真夜中の2分前

時事評論ブログ
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One Love/People Get Ready

2015-10-09 21:03:26 | 音楽と社会
 最近、当ブログでは「集団的自衛権行使事例を検証する」というシリーズをやっているが、ずっとそればかりをやっているのもあれなので、時おり時事ネタも扱っていきたい。というわけで、今回は(少し前の話になるが)安倍首相のジャマイカ訪問について書く。

 先日ジャマイカを訪問した安倍総理は、ボブ・マーリィ博物館を訪れたという。
 伝えられるところによれば、ボブ・マーリィの代表曲One Love/People Get Ready にあわせて、ジャマイカのシンプソンミラー首相が歌を口ずさみ、我らが安倍総理も曲の調子にあわせながらそれを聴いていたという。
 これは、私にはまったくのブラックジョークとしか思えない。
 件のOne Love/People Get Ready の歌詞は、まさに安倍総理に対するあてつけのような内容なのである。
 その歌詞の一部を抜き出すと、次のような感じだ。


  自分自身を守るためだけに 
  すべての人類を傷つけるような罪人に
  居場所はない

  裁きのときを生き延びる望みが
  薄くなってく連中に 憐れみを

  そのときがくれば やつらに逃れる術はない


 一読しておわかりのとおり、これはまさに、国民の生活を無視して「戦争のできる国」作りに邁進する安倍総理のような人物を指弾する歌なのである。
 もしかして、ジャマイカの首相はそれをわかっていてやった? だとしたら、ファインプレーである。

 ちなみにこの歌は、カーティス・メイフィールド(インプレッションズ)の代表曲である People Get Ready とボブ・マーリィ自身の曲 All in One とをミックスさせて作った曲だが、もとになった People Get Ready は、次のような歌詞である。
 
  みんな準備をするんだ 汽車がくるよ
  荷物はいらない ただ乗り込めばいい
  信じる心さえあれば、ディーゼルのハミングが聞こえるさ
  乗車券はいらない 祈りさえすればいい


 公民権運動時代に発表されたこの曲は、運動に参加する人たちに呼びかける内容とされる。この歌もまた、いま安倍政権に対して抗議行動をしている人たちにこそふさわしいといえるだろう。


 さて、話をボブ・マーリィに戻すと、彼は、社会的なメッセージを歌にしたレゲエミュージシャンというだけでなく、みずから活動し、実際にジャマイカの政治状況を変えた人物でもある。それもあって、今にいたるまで多くの人々にリスペクトされているのだ。
 ウィル・スミス主演の映画『アイ・アム・ア・レジェンド』では、暗殺者に銃撃されてそれでもステージに立ったボブ・マーリィのこんな言葉が紹介されていた。

 「世の中を悪くしようとするやつらは、一日も休まない。寝ていられるか」
 「闇を光で照らすんだ」

 これこそまさに、安倍政権に抵抗している人たちの側の言葉ではないか。
 やっぱり、ジャマイカの首相はそのへんをわかっていたのだろうか。かえすがえすもファインプレーである。
 ボブ・マーリィの話が出たついでなので、最後に彼のもう一つの代表曲である Redemption Song の歌詞を紹介してこの記事を結ぼう。


  精神的な奴隷状態から、自分自身を解き放つんだ
  おれたちの心を自由にできるのは おれたち自身だけ
  原子力なんかおそれるな 
  やつらだって時間をとめることはできない
  いったいいつまで
  預言者たちが命を落とすのを
  おれたちは黙って見過ごし続けるのだろう
  それはもう決められたことだというやつもいる
  おれたちは、その物語を完成させなければならないと

  歌わせてくれないか
  この自由の歌を
  だって 俺にあるのは
  救いの歌だけ