地元情報で何とか間に合った「シロバナタチツボスミレ(白花立坪菫)」。スミレ科スミレ属の多年草で、タチツボスミレの白花品種。同じ仲間のオトメスミレは距の部分だけ淡紫色だが、シロバナタチツボスミレは距まで白い。ここは多摩市の住宅地の中に取り残された貝取山緑地で、林内には鬱蒼とした鎌倉古道も通っている。花は残念ながら枯れ落ちる寸前だが、花弁と距の白色が確認でき、またタチツボスミレの特徴のひとつの花茎の基部の櫛の歯状の托葉も見える。来春は咲き始めの綺麗な姿を撮ることにしよう。
南大沢4丁目に毎年顔を出す「ユウシュンラン(祐舜蘭)」。ラン科キンラン属の多年草で、ギンランの変種とされている。ギンランより半月程度開花が早く、葉が退化しているのが特徴。ここは幹線道路に沿って常緑樹が植えられており、ユウシュンランはその根元に生えている。しかし昨年秋、常緑樹の剪定作業で切られた枝葉がそのまま根元に置きっ放しにされ、地面が覆われてしまった。そのためユウシュンランが芽を出せないのではないかと心配していたが、透き間から何株か伸びていて一安心。
長池公園“夕日展望台”付近で見られる「トウゴクミツバツツジ(東国三葉躑躅)」。ツツジ科ツツジ属の落葉低木で、関東地方の山地に多く見られることから名付けられている。コバノミツバツツジと同じく雄蕊は10本で、ミツバツツジとは異なる。またコバノミツバツツジは上側裂片に赤い斑紋があるが、トウゴクミツバツツジには斑紋が無いか目立たないものが多い。
拙庭で開花した「フイリゲンジスミレ(斑入源氏菫)」。この花は13年前に下柚木の道端で見掛けたが、その時は名前がわからずその4年後にやっと名前がわかったもの。その後、園芸店で購入し庭に植えた。こぼれ種であちこちに拡がっていたが、今春はこの1株しか見当たらない。暑さに弱く昨年の猛暑で上手く夏越しできなかったかも知れない。フイリゲンジスミレはスミレ科スミレ属の一年草もしくは多年草で、シベリア、中国、朝鮮半島に分布し、日本には自生は無く園芸品種として流通している。花弁は濃紫色で葉には白い斑が入り美しい。葉の裏面は紫色で、これが紫式部の『源氏物語』に繋がっているようだ。つまり源平合戦の源氏ではなく光源氏のほう。従ってヘイケスミレは存在しない。ちなみにフイリゲンジスミレを母種とするゲンジスミレは日本に自生するが、花弁は白く葉に斑は入らない。
首都大学東京の野原に咲く「アリアケスミレ(有明菫)」。スミレ科スミレ属の多年草で、白い花弁に濃紫色の筋が入る。当地では写真のようなタイプだが、全国各地では筋の多さや濃さに変化が多いようだ。その変異の多さから、名前は刻々と変化する“有明”に由来している。