ペットフェアなるものを覗いてみました
そこはペットフェアとは名ばかりの生体市場といわれるようなところでした。
訪れている方々は手に手に仔犬たちを抱きかかえティーカップだのトイだの
あの子がいいこの子がいいと見定めておられました
ホームセンターのペットコーナーとは比べ物にならないほど如何わしい会場は
仔犬たちにとって良い環境とは言い難い状況でした。
そんな中のある会話です。
女の子も男の子も避妊手術や去勢手術をうければ飼いやすいですよ。
手も掛らなくなるし困らされることもなくなるし云々
女の子は不妊手術を受ければ汚すこともないし
男の子は去勢手術を受ければおとなしくなるしいいですよ・・・
何という安易なおすすめ
こんな場所に来るのではなかった ・・・
何かペット用品でいいものがないかと思って見に行ってみましたが
何も見ずに会場を飛び出していつものホームセンターのペット用品売り場で
ペットシーツにウンチ袋をカートに山積みに買い込んだ今日の私です。
何が汚すから避妊手術だ
何が性格が大人しくなるからやマーキングをしなくなるから去勢手術だ
何が可哀そうな子を増やさないためにだ
何が長生きさせるためにだ
持って生まれた寿命(さだめ)を人間様が加減する・・・
はたして彼らにとっての幸せとは何なのか?
長寿もめでたい事だけれど
頭の中の消しゴムに楽しかった記憶を消されてしまった彼らが幸せなのだろうか?
私たちの自己満足と彼らの幸せを比べれば
ついさっきまで元気でいたのに・・・
何で逝っちゃったの・・・
私は思います。
彼らの鮮明な記憶が残っているうちに
楽しい幸せが記憶が残っているうちにお別れできることこそ
幸せな生涯と言えるのではないのでしょうか。
私は最近になってこのように思うようになりました。
彼らの本当の喜びとは何か、幸せとは何か
それは常に私たちと肌を触れ合い同じ時間を同じ空間を共有している事
好きなものを食べ、遊び、私たちと肌を触れ合いお昼寝をする
彼らに何もしてあげる事が出来なかったではなく
彼らと一緒に何をしたかが大切なのだと思う
よく吠えるから、ご近所の迷惑になるからと泣く泣く声帯の手術を受けると
避妊手術や去勢手術を肯定される方々からそれは虐待だとのご批判を受けた方が
どこにその違いがあるのかといわれておりました。
常に生活する範囲の中で支障をきたさないための最良の選択
その事を決断する事によって常に彼らと暮らす事が可能になるのならば
それが最良の選択。
ストレスをため込む生活からの解放が彼らにとっての最良の選択。
鳴く事吠える事を日頃の生活の中で抑制されること
それよりも声は出なくとも吠える行為を抑制されずにできる事の方が
彼らにとっていかにストレスの無い生活となる事か・・・最良の選択
自然の営み恵みを一度人為的に奪われた彼らに自らの子孫を残す術はありません。
命と引き換えに・・・とは人が後から付けた理由にすぎません。
どのような選択も事情にかなった選択ならば最良の選択となるはずなのですが・・・。
人の見識には各々に差があることが現実の問題なのです。
立場による違いは選択による結果を正反対のものとするでしょう。
獣医師の中でもその判断は分かれます
基本的に自然の治癒力に任せ最小限の治療を試みる獣医師から
積極的に様々な手法を駆使して治療を試みる獣医師まで多種多様です。
平均寿命に関する統計学的見地から行われる疫学調査の結果を示し
避妊手術や去勢手術を積極的に勧める獣医師。
疫学調査の結果を示しその有効性を説明しながらもあえて処置を勧めない獣医師。
そこには常に双方に存在するリスクの問題があります。
手術をしなかった場合のリスク、手術をした場合のリスク。
手術をしなかった場合の平均寿命、疾病率云々
手術をした場合の術中死亡率、術直後の死亡率、手術予後の問題云々
どちらのリスクを取るのかは、私たちにゆだねられています。
共に暮らす環境の条件でその判断選択は違います
どうか安易なおすすめをうのみにされないでほしいと思います。
そう長くはないけれど時間はあるはずです。
悩んでください、考えてください。
彼らが味わう痛みの分以上に・・・そして、結論が出たら決して後悔しないでください。
彼らに結論を拒否す術はないのです。
ここで今一度考えていただきたいことは、
会うは別れの始まり、別れは新たな出会いの始まりということです。
私は、三十数年の長いペットロスを経験しました。
ほんの数年という彼らとの生活の突然の終わりに家族全員がショックを受け
長く暗いペットロスの沼へ頭の先まで浸かっておりました。
その後、ちぃ君を迎えることとなり現在に至りますが・・・
今になって気付かされた事は、もっと早く新たな出会いをすべきだったと云う事です。
もっといろいろしてあげたかった、ああしてあげたかった、こうしてあげたかった云々
そういった思いにとらわれず、これでいいのだ。
これで良かったのだと思われる事こそ私たちを新たな出会いへと導いてくれるのではないのでしょうか。
彼らは、今、この時が充足さてている事が一番の幸せなのです。
今、この時を彼らと精いっぱい過ごしてあげる事が彼らの幸せと思ってください。
彼らには過去の幸せよりも未来の幸せよりも今の幸せが大切なのです。
彼らがどう感じて暮らせたかが大切だと思います。
楽しい毎日を皆様が彼らと共に過ごす事が出来る事を願って止みません。