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アベノミクスは“道半ば”どころか逆戻りしつつある

2016-07-10 00:42:05 | 政治・経済
【今年に入ってから、消費者物価指数は一度もプラスになっていない。ゼロとマイナスだけである。実質賃金のプラスは、それによってもたらされたにすぎない。日本経済は、またデフレに陥りつつあるのかもしれない。だとしたら、“アベノミクス”とはいったい何だったのだろうか】

 5月の実質賃金が発表された。
 0.2%増。4ヶ月連続のプラスである。
 しかしこれは、まったく喜べるものではない。というのも、給与総額が下がっているからだ。

 以前このブログで、「実質賃金のプラスは安倍総理が成果として誇れることではない」ということを書いたが、今回の数字で、それがさらにはっきりした。

 これまでは、まがりなりにも給与総額は上がっていた。
 しかし今回は、給与総額も下がっている。給料が下がっているにもかかわらず、物価がそれ以上に下がったために実質賃金がプラスになったのだ。

 これでもう、「実質賃金のプラス」が安倍総理の手柄ではないということは誰の目にもあきらかだろう。

 考えてみてほしい。
 安倍政権発足の直後から「デフレからの脱却」を目指し、“異次元の金融緩和”や大規模な財政出動が繰り返されてきた。それを3年間延々やり続けての今のこの状況なのである。
 以前も書いたが、結局2%の物価上昇は達成されず、それどころか今年に入ってからは一度もプラスになっていない。逆に物価は下落しはじめ、給料が下がったにもかかわらず実質賃金をプラスにしてしまうレベルだ。“道半ば”どころか、アベノミクスはもう反転しつつあるのが現状ではないか。

 経済のさまざまな指標にも、それがあわられてきている。

 たとえば為替は、このところ急激に円高が進んで、100円を割る場面も出てきた。
 株価も今年に入ってから大きく下落し、半年あまりで4000円ほど下がっている。
 また、これは以前も書いたが、今年4月の日銀調査によると「一年後の景況感」が、3四半期連続で悪化し3年3ヶ月ぶりの低水準となった。
 そして、これとは別に商店主やタクシー運転手といった“景気ウォッチャー”による「街角の景況感」というものがあるのだが、この「街角の景況感」も、6月の調査では、同じく3年3ヶ月ぶりの低水準となっている。
 この「3年3ヶ月前」というのは2012年の終わりごろで、ちょうど安倍政権発足の直前にあたる。企業の景況感も、一般市民の景況感も、安倍政権発足直前のところまで戻っているのだ。

 このように、さまざまな数字が、アベノミクスを開始する前の状況にむかって逆戻りしつつある。まるで、ふくらませた風船がどんどんしぼんでいっているようだ。“異次元の金融緩和”という無茶なことを三年間続けて、結局はまた元に戻っただけ――だとしたら、アベノミクスとはいったい何だったのだろうか。


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