自民党の若手勉強会での「マスコミをこらしめる」発言が問題となっている。
そのさなか、大阪府の松井一郎知事が、この点に関して百田氏を擁護するような発言をした。朝日新聞(電子版)によると、松井知事は「百田さんにも言論の自由はある」として、「ここぞとばかりに復讐だな。朝日と毎日は、百田さんの言論の自由を奪っているのではないか、圧力をかけて」とこの件に関する両紙の報道を批判したという。
驚くべき牽強付会の構図が、ここでもみられる。報道機関が公党の勉強会で出てきた発言を報道することが、なぜ圧力をかけて言論の自由を奪うことになるのだろうか。公人の発言を報道機関が報じるのは当然だし、社説やコラムなどでそれに論評をくわえるのも当然だ(さすがの読売新聞も、6月27日付朝刊の社説で文化芸術懇の議員らや百田氏の発言を批判している)。それが言論の自由を奪う圧力にあたるというのなら、政治関係の報道はいっさいできないことになる。そしてその理屈が成り立つなら、報道機関を批判した松井知事の発言もまた「言論の自由を奪う圧力」ということになってしまうのではないか。
もちろん、百田氏に言論の自由はある。だが、それを批判するのも言論の自由だし、その発言に対して「あいつはクズだな」と思うのも自由である。圧力をかけて言論の自由を奪おうといっていたのは、「文化芸術懇話会」の面々であって報道機関ではない。
むしろ私には、松井知事のこの発言こそ、朝日、毎日に対して「ここぞとばかりに復讐」しているようにみえる。大阪都構想が住民投票で否決されたことを、「メディアの“偏向報道”のせいだ」と勝手に自分のなかで合理化して、腹いせをしているだけではないか。
心理学に「フォールス・コンセンサス」という概念がある。
「世の中の大多数の人は自分と同じような考え方で行動している」という錯覚のことだ。相棒の橋下大阪市長がそうであるように、松井知事もものごとを勝ち負けでしか考えることができないのだろう。だから、世の中の多くの人間も自分と同じように勝ち負けでしか世の中をみていないと思い込んでいる。それで、「ここぞとばかりに復讐」という見方になってしまうわけだ。こんな連中が政治家としてまかりとおっているというのは、悲劇というしかない。いや、むしろ喜劇か。
追記:今回は別の記事を書くつもりでいたが、たまたま松井知事の発言を目にしたので、予定を変更した。維新の党はもはや風前のともし火で、松井知事も今後政治家として活動し続けられるかどうか微妙だと思うので、スルーしてもよかったのだが、一応、維新は野党第二の勢力であるし、安保法制では台風の目になる可能性もあるため、とりあげた。
そのさなか、大阪府の松井一郎知事が、この点に関して百田氏を擁護するような発言をした。朝日新聞(電子版)によると、松井知事は「百田さんにも言論の自由はある」として、「ここぞとばかりに復讐だな。朝日と毎日は、百田さんの言論の自由を奪っているのではないか、圧力をかけて」とこの件に関する両紙の報道を批判したという。
驚くべき牽強付会の構図が、ここでもみられる。報道機関が公党の勉強会で出てきた発言を報道することが、なぜ圧力をかけて言論の自由を奪うことになるのだろうか。公人の発言を報道機関が報じるのは当然だし、社説やコラムなどでそれに論評をくわえるのも当然だ(さすがの読売新聞も、6月27日付朝刊の社説で文化芸術懇の議員らや百田氏の発言を批判している)。それが言論の自由を奪う圧力にあたるというのなら、政治関係の報道はいっさいできないことになる。そしてその理屈が成り立つなら、報道機関を批判した松井知事の発言もまた「言論の自由を奪う圧力」ということになってしまうのではないか。
もちろん、百田氏に言論の自由はある。だが、それを批判するのも言論の自由だし、その発言に対して「あいつはクズだな」と思うのも自由である。圧力をかけて言論の自由を奪おうといっていたのは、「文化芸術懇話会」の面々であって報道機関ではない。
むしろ私には、松井知事のこの発言こそ、朝日、毎日に対して「ここぞとばかりに復讐」しているようにみえる。大阪都構想が住民投票で否決されたことを、「メディアの“偏向報道”のせいだ」と勝手に自分のなかで合理化して、腹いせをしているだけではないか。
心理学に「フォールス・コンセンサス」という概念がある。
「世の中の大多数の人は自分と同じような考え方で行動している」という錯覚のことだ。相棒の橋下大阪市長がそうであるように、松井知事もものごとを勝ち負けでしか考えることができないのだろう。だから、世の中の多くの人間も自分と同じように勝ち負けでしか世の中をみていないと思い込んでいる。それで、「ここぞとばかりに復讐」という見方になってしまうわけだ。こんな連中が政治家としてまかりとおっているというのは、悲劇というしかない。いや、むしろ喜劇か。
追記:今回は別の記事を書くつもりでいたが、たまたま松井知事の発言を目にしたので、予定を変更した。維新の党はもはや風前のともし火で、松井知事も今後政治家として活動し続けられるかどうか微妙だと思うので、スルーしてもよかったのだが、一応、維新は野党第二の勢力であるし、安保法制では台風の目になる可能性もあるため、とりあげた。