。

 

案の定、それが今回問題になっています。まず、825日毎日記事<体操宮川選手コーチ、地位保全を申請 パワハラ処分で>と、コーチが処分を争って仮処分を申し立てています。

 

そして今日の毎日記事<体操指導中暴力 コーチ処分 宮川選手、撤回訴える 体操協会は反論>では、<宮川選手は、速見氏から顔をたたかれたり、髪の毛を引っ張られたりするなどの暴力行為を受けたことは認めた。時期は1年以上前までで、大けがにつながるようなミスなどをした際に限られ、「指導をパワーハラスメントと感じたことはない。処分は重すぎる」とした。「毎日不安で練習に集中できない。責任を持って戦えない」とし、世界選手権(10~11月、ドーハ)代表候補を辞退することも明らかにした。>

 

私は、宮川選手の記者会見の一部をテレビで見ましたが、しっかりした口調で、おそらく内容も基本は自分で書いたものではないかと思うほど、しっかり理解した上での発言でした。

 

この発言を聞いた印象ですが、宮川選手はしっかり自分の意見をコーチに言えるような環境で、指導を受けてきたのではないかと思われるのです。おそらく18歳の年齢で、大勢の記者を前にあれだけの内容を、文書を見ながらでも発言することができるということは、普段からコーチと自由な意見交換を行ってきたからではないかと推測するのです。

 

このようなコーチと選手の関係は本来的ではないでしょうか。むろんちょっと見ただけの判断ですので、即断するのは早すぎますが、それにしても立派な態度であったと思います。

 

その宮川選手が、他方で、<7月に日本協会の塚原千恵子女子強化本部長らと面談した際、速見氏との関係を断つよう何度も迫られたと主張。「高圧的に言われ、コーチと引き離されてしまう恐怖と苦痛でおかしくなりそうだった」と話した。

 日本協会が東京五輪に向けて有力な若手を集めるプロジェクトに加わるよう何度も迫られ、16年12月には塚原強化本部長から電話で「五輪にも出られなくなるわよ」と言われたと訴えた。>とあります。別のスポーツ紙では、このときの塚原氏との会談では、「恐怖で真っ白になった」といった記事がありましたが、この内容であれば、当然そうなるでしょう。

 

塚原夫婦は、長い間にわたって日本体操界をリードしてきた有能な方だと思いますし、多くの子供がその指導を受けたくて大変な競争に勝ち抜かなくてはならなかったことでしょう。しかも協会の重鎮となっているわけですから、その発言は普通の大人とは違うでしょう。

 

むろん宮川選手の発言は、コーチの指導を受けたいために偏っている可能性も否定できません。しかし、少なくとも敬愛するコーチが登録抹消となったときに、18歳の選手を呼び出して夫婦でなんらか説得をしたとすると、その発言はそれだけで脅威になることを彼らはどの程度意識していたか、疑問に思います。

 

今回の事件においても、選手、コーチの自主性をどの程度協会は尊重していたのか、疑問を感じます。むろん暴力は許されないことです。しかし、体操競技という一歩間違うと大怪我どころか一生台無しになるほど危険性の含まれる競技ですから、一定の強い指導はやむを得ない場合もあるでしょう。その処分は十分な事実認定を経てその影響も考慮してなされるべきではないかと思うのですが、単に暴力をふるったとして永久登録抹消とはいかがなものでしょう。協会自体の適正手続が図られていたのか検証されるべきでしょう。

 

ところで、今朝の毎日一面記事は<経産省折衝記録「発言要らぬ」 内部文書、指針骨抜き>でした。

 

もりかけ問題を踏まえて、<安倍首相は3月の参院予算委で、「ガイドラインを改正し公文書管理の質を高める取り組みを行った」と強調した。>はずですが、現実は、<実態はかけ離れており、行政のブラックボックス化が進んでいるのではないか。【杉本修作】>

 

<政治家ら省内外の人物と折衝した際に作成する公文書について「議事録のように個別の発言まで記録する必要はない」などと記載した経済産業省の内部文書を毎日新聞が入手した。文書は複数の会議で使用され、出席した職員は「誰が何と言ったか分からないよう、議事録を残してはいけないと指示を受けた」と証言した。>

 

さらに驚きは毎日記事<カンボジアPKO25年前の文民警察官銃撃死、報告書は既になく 警察庁、隊員アンケートも「保存せず」>です。隊員が犠牲になったことも含め几帳面に作成され報告された記録は、国民にとって公共財産です。それを保存していないのですから、あきれるばかりです。臭いものに蓋とは違うはずです。

 

政府・官僚がこのような事実を覆い隠すようにブラックボックス化の方向を一段と強め、安倍首相の国会での発言が空疎なものであるなら、スポーツ界の悪しき慣習を非難できなくなるでしょうね。ま、協会等では会談の議事録はとっていないようですが、少なくとも明らかになった不祥事の改善策を明確に示してくれるものと期待したいです。

 

少々時間をオーバーしたようです。今日はこのへんでおしまい。また明日。

 

 


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