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ベルギーのテロは、日本の未来図かもしれない

2016-03-23 21:37:45 | 海外
 ベルギーでテロが発生した。
 欧州では、昨年フランスで大規模なテロが2度発生しているが、それに続いてベルギーでもテロが発生したというかたちだ。IS系の組織が犯行声明を出しており、欧州諸国とISとの“戦争”の一環としておきた攻撃であるようだ。

 奇しくも同じに日に、日本では安保関連法の施行を閣議決定するという動きがあった。
 「抑止力の向上と地域、国際社会の平和と安全にこれまで異常に積極的に貢献することを通じて、我が国の平和安全を一層確かにし、歴史的な重要性を持つ」と、安倍総理は語ったという。

 この閣議決定によって、安保法は29日に施行されることになったわけだが、はたして本当にそれによって日本の平和安全は確かなものになるのだろうか。
 私は、きわめて懐疑的である。

 ここではじめの話に戻るが、ベルギーやフランスでなぜテロが起きるのか。
 それは、ISを中心としたイスラム過激主義者たちを敵にまわしたからだ。そして、なぜイスラム過激主義者たちを敵にまわしたかといえば、アフガン攻撃やイラク戦争に参加したからである。
 当ブログでは何度か書いてきたことだが、アフガン攻撃は、NATOがその創設以来はじめて集団的自衛権を行使した事例である。イラク戦争は、欧州から参加した国はアフガンに比べれば少ないが、しかし基本的な構図は同じである。

 すなわち、集団的自衛権を行使してアフガン攻撃に参加し、「自分が直接攻撃されていないのに、他国に軍隊を派遣して戦争に参加する」ということをした結果、欧州はいまのような状況になっているのである。

 そして、いうまでもなく、アフガン攻撃は、テロだけではなく難民問題にもつながってくる。
 先日イラク戦争についての記事で、EU加盟国への難民申請が過去最多となり、その一割はイラクからの難民だったと書いたが、アフガンからの難民もそれと同じぐらいで、全体の14%ほどを占めているという。そういう意味で、アフガン攻撃はいまでもダイレクトに難民問題につながっているのだ。

 こうした問題を踏まえて、日本のことを考えれば、集団的自衛権の行使を可能とするというところからはじまった安保関連法が日本の平和にも安全にも寄与しないことがわかる。
 昨年の安保法制に関する議論で、“日本が海外に自衛隊を派遣して戦争に参加すれば、テロの標的になる”という議論があったが、これは、可能性の問題ではなく、すでに欧州では現実のものになっているのである。「自国が直接攻撃されていないのに、他国に軍を派遣して戦争に参加する」ということをすれば、問題をさらにややこしくするのはちょっと考えればわかることであって、現実の世界では現にそうなっている。アフガンやイラクの攻撃に参加したことによって、欧州諸国は“戦争”を自国に持ち込んでしまった。それによって、平和と安全が守られるどころか、欧州は危険で不安になったのである。このまま安保関連法が施行され、実際に日本の自衛隊が海外派遣されるようになれば、日本でも同じような問題が生じる可能性はかなり高い。フランスやベルギーで起きたようなテロが、日本でも起きるようになるかもしれないのだ。本気で日本と周辺地域の平和と安全を考えるなら、自衛隊の海外派遣が実行される前に安保関連法を廃止に追い込むべきである。


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