ビスタ~リ通信

山のこと日常のことを、思いつくままに。

西へ。グランドマザーはゆったりどころか厳しい山

2010-12-28 | 山のはなし

11月21日(日)は、祖母山に登りました。
祖母山の形成は火山活動によるものですが
阿蘇山とは対照的に山は豊かな緑に覆われています。
特に印象深かったのは、川上渓谷沿いの美しい森です。



直前になって、神原から山頂を往復するわい案と
尾平からぐるっと周回するびす案で対立しました。
「道の駅 阿蘇」から車で約2時間かかる尾平登山口よりは
神原登山口の方がアプローチは容易です。
決定権は運転するわいはんにあるので
「まかす!」というスタンスでしたが
尾平登山口からのびす案に落ち着きました。
すまんのう。私のガイドブックには尾平周回コースが紹介されていて
祖母山登るにゃこれしかない、と強い思い入れがあったのです。

今回のコースは以下の通りです。
尾平登山口→川上渓谷→黒金山尾根→天狗岩→祖母山→馬の背→宮原→尾平登山口

「そぼさん!」
「……」
明朝5時。まだ夜も明けない真っ暗な道を
わいはんは運転に必死で相手にしてくれません。
「せっぱ」
仕方が無いので自分で答えておきます。

7時半ごろに尾平登山口に到着しました。
川沿いの林道を歩いていくと、正面に祖母山や古祖母山の岩峰群が迫ってきました。



道は間もなく渓谷に入っていきます。
紅葉に彩られた渓谷は美しく、にやにやしっぱなしでした。



ところが、渓谷を離れて黒金山尾根をぐいぐい登るようになると
勾配がちっとも緩くならない登りに足が重くなってきます。



水場を過ぎて青ガレをひと登りするとようやく天狗岩付近にある
古祖母山への縦走路の分岐です。

少し離れたところの展望所では祖母山だけでなく阿蘇山も一望できます。
しかし爽快感に浸る間もなく先に進むと、
分岐からがくんと標高を落とすことになります。
で、再度笹薮がうるさい登山道を必死に登ってきます。



先ほどからずっと山頂は見えています。山頂に立っている人も見えます。
けれど長いです。あんな尖った山頂にどうやって登るんや……
とぼんやり考えていると、切立った岩の間に架かる梯子が現れます。

「うそやろーっ。どこの修験道やねん」

頼りない梯子が終わると、今度は断崖。岩を避けて木の根っこをつかみながら
登っていくとそこには休憩をしている人がいます。
はあ~。やっと到着しました。長丁場で疲れました。
下りの体力が残っているかが怪しかったのですが
山頂では余計なことは考えず、その素晴らしい景色に酔いしれることにします。



韓国の団体さんが日本語で由布岳を尋ねてきたので教えると
じゃああれは九重山か、と合点したようで
今度は、阿蘇山の近くの根子岳を指差して
あそこに登ったことがあるかと尋ねてきました。
その人たちは翌日に登るようです。



韓国、静岡、姫路、大阪。
私が確認しただけでもこれだけの人が
山頂でのひとときを一緒に過ごしていたことになります。
もちろん、地元九州の人たちも居たと思います。
山ってものすごい吸引力を持っていますね。

一時間ぐらい休憩をした後、山頂を出発しました。
少し雪が降ったあとのぬかるんだ道を九合目小屋まで下ります。

そこからは木々の葉の落ちた明るい尾根道となり、
時折展望がひらけると古祖母や傾山などを眺めることができます。



分岐からは急勾配の登山道を下っていきますが
紅葉に目を奪われることが幾度もあり、飽きることがありません。



行動時間は7時間くらい。
じっくりと祖母山と向き合えることができました。
しんどかったですが、本当によかったです。

下山後は、次なる目的地に向けて新たに出発です。
昨夜、遅くまであちこちの温泉地とグルメを探した末に
わいはんが選んだのは黒川温泉。
黒川温泉と小国そばを目指して、一路久住高原方面へ。

つづく