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アベノミクスはもう破綻している

2016-05-18 19:09:24 | 政治・経済
1~3月期のGDPが発表された。0.4%、年率換算で1.7%のプラスである。
 2期ぶりのプラスだが、しかしこのプラスは「うるう年効果」によるものと指摘されている。そもそもごく小さなプラスだが、それもうるう年で一日多かったためにかろうじて出たもので、実際にはほとんどゼロではないかというのだ。また、前期がマイナスだったことで今回はプラスに数字が出やすい環境にあったといえ、そのことを考えれば、見かけの数字がプラスであったとしても、日本経済はとてもうまくいっているとはいえない状態にあるといわなければならない。
 この一年のことを考えると、今回までの4期は、2期がマイナスで、プラスになったのも、その前がマイナスだったためにかろうじてプラスになったというものだろう。もう、アベノミクスの失速はかなり鮮明になってきている。というよりも、事実上、すでに失敗に終わったといっていい状態ではないだろうか。安倍政権が当初掲げていた物価上昇2%の目標はいまなお達成にはほど遠い状態で、目標達成時期を延々と先送りし続けている。これも、実現はもう不可能なのではないか。

 この点に関して、今回は小幡績という人の『リフレはヤバい』(ディスカヴァー携書)という本を紹介したい。
 この本の中で小幡氏は、アベノミクスのよってたつリフレ理論を、全面的に否定している。彼によれば、そもそもインフレを人工的に起こすことはできない。中央銀行にできるのは「インフレが起きたときにそれを抑制すること」であって、インフレを起こすことは不可能である。欧米各国についても、インフレ率それ自体を目標にしている国はまずない。例外はイギリスぐらいのものだが、これはイギリスが金融立国であるという特殊な事情によるものである。リフレ理論は、大雑把な説明だけ聞けばもっともらしいが、具体的にそれをどういう政策で実現するかという議論になるとたちまちボロが出る。だから、リフレ論者はまとも議論はできず、大げさなたとえ話ばかりを繰り返す。経済学者のなかでも、実際に金融の現場に携わった経験のある論者であれば、リフレなど論外と考えている……といった具合である。

 リフレの如何ということについては、安倍政権発足当初からさまざまな議論があったわけだが、それから三年あまりが経ったいま、具体的な数値目標(二年で達成するとしていた目標)を達成できていないという現実がある。そのことは、直視しなければならない。企業業績の数がいいというのも、円安によって円換算での金額が見かけ上増えているに過ぎず、それで日本経済が好調といえるようなものでは必ずしもない。実際、GDPの数値は前述したとおりだ。リフレ論者達も、そろそろアベノミクスの失敗を認めなければならないところにきているのではないか。


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