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安倍総理の判断は正しかった?

2016-06-26 21:38:05 | 政治・経済
【イギリスのEU離脱は、経済にも大きな影響を与えている。このことで「安倍総理の判断は正しかった」という声があるが、これはまったく見当はずれである。安倍総理がいっていたのは「途上国のリスク」であって、今回の事態はイギリスという「先進国」から発した。むしろ、年金の運用に大幅な損失が出るのではないかということのほうが問題だ】


 イギリスのEU離脱という決定を受けて、世界経済に大きな混乱が生じ、日本にもその影響が及んでいる。円高が急激に進み、株価も下落した。
 そのこと自体は安倍政権のせいではないだろうが、しかし、前回も当ブログで書いた年金運用のことを考えると、事態は深刻かもしれない。
 安倍政権のもとで、年金を株で運用する割合が引き上げられているが、株価の下落が続けば年金の積立金に膨大な損失が出るのではないかと危惧されている。

 今回の件で、「世界経済のリスクを考えて消費税増税を延期した安倍総理の判断は正しかった」というふうにいう人がいるが、その見方はまったく的外れだということを共産党の志位委員長が指摘している。
 消費増税延期の際に安倍総理がその根拠としていたのは「途上国のリスク」であり、今回の件はイギリスという「先進国」から発したものだ。この点からしても、安倍総理は事態をまったく見誤っているのである。

 また今回の件は、為替だのみの安倍政権の経済政策がいかに脆弱なものであるかということも示している。
 そもそも円安はあくまでも付随的なものであって、それ自体がアベノミクスの目標であったわけではない。円安誘導がはじめから目的だとしたら、それはちょっと問題があるということになる。
 しかし実際には、アベノミクスの“成果”というのはその円安で企業の業績がアップしているということでしかない。そして、企業はそれで潤うが、逆に一般市民は円安による輸入価格の上昇で生活が苦しくなる。こうして、企業は儲かり庶民は生活苦に陥り格差が拡大していっている――という指摘もある。それが、アベノミクスというものの実態ではないか。

 安倍総理はそれでも「道半ば」「これからエンジンをふかしていく」といい続けているが、しかしでは具体的に何をするのかということは口にしない。
 これは、いおうにもいえないからだ。
 日銀はマイナス金利という禁じ手まで導入しており、すでに弾切れ状態で新しくできることはなにもなくなっているのである。だから、具体的な政策についてはなにもいえない。 
 「エンジンをふかす」といっても、これまでやってきた金融緩和や財政出動を繰り返すぐらいしかもう方策がなく、その効果も息切れ状態で、同じことを続けていっても効果はほとんど期待できない。これ以上アベノミクスなるものを続けても、もう袋小路にむかって突き進むだけであり、その先に待っているのは破滅的なクラッシュでしかない。


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