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北朝鮮、4度目の核実験

2016-01-10 14:56:16 | 政治・経済
 北朝鮮が四度目の核実験を行った。
 今度は、水爆の実験だと北朝鮮側は主張している。その点については懐疑的な見方もあるようだが、しかし核弾頭を小型化する技術は、すでに弾道ミサイルにそれを搭載できるレベルに達しているのではないかとも指摘されている。
 当ブログとしても、ひとまず、今回の北朝鮮の暴挙を強く批判したい。
 しかし――同時に、なぜこのような事態にいたったのかということも考えなければならない。

 もう数ヶ月前のことになるが、当ブログで以前、「太陽政策時代のほうが北朝鮮は今よりはるかにマシだった」と書いた。

 2000年代の初頭、韓国は、北朝鮮に対して圧力をかけるのではなく、友好的に接するという方針をとっていた。いわゆる“太陽政策”である。その太陽政策の時代のほうが、北朝鮮は今よりもはるかにおとなしかった。太陽政策をやめた後になって、北朝鮮の行動は次第にエスカレートしていき、哨戒艦沈没事件やヨンピョン島の砲撃、そして去年の地雷事件に続く砲撃が起きたのである。

 太陽政策をやめるきっかけとなったのは、2006年に北朝鮮が行った核実験だった。それが一回目の核実験となるわけだが、この一件は必ずしも太陽政策の失敗とはいえない。
 というのも、この核実験は、明確にアメリカに向けられたものだからである。
 太陽政策というのは、あくまでも南北朝鮮間のものであって、アメリカはそこには関与していない。その頃のアメリカは、北朝鮮に対して完全に北風的な態度をとっていた。そして、北朝鮮の核実験は、このアメリカの“北風”に対して行われたものなのである。ゆえに、この核実験を太陽政策の失敗とみるのは誤りである。

 その当時のアメリカは、ブッシュ政権の時代だ。
 アメリカ史上最悪との呼び声も高いこの大統領は、イラク、イラン、北朝鮮の三カ国を“悪の枢軸”と呼び、そのうちイラクを実際に攻撃した。そして、それに呼応するかのようにして、残る二つの国は核開発を進めた。ここには、あきらかな因果関係がある。イラクを攻撃したことが、イラン、北朝鮮に「いずれ自分も同じように攻撃されるかもしれない」という危機感をもたせ、それが核開発の動機となった――ということが、指摘されている。もちろん両国の核開発を容認することはできないが、しかし国連の枠組みを無視してアメリカがイラクを攻撃した経緯を踏まえれば、イラン、北朝鮮が「自分の身は自分で守るしかない。核兵器をもつしかない」という考えにいたってしまったことについて、アメリカの側にも責任があるといわなければなるまい。そして、その行き着く先が、今回の北朝鮮の核実験なのである。

 私は、もし、2000年代にアメリカも含めた周辺国が一致して太陽政策をとっていたなら、北朝鮮の核実験もなかったのではないかとかなり真剣に考えている。上述の因果関係を踏まえれば、ブッシュJr大統領による「悪の枢軸」発言、イラク攻撃、その後の北朝鮮への圧力がなかったなら、北朝鮮がああまでしゃにむに核開発に突き進むこともなかっただろうからだ。ときどき思い出したようにミサイルを発射するぐらいのことはあるかもしれないが、いまの状況よりははるかにマシだっただろうと想像する。
 そして、そのように考えてくると、もし北朝鮮がすでに核ミサイル技術を手にしているとしたら、それは、とにかく圧力をかけるという北風的アプローチの失敗にほかならないのである。


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