170814 家庭養護とは <社説 虐待された子らの養育 里親・養親をどう増やす>を読んで
今朝は結構寒さを感じました。まだほの暗いうちでしたが、たしか温度計が24度だったように思います。わが家は玄関が北東向きでしょうか。朝は周辺の住宅のおかげで朝日が当たるのが遅いように思います。他方で、西日はスギ・ヒノキ林のおかげか、その西方に屹立する和泉山脈のおかげか、さほどきつくないように思うのです。といっても西日が当たる時間はわが家にいないので実際はよくわかっていないというのがほんとです。
朝日と西日がさほど降り注がないおかげもあるのでしょうか、エアコンのお世話にもならずに過ごしています。といっても長年、夏は暑いのがいいと勝手な解釈で汗だくだくでもエアコンをつけることはまずなく、汗をかいた後はシャワーを浴びるのが一番いい冷房でしょうか。そのおかげか、若い頃、なんども熱帯地域を調査しましたが、なんとかもちました。
さらに高校時代、弱い野球チームのメンバーとして気持ちだけは甲子園を目指して炎天下の夏も真っ黒になって倒れる状態になるまで頑張っていたおかげで、多少は暑さに強いのが残っているのかもしれません。
話変わって、今日の本題、見出しの社説記事ですね、なぜ選んだのか、少し考えてみたのですが、多少、映画「愛する人」(原題: Mother and Child)を含め、アメリカ映画でadoptionが頻繁に取り上げられ、なんとなく気になっていたからかもしれません。
とくに「愛する人」は強い衝撃を受けたように思います。若い黒人夫婦が子どもが生まれない中で、養子を尼僧に相談し、養親を探している未成年の少女との仲介をするのですが、その少女が厳しく養親の審査を行い、それまですべての候補者が拒絶されていたのです。その少女が黒人夫婦に対する面接審査や家庭訪問での親族チェックなど、少女の鋭い観察と質問には驚かされます。
それ以上に驚くべき事は、その生まれてくる子は、生まれた瞬間に病院内で養親に引き渡されるのです。たしかにその方が産んだ母親にとっても養親にとっても、そして最も配慮すべき養子となる子にとっても望ましいかもしれません。わが国の里親や特別養子制度とはその点で大きく違っています。
映画のストーリー展開はさすがに意表を突く内容ですが、ラストシーンはとても心が安らぎました。とくに別のストーリーで登場する、やはり少女時代に子を産み、実母のせいでその子を手放した母親役として老いた姿のアネット・ベニングにも驚かされました。ヘップバーンが華やかで妖精のように軽やかに振る舞った若さを失い、動きのない老女の天使となって登場した映画「オールウェイズ」にはびっくりしたものの、さすがに気品を感じさせてくれました。しかし、ベニングは意地悪で疲れ果てた中年女性という、びっくりするような役柄で、一度見たときはわかりませんでした。
どうもすてきな二人の女優に気がとられ余談で横滑りしてしまいます。話を元に戻します。
なぜアメリカ映画ではadoptionが多いのかといえば、ウィキペディア情報では、世界中で飛び抜けてその比率が多いのです。欧米自体、結構な比率ですし、とりわけ北欧は高いのですが、その数倍の比率なのですね。その背景事情までは読めていませんが、アメリカ特有の事情をうかがわせます。これと比べわが国はきわめて低いと思います。
ところで、上記毎日社説は<虐待などで親と暮らせない子どもの8割以上が児童養護施設や乳児院にいる。厚生労働省はそうした現実を抜本的に変え、里親や養親などによる家庭的な環境の中で育てていく方針を打ち出した。>と基本的に、施設での養育を主眼とするこれまでの仕組みを大きく変えてようとしているわけです。
といっても方針は<特に未就学の子の施設入所は原則停止する。3歳未満は5年以内、3歳以上も7年以内に里親委託率を75%にする目標を掲げている。>わけで、アメリカの例のように、生まれた段階からの養親家庭での養育までは想定していないようです。
