真夜中の2分前

時事評論ブログ
「真夜中の5分前」→「3分前」→「2分前」に

リメンバー9.19!――抗議活動は確実にヒットしている

2015-10-01 19:18:58 | 安保法廃止を求める抗議行動
 安保法の強行採決から、早いものでもう二週間近くが経とうとしている。
 あらためて、2015年9月19日という日は、自公政権が、民主主義を愚弄し、圧殺した日として記憶されなければならない。リメンバー9.19である。

 さて、ここで私なりに今夏の一連の動きを総括すると、安保法制に反対する抗議行動は、決して無駄ではなかった。
 まず一点目には採決を相当に遅らせたし、二点目に、これらの抗議が、政府の今後の行動に対する足止めとなることが期待される。
 もし抗議行動が起きていなかったら、あるいは小規模なものにとどまっていたとしたら、どうだっただろう?
 おそらく安保法は6月か7月ぐらいには成立し、次の参院選までにはもう忘れられてしまい、政府はさらに一歩も二歩も踏み込む政策を打ち出していただろう。それが、安倍政権の狙いでもあったはずだ。
 しかし、実際にはそうはならなかった。
 全国各地で大規模な抗議行動が起き、政府与党もしり込みし、当初は7月ともいわれていた採決時期はどんどん先延ばしされていった。採決は9月になる、9月の11日だ、いや、13日だ……と最後のほうはほとんど一日刻みでスケジュールが延期されて、結果としては、大幅延長した国会のその閉会ぎりぎりにまで採決はずれこんだ。
 もっとも、それだけなら、冷笑派は「遅れたといっても、結局は成立したじゃないか」といって嘲笑するかもしれない。どれだけ先延ばしにしたところで、成立したのだから、つまりは抗議活動に意味なんてなかったじゃないか、と。だが、そうではないのである。
 抗議行動のうねりは、今後に影響してくるのだ。これだけの大規模な行動を見せ付けられて、政府もしばらくはタカ派路線を前面に出した政策はとれなくなるだろう。安倍総理は最近「経済優先」をしきりに口にしているが、これもそのあらわれといえる。安保法制で激しい反発を受けたために、さすがの聞く耳もたぬ総理も、いったん彼のいう“戦後レジームからの脱却”路線を封印せざるをえなくなっているのだ。猛烈な抗議が、政府の暴走に対する“抑止力”として機能するのである。これは、現実に効力のある抑止力だ。そういう意味で、反対の意思を「見える化」するデモや抗議集会は実際に効力を発揮しうるし、現にしている。

 そして、その抑止力を持続させるためにも、抗議行動を継続していく必要がある。
 抗議が続くことによって、政府の側は“本性”をあらわすことをためらい、猫をかぶり続けざるをえなくなる。その状態が来年の夏まで続けば、さらなる横暴をできないように押さえ込んだ状態のままで、与党を参院選敗北に追い込むことが可能だ。
 このように考えれば、いまほど抗議行動が重要な意味を持つ時期はない。
 そして、とりあえず来夏の参院選までの“落選運動”というところでもまた、抗議活動によって採決が九月後半までずれこんだことが生きてくる。参院選までの時間がそのぶんだけ短くなり、安保法制問題で沸騰した世論の“冷却”期間が少なくなるのだ。一年経てばどうせ国民は忘れてしまうだろうとたかをくくっていた政府与党にとっては、大きな誤算だろう。

 振り返ってみると、安保法案に対する反対運動が盛り上がったのは、すでに法案が提出された後のことだった。そういうこともあって、政府の側も、一度出した法案を引っ込めることができずに突き進んだという側面があるように思える。
 しかし、ここからは話がちがう。安保法制に対する抗議が続けば、安倍総理が“戦後レジームからの脱却”のために目論むさまざまな法制を、法案として提出される前に入り口で抑えることになるのだ。安倍政権がこれ以上日本の社会を壊していくのを防ぐためにも、粘り強い抗議行動を継続していくことが求められる。

 ――といっても、私があらためてこんなことをいうまでもなく、みんなとっくにやる気満々だ。
 安保法が採決されても、依然としてあちこちで抗議行動が行われているのは周知のとおりである。先日は警固公園での集会を紹介したが、じつは福岡県では、9月23日に北九州でかなり大規模な集会が行われている。残念ながら私はそれに参加できなかったのだが、先述した「見える化」の一環として、その画像だけでもここで紹介したい。紹介する画像は、集会に参加していた学生団体FYMの公式ツイッターから転載させていただいたものである。



 この集会には、主催者発表で1,500人が参加したということである。採決前に北九州で行われていた各種活動と比較すると、むしろ増えている。



 学生団体としては、FYMとその姉妹組織であるFYMkita9、長崎のN-DOVE、さらにはSEALDsKANSAIのメンバーも遠方から駆けつけた。また、野党の議員らも参加したようだ。



 スローガンは、「平和をあきらめない」。このスローガンののもとに、参加者たちは、「戦争のできる国」への動きを止める運動がおさまるどころかますます強まっていることを示した。


 もちろん、今後もさまざまな抗議行動が続いていく。
 私が福岡での抗議行動の情報収集に活用しているあるサイトでは、すでに12月までの各種の行動の予定が書き込まれている。そのなかには安保法に直接関係しないものもあるのだが、そこが安倍政権のすごいところで、原発再稼働反対、辺野古新基地建設阻止、核廃絶……と、ほとんどどんなテーマの抗議行動であっても、結局は「安倍政権打倒」というところに収束してしまうのである。
 繰り返しになるが、こうした粘り強い活動を続けていくことは、確実に安倍政権へのブレーキになる。
 状況に絶望しかけている人は、まだまだこうして声があがり続けているということを知ってほしいし、そして、現在進行形で活動を続けている人は、この福岡はもとより、日本中に仲間がいるということに大いに自信をもってもらいたい。「安保法案廃止」というのは、かなり難しい、ほとんど不可能に近い目標だったが、「参院選で自公の過半数を阻止する」というのはじゅうぶうんに実現可能である。民主主義、平和主義、立憲主義を取り戻すための、本当の戦いはこれからだ。