どちらがいいのでしょうか。簡単にはいえないでしょうが、<日本財団 ハッピーゆりかごプロジェクト 特別養子縁組とは・養子縁組に関する予備知識>によれば、<特別養子縁組になる子どものほとんどは、予期しない妊娠、とくに貧困、レイプ、学生、風俗、パートナーの裏切りなど、女性にとってはとても複雑で苦しい状況の中から生まれてくる子どもです。>というのが実態ではないかと思うのです。
むろんそういった状況でも、わが子を育てたい、育てる意思と環境が整っていればいいのですが、そうでないと、一旦、望ましくない条件下で育った子は、里親や養親にとっても、なかなか養育がうまくいかないように思うのです。
2009年12月の国連総会決議された「児童の代替的養護に関する指針」は長文ですので、なかなか読み切れないので、内容を取り上げることは今回はやめますが、上記日本財団の情報を引用させてもらうと<産みの親とその親族の次に養子縁組が推奨されています。>と施設養護よりも家庭養育を望ましいとしています。
社説では<<先進諸国は20~30年前から、施設から家庭への転換を進めてきた。」としつつ、その決議後7年近く経過して<ようやく遅ればせながら日本も2016年の児童福祉法改正で「家庭養護」が原則となり、養子縁組あっせん法も同年末に制定された。>と政府対応の遅れを指摘しています。
しかし、問題は、上記で指摘した根本的な点以外にも、社説が指摘するように、いくつも残されています。
まず受け皿不足ですね。<児童養護施設と乳児院には現在約3万人の子どもがいるが、登録里親数は1万世帯にとどまっている。>
その理由として社説は<里親になる要件が厳しい上、支援策が乏しいため、意欲を持って里親になっても孤立して燃え尽きてしまうケースが多いといわれる。そのため継続して子育てできるかどうかの資格審査が厳しくなり、さらに里親が増えない状況を作っている。>
たしかにそれも大きな要因と思いますが、私は上記指摘したように、根本的には現在の仕組み自体が問題だと思うのです。 それが受け皿不足につながっていると思うのです。
次に社説は<特別養子縁組の場合、縁組後は通常の親子と同等の扱いになるため、特別な公的支援が付かない。民間の福祉団体などが養親の支援を担っているが、国からの財政援助はなく、十分な活動ができない状況だ。>としています。
はたしてそうでしょうか。特別養子縁組をしたいと思う養親にとっては、財政的援助がないことが大きな支障となるのでしょうか。
87年民法改正により817条の2以下で、特別養子制度を設けたのですが、その数はさほど増えていません。
養子縁組との違いは上記「ハッピーゆりかごプロジェクト」のそれを援用させてもらいますが、まさに唯一の親子関係を成立させるものです。それだからこそ、一旦、自分の子として育てた場合、親権の強いわが国の法制の下では、特別養子制度を利用することは容易でなく、また、上記述べたように、一旦、産み親に育てられた子を育てることはきわめて難しいと思うのです。
項目 |
普通養子縁組 |
特別養子縁組 |
名称 |
普通養子 |
特別養子 |
成立 |
当事者の縁組意思と届出(契約)。養子が15歳未満の場合は法定代理人の代諾で養親と契約※ |
家庭裁判所に申立て審判を受けなければならない |
親子関係 |
実親、養親ともに存在 |
実親との関係消滅 |
戸籍の記載 |
養子・養女 |
長男・長女 |
離縁 |
可能 |
原則できない |
養子の年齢 |
制限なし |
6歳未満 |
相続権 |
実親子間・養親子間ともに相続権がある |
実親子間の相続権は消滅 |
社説が指摘する<児童養護施設や乳児院も施設内での子どもの支援だけでなく、里親や養親などの元で暮らす子どもたちの支援機関になるよう意識も支援スキルも変えるべきだ。社会全体でバックアップしなければならない。>そのこと自体は反対するものではありませんが、現在の施設を経由した里親や特別養子制度の利用は大きな困難に直面していることに手を加える必要を感じます。
この問題は私自身経験がないのと、とりわけ勉強不足なので、この程度で今日は終わりとします。「ハッピーゆりかごプロジェクト」が指摘している内容は、大いに参考にされてよいと思う次第です。
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